表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/133

第3話 カイルの魔物戦略

現代社会から転生したミナを助けたカイル。

魔物を狩る狩人だ。


彼には特別な能力があった…。

カイルが村を発ったのは、夜明け前だった。ミナが市場に行く前の日の朝だ。


「明日帰る」

 それだけ言って、剣を腰にまとい、野営の装備を背中に結び付けて、静かに村を出て行った。

 ミナは玄関で彼を見送った。


(魔物狩りか…)


 カイルはパーティーを組んだりしないのだ。村にはカイルと剣の模擬戦をする相手が何人かいたが、狩りになるとカイルはいつも単独だった。

 それがミナは少し気になった。


(なんでかしら?)


 こんどカイルに聞いてみようと思った。

 一人では、持ち帰れるものも少ないし、危険な目に遭ったときに助けてくれる人もいない。


(無事に帰ってきてね…)

 心の中でつぶやいた。

(私の保護者なんだから、いなくなると困る…)


* * *


 カイルは森の奥に進んでいった。

 一泊二日の旅でたどり着ける周辺の狩りの場は5か所くらいある。

 ここはその一つだ。湿った地面に異様な臭気が漂っていた。カイルは足を止める。


 視線を落とすと、地面が不自然にえぐれている。

 大型魔物――ロックベアが土魔法を使い、地下のモグラのような動物を掘り起こした跡だ。


 硬い皮膚と巨体を持つ、単独討伐は危険な相手だ。まだ近くにいるかもしれない。


 カイルは装備を下ろして身構えた。


 後方の木々が微かに音を立てる。

(小物が……7、いや8)


 ファングモンキー。別名牙猿だ。集団で獲物を囲み、隙を突く小型魔物だ。獲物はカイルのようだ。


 カイルがこのファングモンキーの集団と正面から戦えば、死ぬ。

 彼らは小物でも、その爪はとても固くて長い。


 囲まれて引き裂かれると大型の魔物でも出血大量で動けなくなり、やられるほどだ。


 カイルは剣を抜き、深く息を吸い、半眼となる。

 カイルの脳裏にくっきりとしたビジョンが浮かぶ。


(このまま進めば…)

(ここで下がれば…)

 ――どちらも死ぬ。


 1枚1枚、カードをめくるようにそのビジョンは現れて、カイルにさまざまな未来を見せていた。

 これはカイルの特殊能力なのだ。


 カイルの身が危険にさらされる時だけに生じる未来視である。


 次々とビジョンが流れていき、死につながる選択肢が次々と消えていく。


 だが一つだけ、きらりと光るビジョンがあった。

(…よし…これなら…)


 カイルは、しっかりと目を開け、周りを見回した。ファングモンキーは後方半円状にカイルを囲んでいる。だが、カイルは走らない。一匹がカイルの前方に入り込むまで待つ。


 左手から1匹がスッとカイルの視野に入った瞬間、カイルは飛び出し、その猿に剣で切りつけ、倒れた猿の背中から首の後ろを掴んで、猿とともに前方に勢いよく駆け出した。


 残りのファングモンキーも追いかけるように走り出す。


 すると、ロックベアがカイルと猿どもに気づき、振り向いて突進してくる。


 ――ドドドド…。

 巨体が突進してきたので、地響きが鳴る。その音に猿たちの動きが一斉に鈍った。


 カイルを襲うつもりだったので、猿どもはロックベアまで勘定に入れていなかった。猿どもが恐怖で飛びあがる。やつらはこういう急な状況変化に弱いのだ。


(今だ)

 カイルは捕まえた猿をロックベアにめがけて投げつけた。甲高い悲鳴とともに、ファングモンキーがロックベアの頭にぶつかり、目つぶしになる。


 その瞬間、カイルはロックベアに近づき、下からのど元に剣を差し込み、えぐるようにして剣を抜いた。

 そして、すぐさま半歩ずれて、横に避ける。土魔法を使う隙もなく、断末魔のロックベアが巨体をカイルの上に倒れようとする。


 一歩間違えばロックベアを避けられず下敷きとなれば即死する。

 しかし、カイルはそれを回避した。


 猿どもはロックベアの断末魔の叫びに恐れをなして、すべて遠くへ逃げ去った。


――静寂。


 カイルは剣を収め、しばらく、その場に立ち尽くした。息が、遅れて荒くなる。


 それから、装備を置いた場所まで戻り、ロックベアを持ち帰る準備をした。

 一人では持ち帰るといっても限界がある。


 一番高価な部分だけを切り取って持ち帰るしかない。それでも重さは80キロほどになる。


 装備の中には組み立て式ソリがあり、端に小さな車輪が二つついている。

 場所によってソリにも台車にも使えるように工夫してある。


 それを組み立てると獲物を載せた。残りは置いて行かざるを得ない。

 しかし、カイルはあえて一人の狩りを選んでいた。


 それには深いわけがあった…。


長大なストーリー、始まったばかりです。


ブックマークしてくださると、涙を流して喜びます。よろしくお願いします(#^^#)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