↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生忍者は忍べない ~今度はひっそりと生きたのですが、王女や聖女が許してくれません~  作者: 黒鍵


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

387/407

380 邪神の子と旧友の拳

シルバーウイークが終わりましたね(T_T)

あと二日頑張りましょう<(_ _)>

スカイ視点のままです。

 ロキたちのもとへ、俺とリヴィアエルは一気に詰め寄る。ふと視線を下げる。足元では、白き炎が煌めいていた。


 俺は久しぶりに、三体の神獣と合神(がっしん)した。昔と比べて体への負担は少なく、以前よりも馴染んでいる。


 理由は分からないが、嬉しい誤算だ。これなら漆黒の狼と影の女性を相手にしても、問題ないだろう。


 翼を畳み、一気に加速してリヴィアエルを抜き去ると、漆黒の狼と影の女性を襲っていた波の斬撃が消え去る。


 ちらりと後ろに視線を走らせる。その先で、リヴィアエルが小さく頷いていた。俺も頷き返し、前を向く。


 そして、冷厳の戦鎚を持ち直し、ロキの子どもたちに突っ込んだ。


 目の前に迫る俺に、二人は襲いかかる。だが、地面を滑るように走る俺は、くるりと方向を変え、攻撃を回避した。


 次の瞬間、二人に詰め寄り、横向きのまま戦鎚を前に出すと、そのまま漆黒の狼と影の女性を押し出し、ロキから引き離した。


「あとは任せたぞ、リヴィアエル」


 その言葉にリヴィアエルは軽く手を挙げて応じ、ロキのもとへ真っすぐに突っ込んだ。


 直後、激しい斬撃の音が校庭に轟く。竜たちの神リヴァイアサンと同化した彼なら、邪神ロキにも負けることはないだろう。


 俺は目の前の敵に集中する。影の女性が俺に押されながらも、漆黒の狼を突き飛ばした。その姿は、弟を守る姉のように見えた。


 やはり彼女たちが悪とは思えなかった。アークじゃないが、光に怯え、影に身を潜める悲しき存在――そう感じてしまう。


 そのとき、漆黒の狼が咆哮を上げ、大きく口を開けて襲いかかってきた。驚くことに、頭だけを巨大化させ、俺を飲み込もうとしている。


 影の女性を助けようとする漆黒の狼。だが、その攻撃は彼女を巻き添えにする。舌打ちをして彼女を突き飛ばし、大きく跳躍して回避する。


 漆黒の狼は地面に激突するが、すぐに起き上がり、こちらを睨む。その後ろには影の女性が佇んでいる。


 戦鎚を構え、二人を牽制する。


 ロキさえ倒せば、彼女たちが戦う理由はなくなるはずだ。油断することなくリヴィアエルとロキへ視線を向けると、二人は激しく打ち合っていた。


 時折、ロキがリヴィアエルを挑発するような言葉を放つ。だが、彼はその戯言に一切応えず、ロキの深緑の鱗を確実に剥がしていた。


 その光景に安堵し、わずかに肩の力が抜ける。一瞬だけ隙が生まれた。影の女性は自らの影を伸ばし、その中から無数の手を伸ばして俺を抑えつける。


 両手両足に絡みつく数え切れないほどの影の手。必死に引き剥がそうとするが、無限に生えてきて逃れられない。


 再び、漆黒の狼が巨大な口を開け、襲ってきた。獰猛な牙を覗かせる口が眼前に迫る。刹那、純白のブーツから白炎が迸った。


 それはすべての影を燃やし尽くすと、凄まじい推進力へと変わり、その場から俺を連れ去った。


 氷上のように地面を滑り、移動する。その動きは流麗で不規則。漆黒の狼が追いかけるが、距離が縮まることはない。


 また、影の女性が自らの影を校庭を覆うほど広げ、無尽蔵に手を生み出し、俺を捉えようとする。だが、触れることさえできない。


 ロキの子どもたちを翻弄し続けると、二人は次第に動きが鈍くなっていく。いくら邪神の子とはいえ、永遠に動けるわけではないみたいだ。


 苦笑いを浮かべ、くるりと体を回転させると、後ろを追ってくる漆黒の狼を見やる。その瞳は黒く、感情は読めない。だが、疲労は滲み出ていた。


 だらしなく口から舌を出す漆黒の狼。その姿に眉を下げ、俺は冷厳の戦鎚をやつに向かって振り下ろした。


 その瞬間、漆黒の狼の周りに氷の檻が現れ、やつを捕らえる。俺は戦鎚を手放して雄牛の姿に戻して、やつを監視するように命じる。


