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読んでくださりありがとうございます!
とってもめんどくさ…げふんげふん。失礼いたしました。とても労力のいる文化祭も終わり、セミがみんなで大合唱をする季節になりました。
ちなみに、テストは音速で過ぎ去っていきましたよ。耳元を「ブワーン」と言いながら過ぎて行きました。
結果ですか?いつも通りでしたよ。
生徒会長たるソフィーさんが学年トップで、ナレオンくんが次席、私は5位でカイリは23位でした。
え?キンキラキンなあの人はどうしたかですか?
お察しの通り、下から数えた方が早いらしいですよ。
そうです!
文化祭から変わった事が2つあります!!
まず、王太子さんの態度ですね。
春休みに国王王妃両陛下に伝えられた通り、嫌われてしまったようです。
廊下をすれ違ったのでこちらが会釈しても無視、生徒会の連絡があって王太子さんに話しかけても無視、挙げ句の果てに授業で研究班を作った時も無視です。
あまりに無視されるので、王太子さんの声を忘れてしまいそうです。
まあ、こっちはいいんです。王太子さんの気持ちも分からないでもないですし、高等部でのあの杜撰な扱いと比べれば、子供の我がままのようです。
もう一つは、問題…というよりも物すごく面白い事案です。
最近、私たちとお喋りしているとカイリが、ふと物足りなさそうな顔をするんです。気になって聞いてみたら、こう言われました。
『あのタオイラ先輩、存在感でかすぎ。来てたら来てたでうざいけど、来てなかったら来てなかったで物足りないんだよね…』
その時のカイリの顔と言ったら…スマートホンがあれば、写真を撮ってタオイラ先輩に送りつけてましたよ。
それくらいしょんぼりしてたんです。
タオイラ先輩、良かったですね。
あと少し、あと少し押せば落とせますよ。
頑張ってください。
…と、そろそろ現実逃避は終わりましょうか。
目の前に転がってる事案を片付けるのが先決です。
「いやぁ…これは酷いわねぇ…」
「折角、武闘会の用意してたんすけどねぇ…一からやり直しっすねぇ…折角、先輩にめんどくさい仕事押し付けられたのに…」
「フィクシリアくん?聞こえてるわよ?」
「っと、これは失敬、失敬。失礼しました。」
「あのねぇ…」
きちんと反省してるの?、ソフィーの台詞はそう続くはずでした。
ですが、彼女の台詞が続く前に、空からなにか降ってきました。そう、白くて、大きな…ハリセンが。
「てんちゅーーーーーーーー!」
「わぶっ!!」
「…はぁ。レベッカちゃん、実力行使も良いけれど、程々にしなさい。フィクシリアくん伸びちゃったわよ。」
「はあい。やりすぎました、ごめんなさい。」
そう言って、ぺろっと舌を出すレベッカちゃんです。
…これはひとつ前の前世で言う“てへぺろ”ですかね。可愛いから許されるんですよ。
まあ、フィクシリアくんは、それどころじゃなさそうですが。
頭にでっかいたんこぶを作って、地面とお友達になっています。ジメンリアくんの誕生です。
「というか、レベッカちゃん、またハリセン大きくなったわね?攻撃力が20は上がってるわ!!」
「はい!ひとまわりほど大きくしてみました!!前のじゃ、シュタレリン先輩には通用しなくなったので!!」
「シュタレリンくんの適応能力、末恐ろしいわ…」
「レベッカちゃん、武力行使で反省させるのも良いけれど、空は飛ばないようにね。ドレスの中が見えちゃうわ。」
遠回しに、はしたないからやめなさい、あと空飛ばなくても攻撃力は充分だと伝えると、レベッカちゃんは良い笑顔になりました。
そのいい笑顔でこっくり頷いてくれるんですが…なんだか信用できないんですよね。
反省よりも喜びを表現するのに適した顔だからでしょうか?
なぜでしょう?
「とは言っても、今日はシュタレリンくんは来てないわよ。よくハリセンを持ってたわね。」
「え?シュタレリン先輩はいらっしゃいませんけど、フィクシリアの馬鹿…失礼いたしました。フィクシリア様はいらっしゃりますから。先輩よりも不遜な態度を取るので、ハリセンがいります!」
「そ、そうなの…」
ちなみに、こんな感じの応酬は最近生徒会室でよく見る光景です。
生徒会室でなくても、校内でも見かけます。
シュタレリンくんが後輩を口説いているところを目撃しては、ハリセンでぶっ叩き、生徒会室で昼寝をぶちかましたフィクシリアくんを、ハリセンで更に深い眠りに誘ったり、シュタレリンくんが砂糖を吐くような台詞を言ってはハリセンが降ってきたり…してます。
あくまで、一部です。
他にもたくさんありますよ。
あ、ルワンダくんは心根が良い子なので、ハリセンで、叩かれるような真似を絶対にしません。ただ、変に脳筋なところがあり、ハリセンで叩いてるレベッカちゃんに対して、“カッコいいんだぜ〜!”と憧れを抱いています。
ですが、ハリセンで叩かれてる2人は妙に打たれ強いので、果たして効き目があるのかどうかは微妙です。
初めの方は、ソフィーと、レベッカちゃんがしっかり意見の言える子で良かったと言っていましたが、最近は逆に不安です。
え?誰がですか?
