表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
149/176

ミナ、3人の苦情を完全論破

MBAを取得し、アメリカで働いていたミナは、異世界で認められ、ブリア侯行政顧問となり、ブリア領を侵略から守るため、コブルー港を自由港とする構想を立てる。ミナは、王弟レオストに頼まれ、街道を効率よく舗装するために、街道商会の案を出した。それは通行税をやめて、通行料を街道商会が取り、その金で舗装するという案だ。それを聞いた3つの領地がミナに文句を言いに来る。



このお話は、ミナがブリア領の行政顧問となり、ブリアを侵略から守るため、自由港を作り上げるという壮大なお話です。長いお話ですが、よかったら、お付き合いください


初めてお読みになる方は、下に用語集があります!


 レオストは腕を組んだまま、何も言わない。そして、ミナを見た。


 その視線を見て、ミナは答えることにした。

 ミナはレオストが怒っている理由を知っている。


 今まで通行税は取りながら、街道は整備されてこなかった。もちろん財務庁だけの問題ではない。地元の領主にも責任がある。つまり、通行税はただの利益。既得権を手放したくないだけなのだ。


 ミナは一歩前に出た。

「まあ。わたくしはきっと、皆様に喜んでいただけると思っておりました。そのお話をさせていただけるのですね?」

 ミナはニコニコして、ウキウキと話し始める。


 3人は怪訝そうにミナを見た。

「今お前を責めているのだぞ」と言わんばかりににらむ。


「街道の維持は大変です。皆様は維持費の大変さをよくご存じでしょう。でも、ご安心ください。

 少なくとも、コブルーからフリストルまでの主要街道の維持管理は、不要になりました。これからは街道商会がいたします」


「な、なにを…」

 3人はまったく異なる言葉が返ってきたので、言おうとしていた言葉がリセットされてしまった。文句を言いに来たのに、肩透かしだ。


「もちろん、街道の土地はいままでどおり領主のものですから、それも問題ございません」

 ミナは明るく言う。


 3人は顔を見合わせる。

「で、わたくしから皆様にお願いしたいのは、街道の活用でございます」


「な、なに?」

「お願い…?」

「それはいったい…」


 だんだんと3人はまったく意味不明になってきた。


「はい。これから出来上がるのは、レオスト殿下のご希望通りの石畳の街道でございます。これはどんなに素晴らしいでしょうか。アラゴンキア一の長い石畳の街道ですわ!」


「そ、それが何だと言うのだ?」

 シェルバがやっとのことで文句を言った。


「商人がどんなに喜びますことか。つまり、商人は今まで以上にこの街道を通るのでございます」

「………」


「ということは、どうなるかお判りでしょうか?」

「ど、どうなると…?」


「皆様の領地は大いに儲かる、ということでございます!」

「な、なに?」


 3人とも頭が混乱してくる。損をすると思ったのに、儲かるとは?


「ご存じと思いますが、コブルーは今、交易改革を進めており、関税を安くすることなどで、外国からの取引が大いに増えております。


 そこにコブルーと王都を結ぶ街道ができれば、多くの商人がその街道を通り、王都へと行くでしょう。

 今までは川を利用していた商人も、道路が整備されれば街道を通ります。


 国王陛下がお選びになったこの街道に皆様の土地があるということは、本当に幸運ではございませんか。皆様にとっては、これは大いに儲ける好機! 


