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転生忍者は忍べない ~今度はひっそりと生きたのですが、王女や聖女が許してくれません~  作者: 黒鍵


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379 邪神ロキと堕天使の怒り

連休も最後です。ここまでお付き合い頂きありございました<(_ _)>

ブクマや応援も感謝です(//Д//)

視点はスカイです。

 俺は何万年ぶりに会った旧友の姿に眉をひそめる。かつて俺の部下だった智天使リエルの面影はなかった。


 彼は竜神リヴァイアサンと同化することで、熾天使と渡り合えるほどの力を手に入れた。結果、その存在は悪魔や魔物に近いものへと変わっていた。


「なに、ぼうっと見てるの、スカイ?」


 リヴィアエルは海源の矛ネプトゥヌスを肩に担ぎ、首を傾げる。その仕草は昔と変わらぬ旧友のものだった。俺は肩をすくめて答える。


「いや、何でもない。助かったよ、リヴィアエル。それで、なんでお前がここにいるんだ」

「ああ、それは、俺を騙したこいつを倒すためだよ」


 彼は矛先を邪神ロキに向け、静かに告げた。その眼差しには怒りの色が宿り、普段の気だるげな雰囲気はなかった。


「久しぶりだな、リヴィアエル。といっても、三カ月ぶりぐらいか。あのとき、お前が魔界の門を壊していたら、こんな面倒なことをしなくて済んだんだがな」


 ロキはいつの間にか傍らに立つ漆黒の狼を撫でながら呟く。その隣には、女性の形をした影が佇んでいた。


「……本当にあのときは酷い目に遭ったよ。危うくルチーフェ――じゃなくて、アークに殺されるところだったからね。で、なんでそんな格好をしてるのかな、ロキ」


 リヴィアエルはネプトゥヌスを構え、じっとロキを睨みつける。


「ああ、そうか。お前には偽りの姿しか見せていなかったな。これが本来の俺の姿なんだよ」


 やつは漆黒の狼から手を離し、胸元に手を当てて誇らしげに告げた。芝居がかった仕草が、一段と胡散臭い。


「そうなんだ。まあ、俺を騙すんだ。お前でも、後ろめたくて素顔を晒すことはできなかったってわけか。それで、その気味の悪い黒いやつらは?」


 俺がロキを油断なく観察していると、リヴィアエルが言葉を続ける。


「おいおい、酷いな。こんなにも可愛いのに。こいつらは俺の子供だ。魔界の最奥に潜んでいるとき、巨人の魔人の女を攫って産ませた。まあ、女の方は出産の激痛に耐えられず、死んでしまったがな。いい仕事をしたぜ」


 そこで言葉を切り、やつはにやりと顔を歪めた。反吐が出る行為に、怒りが溢れ出てくる。


 その瞬間、リヴィアエルが消えた。


 鋭い打撃音が校庭に響き渡る。気づくと、ロキは吹き飛び、地面を跳ねながら転がっていた。


「わかった。もういい。喋るな」


 リヴィアエルが海源の矛ネプトゥヌスを突き出して告げた。彼の紺碧の竜眼は、中央の瞳孔を縦一文字に細めている。


 やはり堕天しても、リヴィアエルの心は悪には染まっていなかった。悪魔だろうが、神だろうが、命を道具のように扱うことなど許されるはずがない。


 俺は彼の背中に智天使だったころの姿を重ね、口元を綻ばせる。そのとき、漆黒の狼と影の女性がリヴィアエルに襲いかかった。


「来い、ゴズ! それにゴクウ!」


 旧友の危機に大声で叫んだ。刹那、空間が裂け、そこから二体の神獣が飛び出す。


 俺に仕える神獣。冷厳の雄牛――牛頭天王のゴズと、白炎の猿(ましら)――斉天大聖のゴクウだ。


 二体の神獣は、漆黒の狼と影の女性を蹴散らし、地面に倒れたロキのもとまで一気に押し返した。


 リヴィアエルの前に守るように立つゴズとゴクウを見て、安堵の息を吐く。すると、すぐに二体の神獣は俺のもとまで駆け寄り、小さく頭を下げた。


 ゴズたちに礼を述べ、顔を上げる。視線の先には、ロキの手を握り、起き上がらせようとする影の女性の姿があった。


 彼女の肩からは、黒い血が滴り落ちている。だが、やつは礼も言わず、こちらのほうを向いた。


「怒るなよ、リヴィアエル。ひとつの命は犠牲になったが、新たに二つの命が誕生したんだ。それとも、お前を騙したことか? それなら騙されたお前が悪い。俺たちは悪魔だ」


 やつの戯言に、リヴィアエルは無言で紺碧の矛を横薙ぎに振るった。直後、津波のような斬撃がロキに迫る。


 漆黒の狼と影の女性がすっと前に立ち、紺碧の衝撃を受け止める。それは波のように何度も襲いかかるが、二人はじっと耐え続けた。


 その姿に、わずかに胸が苦しくなる。たとえ邪神の子どもでも、親を必死に守ろうとする二人が、いたたまれなかった。


 ゴズとゴクウの頭を撫で、そっと告げる。


「すまないが、力を貸してくれ」


 その瞬間、紺碧と純白の光が迸り、俺を包み込んだ。次第に視界が戻ってくる。右手にはずしりとした重さを感じ、足元にはふわりとした浮遊感を覚える。


 自然と笑みがこぼれる。手には冷厳の戦鎚が収まり、足には白炎を纏った純白のブーツがあった。


 リヴィアエルはそんな俺の姿に目を細める。そして、漆黒の狼と影の女性の後ろに隠れているロキは眉をひそめた。


「リヴィアエル、悪いがロキを頼む。その間、俺は漆黒の狼と影の女を抑える。ロキを倒せば、やつらも解放できるかもしれん」

「ふっ、相変わらずお人好しだね。けど、嫌いじゃない」


 俺たちは笑い合うと、ロキたちのもとへ一気に駆け出した。

ここまで、読んでくださり感謝です(//Д//)

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― 新着の感想 ―
 牛頭(ゴズ)と斉天大聖白炎の猿(ゴクウ)ーー  神獣の登場に思わずニヤリです。  リヴィアエルさんの海源の矛ネプトゥヌスが津波を起こすシーンは、  海神ネプチューンと海の大精霊リヴァイアサンを彷…
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