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王都行きを阻止しようとするアンドリオンを、ミナが?! (第48,49話)

アンドリオンに役職と住まいを与えられたミナ。それを聞いてバンリオルは、ミナを王都に誘う…。

「わたくしが王都に?」


「ええ。ご案内いたしますよ。私は王都に10日ほど滞在して、ブリアに戻りますが、ミナさんが途中でお帰りになりたいなら、うちの商会の馬車にお乗せしてお送りできますよ」


「王都…何日くらいかかるのですか?」

「5日間です。私としては、他の商会の様子を見ながらですので、退屈な旅ではないのです。それを毎月のように繰り返していますよ。

 馬車は乗り心地が良いですし、途中で泊まるあちこちの街を見るのも楽しいでしょう。アンドリオン様のお仕事をなさるなら、王都は一度見ておかれた方が良いのではないですか?」


 ボリックは魅力的な誘い方をした。


 ミナはそれよりも、5日間、ボリックと馬車の中にいるという居心地の悪さを頭に思い描いたが、(いや、待てよ?)と考えを変えた。


「あの、…馬車の中でボリックさんとお話をさせていただくことはできますか?」

「え? …ハハハ。もちろんですよ。私もミナさんとお話ができればうれしいです」


「あの…。わたくし、いろいろと質問させていただきたいのです。5日間質問しまくるかもしれません。それでもよろしいでしょうか…」

 おそるおそる聞いた。「質問しまくる」に力を込めて。


「ワハハハ! それは楽しみです。5日間がワクワクするでしょうな」

 そう言って、ボリックは笑った。


第49話 王都へ


 エカーリアには仕事で旅に出て来るので半月ほど来れないと告げた。その間、ミナは宿題を出した。合気道の足の動きと呼吸法だ。エカーリアは残念そうだったが、聞き分けて了承した。


 一方、アンドリオンを説得するには骨が折れた。

 一応、行政顧問になったばかりなので、アントリオンの許可がいる。

「これは必要な情報収集である」と言ったのだが、相手がバンリオルであるため、アンドリオンはすごく警戒した。


「もし、バンリオルに取り込まれ、王都から戻ってこれなかったらどうする?!」と厳しく追及するのだ。

「え? なんでバンリオルがわたくしを取り込むのですか?」


 ミナはわけがわからない。プンブンと怒り出すアンドリオンに愛想が尽きて、ミナも反撃に出た。


「では、お尋ねしますが、アンドリオン様は、大商人の頭の中をどれだけご存じなのですか?」

「む…?」

「何をどこから仕入れ、誰にどう売るか。その最終的な利益率は? その商会がどこを本拠にしていて、そこの税率は? インセンティブ設計は? 情報の非対称性は? この交渉のバトナは? この考え方がおかりですか?!」


 後半はわざと相手がわからなそうな言葉を早口で並べてみた。

「むむ…」

 アンドリオンは苦し気に唸る。


「わたくしたちは自由都市を目指すのです。この根幹は商人なのですよ。その商人の目線が読めなくては、魅力的な利益のある自由都市を作れないのです。ですから、この五日間の馬車旅行は絶対に好機なのです!」

「むむむむむ…」


(どうだ、反論できないだろう)とばかりに、ミナは勝ち誇って「ふふ」と笑った。

「そうか。君の目的は王都ではなく、馬車の中なのだな…」

「そうでございます。ボリックさんとの会話です。王都は見られたらラッキーなだけです」


「うう…む」

 ラッキーの意味はわからなかったが、問題はそこではないから無視した。


「だが、わかっているのか? あれは王都側の人間なのだぞ。つまり、君がしゃべることは、ブリアの敵にも抜ける可能性があるということだ」


「何をおっしゃっているのですか? どうせ、自由都市を作るのですよ。敵であろうが、協力をいただくことになりますわ。敵にも利益がなければ、自由都市にならないではありませんか」


「そ、そうか…。しかし、手柄を取られるということは…」

「ツボが誰のものかは関係ない、とお話ししましたよね?」


「な、なるほど。誰がつくろうが、ブリアが自由都市になれば同じことか…」

「さようでございます。敵だ味方だということに意味がない世界をつくるのですよ」

「う~む………」


しかし、アンドリオンはまだ引き下がらない。

「護衛はいるのか?」

「護衛?」

「君の護衛だ。狭い馬車の中でボリックに何かされたらどうする?」

「別に何もされないと思いますけど…。あの方、紳士ですよ?」

と首をかしげる。


「ほら、そういうところが不安なのだ」

 カイルにも言われたっけ。「ミナは天然だから」とか。

「問題ございません。わたくし、ある程度身を守れますのよ」

 つん、と首を上げた。


「まさか。男がのしかかってきたらどうにもなるまい」

「のしかかっても阻止できれば、許可をくださいますか?」

「阻止できればな。だが、無理だ」


「おほほ。試してご覧になる?」

「た、試してもいいのか?」

 アンドリオンはびっくりした顔で、すっと立ち上がったミナを見上げた。


「ええ、ご自由に。でも、そのあとどうなるか、わたくしに文句を言わないでくださいませね」


ミナ、小うるさいアンドリオンをちょっとギャフンと言わせてやろうと…。

なぜか、アンドリオンを領主の息子として恐れないミナであった。


次回はカイルに過酷な任務が…。


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