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選ばされた婚約者 〜あみだくじで婚約者を奪われ続けた伯爵令嬢は、ついに“当たり”を引く〜  作者: 猫が寝転んだ


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9/11

第四章 自分で選ぶということ 第一話

毎日14時10分に更新いたします。、


 最後のあみだくじは、ディアナが用意した。

 紙は、これまでと同じ上質な白――


 侯爵家の応接室、その中央の丸卓の上に、  それは静かに置かれていた。

 見た目には、何の変哲もない。

 いつも通りの、ただの紙。

 違うのは、その場に集められた人々だけだった。


 レクション伯爵夫妻。

 チョイス侯爵夫妻。

 双方の家令。

 証人として招かれた家令長。

 そして、ディアナとハーバル。

 少し離れた場所には、フォースとマジスタが控えている。


 婚約に関わる正式な話し合い。

 そう名目づけられた席だったが、空気は最初から張りつめていた。


「……ずいぶん大げさだね」


 ハーバルが苦笑する。

 その声音は、まだ穏やかだった。


「家同士の話し合いにしては」


「そうかしら……」


 ディアナは微笑んだ。


「今日は、大切なことを決める日ですもの」


 ハーバルは肩をすくめた。

 彼はまだ、自分が優位にいると思っている。

 その余裕が、ディアナにはよく見えていた。

 少し前までなら、その表情を見るだけで胸がざわついた。

 今はもう、何も感じない。

 不思議なくらいに。


「それで?」


 ハーバルが紙を見た。


「今日は何を決めるんだい」


「あなたに選んでもらいます」


「僕が?」


「ええ」


 ディアナは紙を彼の前へ滑らせた。


「得意でしょう? こういうの――」


 その言葉に、彼は初めて少しだけ目を細めた。

 けれど、笑みは崩さない。


「面白い冗談だ」


「冗談ではありません」


 彼女は静かに言った。


「どうぞお好きな入口を――結果は、あとからついてきます」


 紙の上段には、六本の入口が並んでいた。


  一、二、三、四、五、六。


 その下を、いくつもの横線が複雑に走っている。


 そして最下段――


『謝罪』 『現状維持』 『婚約解消』 『現状維持』 『謝罪』 『婚約解消』


 それを見て、ハーバルは小さく息を吐いた。


 ――なるほど……


 その目が、そう言っていた。


 今日は人目が多い。

 覆いを使うことも、横線を足すこともできない。

 なら、別の方法を使うだけだ。


 彼の視線が、ゆっくりとディアナへ向く。

 その表情を読むように。

 まばたき。

 呼吸。

 視線の揺れ。

 指先の強張り。

 彼は昔から、それが得意だった。

 言葉より先に、相手の迷いを見つけることが――


 そして、見つけた――


 ほんの一瞬……

 ディアナの目が、  紙の左寄りへ落ちた。


 ――そこだ。

 ハーバルは迷わず、  二番目の入口へ指を置いた。

 その横顔には、すでに勝利の色が戻っている。

 線を辿る。

 下へ。

 横へ。

 また下へ。

 指先が止まった。

 そこに書かれていた文字を見て、彼の表情が固まる。


破天荒幼女トーシャ!  〜達人級異世界転生者は今日も平常運転で世直し中〜


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同時期公開しております。


よろしければ、ご覧になって、スカッとしてくださいませ。

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