 つまり、街道沿いの宿を大きくし、まわりには酒場や食堂、厩に倉庫を造るのです。

 それらの需要が高まりますわ。


 街道沿いの休憩所には店をつくり、近隣の村から取り寄せた領地の特産物を並べるのでございます。すると、商人たちに特産物を手に取ってもらえます。取引のきっかけが増えるのですわ!」


 これは、道の駅の発想だ。日本発祥のこの販売所は大人気の施設である。


 ミナは人差し指を上に向けて立てて、明るく言った。


「つまり、人が集まれば、金も集まる。3つの領地はアラゴンキアで一番栄える領地となることができるのですわ!」

「………」


 3人は唖然として、言葉が出ない。

 まわりの聴衆も3つの土地の優位性がわかってきて、うらやましさを感じるほどだ。


「ぜひ、今から宿場の設計をお始めくださいませ。

 コブルーに集まる異国の商人たちも、きっとたくさん王都に参りますよ。スリマラビヤ、スラーラ、バンサラー…。

 途中でどの宿に泊まるか、というのが異国の商人たちの話題となるでしょう。

 ぜひ、競い合って、最高の宿場を設計してくださいませ」


 それからレオストを見る。

「殿下! 街道ができました暁には、ぜひ、定期乗り合い馬車を走らせてくださいませ!」


「お、おお。良い案だ」

 レオストはニッコリした。


 3人はウググともぐもぐしながらも、言葉が出ず、黙ってお辞儀をして、ミナから離れていった。

 あちこちでクスクスと笑い声が聞こえる。



「ミナ、見事だな」

 レオストもクックッと笑っている。


「カルドゥスが支援した理由がわかったぞ。街道を商人たちに任せることで、逆に商人を呼び込み、繁栄を招くのだな」


「はい、殿下。物流は経済のかなめ。人間で言えば、大動脈なのでございます。これを強化すれば、経済も回りますし、有事には強い基盤となるのでございます」


「なるほど。やはり君は頭がいい」

 レオストは満足して笑った。

「恐れ入ります」


 ふと横を見ると、そこにまだ若い男性が一人近づいてくる。少し青みがかった黒い髪が、レオストに似ていた。大きなグレーの目が美しい。


「父上」

「おお、ゼビルス。来たか」

「はい。今のお話、聞かせていだたきました」


 そして、ミナに向かって手を差し出し、正式な礼を求める。ミナが手を差し出すと、その手を取って口づけをした。


「お初にお目にかかります。王弟レオストが長男、ゼビルスにございます。ミナ殿。お見知りおきを」


 その貴公子らしいふるまいが美しくて、ミナはうっとりした。

「まあ、こちらこそ。ゼビルス様。ミナにございます」


「さきほどのすばらしいご対応。感服いたしました」

 そう言って、ミナの3人の所長に対する対応を褒めるのだった。


 そして、レオストを見上げて言う。

「父上がミナ殿をわざわざブリアから呼んだ理由が、よくわかりました」


 そして、クスッと笑う。

「母上はなにか勘違いをしておいででしたが…」

「やめよ。それは誤解だ」

 レオストはムスッとして顔をそむけた。


(ははん…)

 ミナはその意味がわかった。


「ミナ殿。もしお時間があれば、私に王都のご案内をさせてくださいませ」

 ゼビルスはキラキラとした目で言うのだった。


(平民の私にこんなに丁寧に…。すごくいい子…)

 ミナはゼビルスが気に入ってしまった。


「では、お言葉に甘えて、お願いしてもよろしいでしょうか。

 わたくしはこの国の若者が育つ場所や訓練の場所を見たいのでございます」


 ミナは王族と一緒でなければ見られないような場所が見たいと思った。


ゼビルスはなぜミナにこんなに親切なのか……??


この小説は、読みながらいつの間にかビジネス感覚が身につくという、世界初の機能小説です。よかったら、ポイントをつけて応援してくだると嬉しです! よろしくお願いします。


用語集


ミナ … 主人公。ブリア侯行政顧問という地位を得る

3人 … 3つの領地の王都出張所所長

レオスト … 王弟。ミナの知恵を信頼し、支援する

コブルーからフリストルまで …この3つの領地を通る街道

アラゴンキア … ミナの住む国

シェルバ … エレミア領の所長

スラマラビヤ、スラーラ、バンサラー … コブルー港を利用する異国

カルドゥス … 財務庁長官


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=828069169&size=135
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