ミナのイメージ戦略で、ブリア、優秀な技師を勧誘
このお話は、ミナがブリア領の行政顧問となり、ブリアを侵略から守るため、自由港を作り上げるという壮大なお話です。長いお話ですが、よかったら、お付き合いください。
初めてお読みになる方は、下にあらすじと用語集があります!
コブルーに2日の滞在で、学生たちはその後自由に見学し、いろいろなものを測量したり、設計図を閲覧したりと、思い思いに動いていた。そして、次の日はタンブリーで1日を過ごす。ミナがブリアでの改革の様子を案内する。
コブルーから出発する商人護送団、それから、積み荷証明書を見せると、すぐに通れる検問のシステム。そして、タンブリーで開催される競り。フレスタの貯水池工事と農地の増反。
「ブリアでは様々な行政改革を、かなり早い速度で採り入れております」
と、スピードを強調する。
それは、学生にとっても魅力的であるはずだ。
タンブリー市内を案内したあと、ブリア城内に連れていく。
城の広間で、お茶を出す。
「では、ブリア領主である、ブリア侯アンドリオン様をご紹介いたします」
ミナの言葉に、学生も講師もびっくりする。
「え! こんな格好ですが……」
平民たちは普通の旅の服装なので、城に入るだけでもおっかなびっくりだ。とても領主に会える格好ではないと感じている。
「ええ。お気になさらずに。ブリア領主アンドリオン様はとても気さくな方なのですわ」
そう言って、アンドリオンを呼ぶ。
アンドリオンはいつもよりも質素な服を着て、普通の若者のように部屋に入ってくる。
緊張して立っている者たちを、「まあ、座れ」と座らせる。
「皆、ブリアによく来てくれた。どうだったかな? コブルーは」
とやわらかい微笑みで声をかける。
だが、学生たちはもじもじとしている。
「あの、ブリア侯にお尋ねいたします」
一人の学生が発言する。それは貴族の学生だ。
「ブリア侯が一番好ましいと思われる技師の資質はなんでしょうか」
「ほう。……それは良い質問だな」
アンドリオンは少し考えて、それからこう言った。
「私が望むのは、勇気ある発想だ。
君たちが作ろうとしているのは、もしかすると、今までにない発想のものかもしれないし、理解しがたいものかもしれない。
だが、今当たり前にあるものでさえ、最初にそれが登場した時には、理解しがたいものだっただろう。それを提案する勇気、実行する勇気。私はそういう勇気を持つ者が好きだ」
そして、書字板を持ってそばに立つミナを見る。
「ミナを見るがよい。まだ若いが、いくらでもおもしろい発想をする。そして、ミナにはそれを実行する力がある。
領主としての私の役割は、技師や官僚の新しい発想を信じて、実行させること。そして、たとえそれが失敗に終わったとしても、その責任は私が取る。だから、それでくじけないことだ。だが、二度失敗するものはいらぬ。
そういう勇敢な者たち、覚悟のある者たちに、ぜひブリアに来てほしいと思っている」
学生たちは大きく頷く。
そして、その顔を一つひとつ見ながら、アンドリオンは続ける。
「2年前のコブルーには宿も少なかった。今では祝祭で町に人があふれる。
新しいものが生まれ、便利さを生み出し、人々の暮らしを変える。
その変化が積み重なり、いつか歴史となっていくのだろう。それを作り出せるのは幸運なことだ」
学生たちはしみじみと聞く。
静かになってしまったのを見て、アンドリオンはクスッと笑う。
「ミナはコブルーをワモワ海一の国際港にすると言っている。そして、すでに2年半でかなり変化した。皆も知っている通り、祝祭では国中がコブルーを目指した。海外からもたくさんの客を迎えた。コブルーの注目度は国際的にも高まるであろう。
コブルーに名を残す。これは大きな名誉であろう。だが、100年後には今よりもさらに大きな名誉だ。ぜひ、皆にそれを夢見てもらいたい」
「はは~!」
「では、後の時間をゆるりと過ごすがよい」
アンドリオンはそう言って立ち上がり、部屋を辞した。
平民の学生たちは「ふう~……」と息を吐く。領主の前では緊張するようだ。
「いかがでございましたか? 領主様は」
ミナは学生たちにアンドリオンの印象を訪ねる。
「あ、あの。まだお若い方ですね」
「ええ、まだ20代半ば。でも、たいへん優秀なかたなのでございます」
「本当ですね。コブルーは発展著しいので、もっと30代半ばくらいのやり手の領主かと思っておりました」
「ええ。そうですよね。レオスト殿下にも言われます。ブリアの変化は速いと。それは領主様の決断が速いのですわ」
「なるほど……」
うふふ、ミナは微笑む。
平民が多いので、アンドリオンは気さくな領主であるという演出を用意しておいたのだ。
ミナがアンドリオンの侍従に言って、一番平民に近いものを着るように指示した。それは7,8年前に着ていた学生時代の上着だ。アンドリオンはブツブツ言っていたが、キツキツで着られた。
(うまくいった……)
ほくそ笑むミナであった。
12月には何人かが学校を卒業する。この中から、1月から働きに来てくれる者が出てくれたら、ミナとしては大成功である。
* * *
12月末には、講師フェルビルをはじめ卒業生2人が、コブルーで働きたいという希望を出してくれた。お金をかけただけの成果は出た。
(コブルーに王都からどんどん優秀な人材を呼び込むわ。まずは、必要な技師の獲得は成功ね……)
コブルーを拡張するにも、技師がきてくれないと……。債券に技師にと、ミナの頭はクルクル回る。
いつもお読みいただき、ありがとうございます! 感謝感謝です。
この小説は、読みながらいつの間にかビジネス感覚が身につくという、世界初の機能小説です。よかったら、星の評価をつけて応援してくだると嬉しいです! よろしくお願いします。
---今までのあらすじ---
ミナはコブルーで祝祭を開催して、かなりのお金を作った。その裏で、王国軍が盗賊掃討戦を、五大商会が詐欺師掃討戦を遂行した。ミナが次に計画したのは港の拡張である。その資金作りのため、ミナは債券の仕組みを提案し、その裏で詐欺師討伐に新たな罠を仕掛けた。一方で、優秀な技師をブリアに呼び込むため、学生をブリアに無料招待した。
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用語集
ミナ … 主人公。ブリア侯行政顧問で、王都では天才行政官と呼ばれる。見かけは18歳くらいだが、中身は…
レオスト … 王弟でミナの支持者