もちろん、ヴィネットちゃんはじめ2年生の女性陣です。
あの子たちは良くも悪くも貴族令嬢です。
シュタレリンくんのセリフにすら、頬を染めふらふらと付いてきてしまうほどです。
なので、あの3人が来年からも耐えられるかどうかが、不安で不安でたまりません。
2年生になっても不遜な態度を取り続けるフィクシリアくんと、甘い台詞で後輩を引っ掛けるシュタレリンくんを、レベッカちゃんがハリセンでぶっ飛ばし、それを見たルワンダくんが“すごいんだぜ〜!”と憧れ、そんな4人を止めるに止められず、オロオロする3人…あまりに容易に頭に浮かびすぎて怖いです。
「リリー先輩?」
ふと顔を上げると、レベッカちゃんか「どうされました?」という表情で尋ねてきました。
ああ、側から見たら、ぼーっとしてるだけに見えますからね。
考えごとのしすぎは良くないですね。
「あ、うん?なに?」
「いえ…この惨状を前にすれば、現実逃避をしたくなるのも分かりますし…」
今、ぼそっと呟いたその台詞、私は聞き逃さなかったですよ?
現実逃避ではないですからね?確実に。
「っ、言いたい事は色々あるすけど、とにかく片しますか…!」
「そうね。悪いけど、今夏休み中だし、ヴィネットちゃんたちと、ルワンダくん、あとシュタレリンくんには休んでもらってるわ。」
暗に、男手では貴方だけよ、頑張ってねとソフィーが伝えると、フィクシリアくんが辟易とした顔になりました。
今にも『マジかよ〜ゲロゲロ〜』と間延びした声が聞こえてきそうです。
流石に言わないみたいですけど。
あ、そう言えば現状についてなにも伝えて無かったですね。
すみません。
今、私たちの目の前には、惨状としか形容できない状況が広がっています。
今年は夏休みが入る前に、武闘会の用意をある程度していたんです。
そして先日、ある連絡をソフィーから受けて屋敷から学園に戻ってきました。
その連絡というのが、武闘会に使うー普段は、部活とか男子の体育で使うー訓練場にあらかじめ置いてあった看板が倒れ、他の荷物を潰してぐちゃーっとしてるというものでした。
看板始め、他の荷物もその殆どが生徒会会員の血と汗と涙の結晶です。それがぐっしゃぐしゃに潰れてしまったんですよ。
やり直しです…
片付けもありますし、大変ですね。
「でも…どうして倒れたんでしょう?普通においてあるどころか、多少押しても耐えられるはずですよね?」
「そうね…もし、そうじゃなかったとしたら、看板作りのマニュアルを変えなきゃいけないわ。」
「それも調べないとだね…やる事多すぎ!!夏休みよね?なんで仕事量増やすのーーー!!」
「まあまあ、お気持ちはわかりますから。落ち着きてください、リリー先輩。」
レベッカちゃんに窘められちゃいましたね。
恥ずかしいです…
…と、そういえば、いつもはすぐに人の揚げ足をとるフィクシリアが無言ですね。
どうしたんでしょう?
「先輩方〜。ちょっといいすか〜?」
「ん?どうしたの?…レベッカちゃん、ハリセンは構えなくていいわよ。」
「何かあった?…だからと言って、ハリセンを振って威嚇する必要もないわよ、レベッカちゃん。」
「おお…たんこぶが痛くなってきた…って、そーじゃないんすよ。」
『見てください、これ』とフィクシリアくんが示したのは、看板を支えていたはずの脚の部分です。
そして、その根本部分には…ナイフでえぐったような傷が付いてます。しかも、4本全てにです。
どうやら、これが元でぽっきり折れたようですね。
「俺、看板片そうとしてたんすけどね…これって、どう見ても人工的に付けられてますよね。」
「そうね、これは人工的に付けられてるわね…だれか生徒会に翻意でもあるのかしら。」
「さすがにそれはないと思うよ…愉快犯かなぁ。」
「愉快犯だったとしても…夏休み中ですが、誰が来るか分からないんですよ?もし、怪我でもさせたらどうするんでしょう?!」
「まあまあ。そんな怒んないの。プリプリしてたらシワがつくよ?レベッカちゃん。」
「なれなれしく、レベッカちゃんって呼ばないでくれますか?フィクシリアくん。またハリセンで叩きますよ。」
「そしたら、俺、気絶しちゃうよ?男手ゼロだよ?いいの?」
「これくらい、耐えてもらわなきゃ。」
「…酷っ。」
「まあまあ、2人とも。レベッカちゃんはハリセンをしまって、フィクシリアくんは看板を片してくれる?犯人探しや、理由探しは夏休み明けにしましょう。先ずは片付けよ。」
「はい!」
「へーい。」
「…ハリセン…」
「…だめよ、レベッカちゃん…じゃあ、フィクシリアくんは大きいものを側に避けてくれる?レベッカちゃんは掃除用具と塵袋を取ってきて。用務員室にあるはずよ。」
「分かりました!」
「もう、やってますよ〜」
「私とリリーは小さな物を避けるわよ。…リリー?どうしたの?」
「あ…うん…」
ごめんなさい、ソフィー。
貴女の話を半分も聞いていませんでした。
ひとつ前の人生に関して、思い出した事があるんです。
日常でいろんな人生の知識を使うから、あまり特定で出てこなかったあの記憶を、詳しく思い出したんです。
…カイリは、光猫のストーリーに関わっています。
看板の事故は…この事故は…光猫でも起こるんです。




