第10話 入学早々爆誕した噂
「あの……アイリスちゃん、最近C組の間で流れてる噂知ってる?」
「噂?」
昼休み。
トイレから帰ってきたアイリスは突然声をかけられた。
三つ編みをしてる女の子で、大人しそうだった。
ちなみに、名前は知らない。
「うん。最近、夜になると2階のとある部屋からキィィーンって金属がぶつかる様な音が何回かするんだって。」
「へぇ、どこのクラスの寮?」
最近と言ってもまだ入学して3日しか経ってないけど。
「1年C組だよ。」
「このクラスには変な奴しかいないのか……え、まだいるの?」とアイリスはクラス替えの結果を呪った。
「それは怖いね。」
「うん……だから頼みがあるんだけど」
「アイリスちゃんにこの音の真相を調べて欲しいの!」
という訳で、今は深夜1時。
こんな時間まで起きたことが無いアイリスは寝そうになるのを耐えていた。
「アイリス、その噂の音ってどんな音なの?」
1人で行くのは怖いからとシェリーを強引に連れてきたアイリス。
シェリーは「えー、今日は観てるドラマの最終回が放送されるのにー、しかも二作品!」と言っていたが、アイリスが「夜は何が起こるかわからないもの。」と言うと
「そうよね!!イケテールとの恋愛イベントが発生したりして!」とまた別の意味で解釈していた。
ちなみに、シェリーが観ているのは『あなたの夫が欲しい』『血をください』というドラマで、とりあえず11才向けのモノではない事が分かっただけだ。
「私もクラスの子から聞いただけだよ。キィィーンって音なんだって。」
「へぇ、なんか怖いわね。戻ってドラマを観ましょう?」
「そのドラマの方が怖いと思うからいいよ。大丈夫。」
アイリスとシェリーは階段を下りて二階まで来た。
「話によると、2階の1番奥の部屋なんだって。」
奥まで行こうとして二人は足を止めた。
「……何かさ、ここからでも聞こえると思うんだよね。」
「そ、そうよね。キィィーンって事は、金属の音かもしれないし。他の部屋からでも聞こえるって事は、行かなくても良いわよね!」
明かりは付いているのに気味が悪い廊下だと感じた二人はそう言ってその場に留まる事を決めた。
そして待つ事30分。
「……何だ、何も無いじゃない。」
「音なんて聞こえないわね。きっと誰かの聞き間違いだったのよ!!」
そう言って二人が部屋まで帰るためUターンしようとしたその時。
キィィーン
聞こえた。
話していた通りの金属がぶつかり合う様な音が。
二人はピシッと固まる。
「……いや勘違いだよね!ちょっと噂の事を考えすぎていただけで!」
「そ、そそそうよね!こんな夜中まで起きてる11才なんて私達以外にいるわけ……」
「ここに居るんだが。」
「イヤァァァァッ!!出た出た出たー!!」
「アイリス、逃げるわよぉぉぉぉ!!!」
アイリスとシェリーが猛ダッシュで逃げようと階段を上りかけた時、背後から「ブッ」と吹き出す音が聞こえた。
「お前ぇら、すげーおもしれー反応だな!」
そう言って「ギャッハッハッハ!!!」と腹を抱えて笑い出した人物の声に、アイリスは聞き覚えがあった。
「……イケテールゥゥゥゥゥ!!!アンタ何笑ってんのよ!!こっちは死ぬかと思ったんだから!!」
「それは悪かったな。でも、さっきのお前ぇの顔、最高にブスだったぜ?ブス。」
「人の顔をブスって言うんじゃないわよ!雌ブタの次はブスなの!?」
「あ、悪ぃ。雌ブタって呼ばれたかったか?ブスって呼んでごめんな。これからは雌ブタって呼んでやるから。」
「アンタが呼びたいだけでしょうがぁぁ!!」
二人のやり取りにシェリーは目を輝かせた。
「キャーッ!!やっぱり運命よ!これは運命よ!!」
「シェリー、人の顔見てブスって言って笑い転げてる奴が運命の人とか私は嫌だからね!?」
「レント、早く行こうぜ?」
全員が声のした方を見る。
そこには謎の剣を持ったチューニが立っていた。




