↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
204/235

コブルー競技会。庶民に初の「王国一」の称号が与えられる

このお話は、ミナがブリア領の行政顧問となり、ブリアを侵略から守るため、自由港を作り上げるという壮大なお話です。長いお話ですが、よかったら、お付き合いください。


初めてお読みになる方は、下にあらすじと用語集があります!


 宣言が終わると、競技会が始まる。

 アンドリオンは母の隣に座り、観覧する。

 ミナはあちこちで調整をしなければならないので、競技場の隅に控えている。

 警備兵たちも十分に配置されているから、治安も万全だ。


 競技大会は鍛冶職人から始まる。アラゴンキアの23の領地から代表が出され、まず、高らかに代表の名が呼ばれる。

 恥ずかしそうに、誇らしげな顔をして、鍛冶職人たちは手を挙げて声援に応える。


 そして、それぞれが持ち寄った剣の前に23人の軍人が並び、藁で作った柱をどんどんと斬っていく。

 予選では鎌を使い、農民が鎌で藁を斬った。

 本番は剣だ。


 軍人の剣さばきの差が出ないように、軍人と剣の組み合わせを変えて、何度も繰り返す。

 その成績を点数にして積み上げ、高得点を出したもの3人が最終戦に選ばれる。


「優勝者はこの3本の中から決められる」

 公平を期すため、剣に領地の名前は入っていないから、どこが残っているのか、観客はわからない。


 ここで、将軍ルジャンドーが登場する。

 将軍がこの3本の切れ味を確認するのだ。


 ルジャンドーは1本の剣を持ち、まず振り具合を確かめる。それから柄をじっくりと眺める。

 そして藁の柱の前に立ち、ズバッと振り下ろした。

 すると、藁の柱の上半分がズズズ……と滑るように落ちていく。

「ふむ……」


 それをあと2本繰り返し、ルジャンドーは1本の剣を手に取った。

「勝者はこの剣である」

 そう言うと、係がさっとやって来て、その剣の製作者を調べる。

「勝者……!! ラッスル領のグレーン!!」

「おお~!!」


 どよめきが上がり、ラッスル領の鍛冶職人が感動のあまり、よろよろと立ち上がって前に進む。

「お、俺が……。俺の剣が……!!」


 係が観客を一度静め、鍛冶職人を隣に立たせ、改めて宣言する。

「アラゴンキア王国一の鍛冶職人は、ラッスル領のグレーンである!!!」


「おお~~!!」

 再び観客席にどよめきが広がる。

「グレーン、グレーン!!」

 庶民たちが祝福の声を上げる。


「お、王国一……」

 その言葉はグレーンの胸を打ち、とめどなく涙があふれる。膝が落ち、その場で座り込む。


 係は、座り込んで嬉し涙を流すグレーンを立たせ、メダルを首にかける。

 それは、王国一の鍛冶職人という証明のメダルだ。


 観客たちはただ喜んでいるだけではない。

 庶民が貴族たちの前で「王国一」の称号をもらうという、信じられないほどの名誉に圧倒されている。

 まるで新しい世界が扉を開けて、光が差したように、それぞれの心に新しい希望の光がついた。


 それまで、自分の生まれた村だけが世界だった。村から一歩も出ないのが普通だった。

 だが今、その世界は一気に広がった。


 努力すれば、庶民でも王国一になれる。貴族たちの前で表彰される。


 その事実は、多くの人々の胸に、新しい火を灯していた。


「グレーン、万歳!」

 誰かが叫んだ。


「アラゴンキア、万歳!」

 それに呼応するように、つぎの者が叫ぶ。


「国王陛下、万歳!」

 民衆が立ち上がる。


「ブリア侯、万歳!」

 全員が叫び始めた。



「ミナさん」

 バンリオルがカイルとともに、ミナのそばにやってきた。


「まあ、ボリックさん。お越しになっていたのですね」


「ええ。この競技会を見にまいりました。

 それにしても、なんとすばらしい光景でしょうか……」


「ええ。本当に……」


 3人とも、この半年の苦しさが報われたと感じた。


 カイルは思う。

(全員が力を合わせることで、まったく新しい世界が生まれるのか……。世界がいつの間にか進化している……)


 バンリオルは思う。

(盗賊も偽商人もほとんど淘汰された。手形の仕組みも五大商会で共有された。競技会のおかげで、民の勤労意欲も最高潮。商品も変わるだろう。商人は新しい商売の時代に入るのだ……)


 ミナは思う。

(これで、アラゴンキアは一段階進化した。……でも……最終目的地はまだ遠い……)


 コブルー自由港は、まだ完成していない。


 ――だが、その未来へ向かう第一歩は、確かにこの日、刻まれたのであった。


「第四部 成長する王国 第1章 王国あげての一大事業」の終わりです。

次は、「第四部 成長する王国 第2章 安心安全な世界の構築」が始まります。



いつもお読みいただき、ありがとうございます! 感謝感謝です。

この小説は、読みながらいつの間にかビジネス感覚が身につくという、世界初の機能小説です。よかったら、星の評価をつけて応援してくだると嬉しいです! よろしくお願いします。


---今までのあらすじ---


ブリア領主アンドリオンの妹エカーリアの結婚の費用を作るため、ミナはコブルーで祝祭を開催することにした。その裏で、王国軍が盗賊掃討戦も進めており、かなりの盗賊が討伐され、最後にはコブルーに追い込まれ、罠にかけられた。見本市にも罠をしかけ、詐欺師たちも取り締まる。そしてやっと競技会が無事に開催された……。


------------------------------------------------

別小説、完結しています。よかったら、訪問してください!

クリスタル・ハート・カフェ

https://ncode.syosetu.com/n1866mp/


------------------------------------------------

用語集

ミナ … 主人公。ブリア侯行政顧問で、王都では天才行政官と呼ばれる。見かけは18歳くらいだが、中身は…

カイル … ミナの夫。バンリオル商会工作員、24歳

アンドリオン … ブリア領主。ミナの上司,26歳

ボリック・バンリオル … バンリオル商会の代表。ミナの支援者、30歳


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=828069169&size=135
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。