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レオストの提案に、ミナ、涙の感動

MBAを取得し、アメリカで働いていたミナは、異世界で認められ、ブリア侯行政顧問となり、ブリア領を侵略から守るため、コブルー港を自由港とするために官僚として働く。一方、カイルは密輸船を摘発し、それが隣国への侵略戦争の一端であることを知る。それを隣国に知らせるために、王弟レオストがコブルーを出港することになり、ブリアを来訪。そこで舞踏会が開かれ、レオストはカイルがミナの恋人であることを悟った。そして…。


このお話は、ミナがブリア領の行政顧問となり、ブリアを侵略から守るため、自由港を作り上げるという壮大なお話です。長いお話ですが、よかったら、お付き合いください


初めてお読みになる方は、下に用語集があります!

「どうだ? あの男に私が騎士の身分を与えてやろう。そして、君も騎士になればよい。結婚に支障はなかろう? そうすれば、こんな場所でも一緒に踊れるぞ?」

 レオストはニマリと笑って言った。


「えっ?!」

 ミナはびっくり仰天した。


「ほ、本当でございますか…?」

 まるで夢のような話だった。今まで、カイルに身分を与えられることを考えていなかった。

 ミナが頬を染め始めるのを見て、レオストはフフと笑う。


「ダンスが終わったら、すぐにバンリオルに相談しにいこう」

「は、はい…」


 ミナは目を見開いてレオストをみつめた。

(なんでこんなことを考えてくれるんだろう?)と不思議だった。

 バンリオルに相談してくれるなら、ミナに不利なことはしない。後はバンリオルに任せればよかった。


(カイルが騎士に…?)

 ミナは胸が熱くなるのを感じた。そして、カイルをちらりと見る。


「君ほどの官僚を平民のままにしておくのは惜しい。身分があるほうが働きやすいぞ。あの男と結婚できるのであれば、身分を拒否せぬであろう?」


「は、はい…」

 ミナの頬がどんどん染まっていく。


「これは私のためでもある。気にするな」

 ミナはうっすらと涙が浮かぶのを必死にこらえて、微笑んだ。

(ほ、ほんとに…?)


 舞踏会の曲が一つ終わると、広間の空気は少し緩んだ。

 人々は美酒を手に談笑し、次の曲を待っている。

 レオストはミナをエスコートして広間の端まで来ると、そこにある椅子に座るようにミナに言った。


「ミナ、少し待っておれ」

 そう言って、少し離れたところにいるバンリオルに声をかける。


「バンリオル」

「は、殿下」

 バンリオルは静かに頭を下げた。そばに控えているカイルも一礼する。バンリオルと話していた貴族たちが、レオストに一礼して離れていった。


 レオストはちらりとカイルを見た。

「バンリオル。その護衛…。そう言えば、銀行でも見た気がするな。そなたが連れておるのだから、相当の腕のものであろう」

「は、今の私の一番目の剣でございます」

「なるほど…優秀だな」


 レオストはバンリオルの言葉の意味を理解した。バンリオルが王の剣として働いているときには、ほぼカイルを使っているという意味だ。


「その男、名はカイルであろう」

 驚くカイルを見て、レオストはフフッと笑う。

「ミナが思い人だと言っておったぞ」

「えっ」

 バンリオルもカイルも同時に声をあげた。そして、ふたりで冷や汗をかきながら、顔を見合わせる。


「ふむ…」

 レオストは腕を組み、しばらくカイルを観察した。

 カイルは姿勢を崩さず、まっすぐ前を見ている。


 カイルは、実はレオストと初めて会うわけではなかった。銀行以前にも、フライアに連れられて、王城の暗殺事件のときに会っている。

 しかし、レオストにはカイルの姿は見えなかったので、あの場にはいなかったことになっている。


「バンリオル、カイルの実績についての報告書を出すがよい」

「は、…報告書でございますか?」

「ああ。この者に騎士の身分を与えようと思ってな。バンリオル。どう思う?」


 バンリオルの眉がわずかに動いた。

「騎士…でございますか?」

「うむ」

 レオストは軽くうなずく。


「はい。今までの実績は申し分ないかと」

「そうか。なら問題ないな。私が叙任してもよい」


「…は。それは光栄に存じますが…。もしや、それはミナさんにも身分をお与えになるということでございましょうか?」

「ああ、そのとおり。ミナは言っておったぞ。平民と結婚したいから、身分はいらぬと。だが、ふたり同時に与えれば問題なかろう?」


 バンリオルは少し笑った。

「確かに。さすがでございます!」


「この男に身分を与えれば、ミナも身分を受け入れる。それは私にとって都合がよい。王府には平民の官僚はおらぬからな。こないだの街道の会議も、ミナが侮られぬように、私が側近を付けてにらみを利かせたくらいだ。騎士位があれば、ミナの発言に重みが出る」


「なるほど。理解いたしました」

 バンリオルは安心して、晴れやかに言った。


「では、早速、報告書をまとめましょう。殿下がまたコブルーにお戻りの時にお渡しいたします」

 レオストは満足そうに頷いた。

「うむ」

 そしてカイルに目を向ける。


「カイル。ミナの支えとなるがいい。身分というものは、時に剣より強い」

「は。かしこまりましてございます」

 カイルは静かに頭を下げた。


 レオストは満足そうに頷き、再びミナのところに戻っていく。

「ミナ。話はついた。もう問題ないぞ」

「は、はい…」

(は、はやっ…! もう決めて、もう話してきた?)


 ミナはまるで魔法に掛けられているようだった。ずっと頬が赤い。

「もう1曲、続きといこう」

 レオストはそう言って手を差し出す。

 楽団が次の曲を奏で始めた。


 踊り始めて向きを変え、カイルの姿が見えると、彼がやわらかい表情で、こちらを見ている。その彼を目で追った。

「ふふふ。ミナ、満足か?」


 レオストはその様子を見て、満足げにほほ笑む。

「は、はい…」

 うれしくて、恥ずかしくて、「はい…」としか言えなかった。


 王弟殿下からカイルに騎士の称号が与えられる。それはこの上なく幸運なことだ。

 広間には再び、舞踏の音楽が満ちていった。


 それを遠くから見ていたアンドリオンは、少し不安になるのであった。


カイルとミナが騎士位を得る。それは、彼らが一段階上のステージに上がることを意味します……。

だが、アンドリオンは……。


この小説は、読みながらいつの間にかビジネス感覚が身につくという、世界初の機能小説です。よかったら、ポイントをつけて応援してくだると嬉しです! よろしくお願いします。


用語集


ミナ … 主人公。ブリア侯行政顧問で、王都では天才行政官と呼ばれる。見かけは18歳くらいだが、中身は…。

カイル … ミナの恋人で、バンリオル商会の私兵。元冒険者 23歳

レオスト … 王弟で、コブルーの開発部長 42歳

バンリオル … ボリック・バンリオル ミナを支援する大商人 29歳

アンドリオン … ブリア侯でブリア領主 25歳

王の剣 … 防衛のために軍務や諜報を許されている商会

フライア … カイルの相棒の女


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