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カイルとフライア、最大の危機?! (第53、54話)

王都では王太子アル―スト派、第二王子レオスト派が今まさに互いを暗殺しようと…

「いい? 王都にいるときには、絶対に黙っていなさい。余計なことを言うよりそのほうがいい。あんたは知らないと思うけど、壁に耳あり、障子に目ありなのよ」

 カイルは意味がわからず、顔を上げてフライアを見た。


「約束よ。絶対にしゃべっちゃだめ。わかった?」

 カイルは黙って焼き鳥を食べた。

「わかったの?」


 まるでヨーカに怒られているようだった。ヨーカは8歳も上だから、カイルはよくヨーカに怒られた。幼い頃、ヨーカを怒らせるとひどくつねられたことを思い出す。


「返事は?」

「………今しゃべるなって言ったろ」

 そう言ったら、フライアは怖い顔をして、忌々しそうにグサッと焼き鳥に串を突き刺した。


 まったく、なんで俺のまわりにはこんなうるさい姉貴風の女ばかりいるんだと、不思議だった。


(かといって、エルンなんかには近づきたくもない)

 そう思えば、まだマシだと思えた。


(ミナにも説教されたっけ)

「未来が見えたって、それが死ぬ未来ばかりじゃ意味がない。生きる未来をつくるには結局は実力なのよ」


(……ミナ。ミナがこの状況を聞いたら、なんて言って叱るだろうか…)

ちょっと空想してみた。


「カイルはどうしたいの? 考えなさいよ。私のこと、バカって言うけど、カイルはどうなのよ?! バカじゃないなら考えろ!」

(…かな?)


 どうしたいか、考えてみた。

(ただ、進化した世界に行きたい。進化した世界で生きたい。…でも……)


 そこで大きくため息をつく。

(……進化っていったい、なんだろうな…)


第54話 見えない者

 

「カイル、行くわよ」

 それは次の日の夜だった。

「どこへ?」

 また黙っていると串刺しにされそうなので、フライアにはしゃべることにする。


「仕事に決まっているでしょ」

「……今からやるのか?」

「まだよ。今夜はレオスト様の配下の者とうちの者が集まって具体的な話をするの」


「レオスト側も動くのか?」

「ええ。そういうことになった」

「そうか…」


「でも、あんたは絶対しゃべっちゃだめよ。余計なことを言うかもしれないから。口がきけないフリでもしておきなさい」

「…わかった」


 どうせ事情がよくわからないのだし、そのほうがラクだと思った。

 フライアはいつものように動きやすいチュニックシャツとズボンをはいていた。

「レオスト様も来ると思う」


「え、城から出ないんだろ? こっちが城へ行くのか?」

「バカね。城から出ないなんてこと、あるわけないでしょ。あの男たちは間抜けだわ」

「そ、そうなのか?」


 カイルは本当に、自分は何も知らないのだと思った。

「王宮にはいくらでも隠し通路があるのよ。王家の者しか扉を開けられないように魔法が施された通路がね。だから、城門を通らなくても外には出られる」

「そ、そうか…」


「ただ、敵も王族だから、もちろんその通路を知ってるわ。だから危険なの。互いに敵の監視をかいくぐってなんとか出てくるのよ」

カイルは何もわからなくなってきた。


(はあ…。魔物はこんなに面倒くさくなかった…)

 今では会話の不要な魔物が懐かしいくらいだ。


 自分はこのブリアの危機でさえ、つい最近知ったのだ。まだ2カ月も経っていない。

諜報、工作、暗躍、暗殺。自分が今まで知らなかったことばかりだ。何が起きているのか、本当にはわかっていないのだろう。


 フライアがカイルを連れてきたのは、王宮の西側にある大きな倉庫だ。中央の扉を叩いて、「シーラの加護」と言う。すると、扉が開いた。

 中にはあの二人がいた。ゾルダンとゼルンだ。


「一人か?」

 フライアは頷いた。フライアは戦闘員ではない。だから、戦闘員はカイル一人かと言ったのだろう。

この倉庫は空っぽで、中には椅子がいくつかあるだけだった。窓から差し込む月明かりでそれぞれの姿が見える。


 しばらくみんな黙ったまま、時が過ぎるのを待つ。


すると、倉庫の奥にある小部屋から、ギギ~ッと扉が開く音がする。そして、フライアたちのいる大部屋への扉が開き、暗闇の中から人影が3人現れた。


 立派な剣を持った二人の男と、その後ろに一人、服装が周りと異なる人物がいた。40歳前後の軍人風の男だ。


「レオスト殿下」

 フライアと男たち2人は、片膝をついた。カイルも遅れて膝をつく。


「領主の親書は読んだ。指示通り燃やしたがな。親書には、ブリア側が掴んだ“王太子の抜け道”が記されていた。真偽を確かめるため、私が実際に通ってみた。まことであったな。こんな抜け道があったとは。私は今まで知らなんだ。兄上はここを使って城の外に出ていたのであろう」

 レオストは周りを見回した。


「兄上はもう我らを放っておかぬようだ。ブリア侯の嫡男を手始めに、一人ひとりの暗殺を計画している。もうごまかしは効くまい。そなたら、力を貸せ」


「はっ。…しかし、アルースト殿下がお城から出て来ぬことには…」

「ふん。私が知らなかったのだから、兄上は堂々とこの抜け道を使っておろう。そこを狙うがいい」


「かしこまりました。では、ここに見張りを立て、王太子殿下を殺めることをお約束します。レオスト殿下の御ために。で、成功した暁には、わがブリアの割譲案の取り下げをお約束くださいませ」


 片膝をつきながらゾルダンが言った。

「うむ。約束しよう。ブリア侯には安堵してもらえるであろうよ」


そのとき、バンと外の扉が開き、兵士が突入してきた。その数20人。中にいた者たちに剣を向けて取り囲んだ。

 カイルは毛が逆立った。このままでは囲まれて殺される?!


カイル、いったいどうなる…?!


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