 そして、影の女性へと視線を向ける。彼女は俺を攻撃することなく、漆黒の狼へ影から無数の手を伸ばしていた。


 やはり、二人が滅するべき悪とは思えない。両足に力を込めると、純白のブーツは白炎を上げ、俺を前へと押し出した。


 走ることなく、前へと突き進み、勢いよく足を振り上げ、回し蹴りを繰り出した。くるくると回りながら影の手を切り裂き、影の女性へと近づいていく。


 やがてすべての影の手を消し去り、彼女の前に立つ。それでも彼女は手を伸ばし、襲いかかる。だが、彼女よりも早く、足元の影を踏み抜いた。


 その瞬間、白い爆炎が立ち上り、周囲の影を燃やし尽くす。すると、白き牢獄へと変わり、彼女の自由を奪った。


 俺は白炎のブーツをゴクウへ戻し、彼女を見張るように告げ、リヴィアエルのもとへ歩き出した。


「お、お願いです。お、お兄様を、た、助けて」


 振り向き、目を見開く。顔のない女性だと思っていたが、闇よりも深い漆黒のベールで隠されていただけだった。


 彼女は口元だけを出して、俺に語りかけた。その言葉に嘘は感じられず、苦笑いを浮かべる。


「ああ、あの狼なら殺すことはしない。大人しくしていれば、傷つけることもないさ。悪いが、お前たちに構っている暇はない。すぐにロキを倒しに行かせてもらう」


 それだけ告げて、その場を去ろうとした俺に、彼女はもう一人の兄(・・・・)のことを伝えた。俺は目を見開き、すぐにリヴィアエルのもとへ飛び立つ。


 激しく打ち合うリヴィアエルとロキ。ロキの体を覆う鱗は剥がれ落ち、その蛇の顔は苦痛に歪んでいた。


(くそ、時間がない!)


 俺は二人の間に割って入ると、背中にリヴィアエルの刺突を受ける。ぐっと激痛に耐え、ロキを押さえ込み、その顔面を鷲掴みにした。


「おい、スカイ。邪魔をするな! あと少しでこいつは死ぬ」


 リヴィアエルの声が背中に響く。説明する時間も余裕もない。何も答えず、ロキの顔面へ爪を食い込ませた。


 次の瞬間、ロキの顔から蛇の仮面が剥がれ、全身を覆う深緑の鱗が消え去った。俺は深緑の仮面を影の女性へと投げ渡す。


 すると、それは次第に本来の姿――巨大な蛇へと形を変えた。


「つくづく外道だな、ロキ。まさか、子どもに自分への攻撃をすべて肩代わりさせていたとはな」


 俺は起き上がると、ロキに向かって、言葉を吐き捨てる。


 やつの子どもは三人だった。巨大な蛇と、影の女性と、漆黒の狼。そして、ロキは蛇の子どもを身に纏い、防具として使っていたのだ。


 自らの子どもを道具のように扱う邪神。怒りが湧き上がる。


 俺は神衣バハムートを神槍へと変えて構える。目の前に、金髪の美しい巨人の男が立っている。だが、その表情は恐怖で歪んでいた。


「ああ、この顔だよ、スカイ。僕が会ったロキは。なるほどね、こっちが本当の姿だったんだね。また騙されたよ。でも、もう飽きたな」


 つまらなそうに呟くリヴィアエル。彼は海源の矛ネプトゥヌスを構え、腰を沈めた。


 俺とリヴィアエルの視線が重なる。刹那、紅蓮と紺碧の刺突が閃き、邪神ロキの身体を無数に穿った。


 バハムートで突かれた箇所は炎に焼かれ、ネプトゥヌスに射貫かれた箇所は純白の塩へと変わっていく。


 やがてすべてが焼かれ、崩れ去り、その存在は消え失せた。俺はバハムートを肩に担ぎ、リヴィアエルへと歩み寄る。


 彼は恥ずかしそうに頬を掻き、そっと拳を突き出した。その姿に目を見開くが、すぐに笑顔に戻ると、俺はこつんと拳を合わせた。

※『転生忍者は忍べない』は400話で完結します。

今回で380話。最終回まで残り20話となりました。

最後までお付き合いいただけると嬉しいです<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 今回も臨場感が半端なかったです╰(*´︶`*)╯♡  蛇、狼、黒いベールの女性ーー3人がロキの子供だったとは……  あとがきに綴られた400話完結のお言葉にしばし固まりましたが、  続編や番外…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。