第11話 合流
「チューニ、お前ぇ……やっと来たと思ったら何持ってきてんだ。」
「レント、この伝説の剣を知らないのか?」
「知ってるわけねぇだろ。」
「フッ……これは闇の王を滅する為に神から与えられた伝説の剣・約束された勝利の剣だ!!」
「へぇそうかい。ちょっとこっちによこせ。」
レントはチューニから無理矢理剣を引ったくり、自身のポケットからジャムの様なドロドロの赤い液体が入った小瓶を取り出し、約束された勝利の剣にそれをぶっかけた。
アイリスは「あ」と呟き、その様子を眺めていた。
エクスカリバーはシューと音を立てて黒焦げになっていき、最終的には卵焼きサイズの黒い“何か”になっていた。
「はい。これで完了。じゃあ行くぞー。」
「貴様ぁぁっ!!僕の、僕の、約束された勝利の剣に……!」
「そうよ!酷いわよ!!」
「勝ったのか!?神から授かったあの約束された勝利の剣に!?」
「いやそっち!?」
反応する所そこ!?とアイリスは驚いた眼差しでチューニを見た。
「あれは……どんな戦にも必ず勝利が約束されている世界で最後の剣だ。……どんな手を使ったんだ!!」
「いやさっきの見てたら分かるでしょう!?」
レントはフッと笑った。
「まっ……このオレ様ならどんな奴にも負けない。たとえそれが人間でなくてもだ……例えばこの雌ブタとかな。」
「アンタそろそろ殴るわよ?」
「ところで2人とも、こんな時間にどうしてここに居るの?」
シェリーはレントとチューニを見た。
「それはこっちのセリフだ。お前らこそどうしてここにいる?」
「クラスの子から聞いたの。最近、夜中になると金属がぶつかり合う様なキィィーンって音がするんだって。」
「へぇそうかい。ソイツは奇遇だな。オレ達もだ。クラスの連中から言われた。噂を確かめろと。」
「アンタがそういう頼み事を受け入れるなんて珍しいわね。嵐でも来るのかしら。」
「お前ぇな、このオレがそこら辺にいる奴らの頼みを簡単に引き受けると思うか?勿論、お代は貰った。」
「貰ったって何を?」
「さっきの赤い液体だ。ったく、こんな事に使うつもりは無かったのによぉ。負け確の剣とか変なモンをアイツが持ってくるから無駄になっちまったじゃねぇか。」
「負け確ではない。勝ち確の剣だ!」
アイリスは有無を言わさぬ笑みをレントに向けた。
「ちなみに、本当は何に使おうとしてたの?」
「決まってんだろ?こんな夜中に金属音出す馬鹿にぶっかけんだよ。あ、勿論頭からな?」
アイリスは怒った目でレントを見た。
「ちょっと、それ本気?あの剣を見て分かったでしょう?アレをぶっかけたら殺人になるわよ?」
「いや、そうはならねぇ。貰った時に聞いた。人間には別の効果が表れるってな。」
「その別の効果って何よ。」
「知らねぇ。だが、シレンオオバチの毒並にヤベェモンらしい。」
そう言ったレントの顔は抑えきれない好奇心で満ちていた。
アイリスはレントが以前、ミテール先生の水筒に毒を塗りたくろうとした過去があったのを思い出した。
そして「ていうかそれ、昨日じゃね?」とアイリスは昨日一日の濃さを思い出したのだった。
「ねぇ、行くなら早くしましょう?寝る時間が無くなるわ。」
シェリーがそう言った時、「君達、こんな時間に何をしているんだ!!」と言う声が廊下に響いた。




