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転生忍者は忍べない ~今度はひっそりと生きたのですが、王女や聖女が許してくれません~  作者: 黒鍵


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374 破壊と再生の神

SWは連日投稿予定です。できなかったら、ごめんなさい<(_ _)>

こちらが重要でした。ガリュウ視点です。

 俺は鉄と肉の悪魔――デミウルゴスの懐に飛び込み、渾身の力で殴りつけた。その瞬間、紫電が迸り、やつの体がくの字に折れ曲がる。


 拳は腹部にめり込み、途中で何かに弾かれた。それでも、デミウルゴスは顔を歪め、呻き声を上げる。


 息をつく間もなく、やつの顔面を目がけて膝蹴りを放つ。だが、デミウルゴスの首元から鉄の仮面が突き出し、攻撃を防いだ。


 やつは顔を覆う仮面を剥がしながら、後方へ飛び退く。


「なかなかどうして、すごい力ですね。さすがは破壊の神です。ですが、絶えず肉体を改造し続ける私に、どこまで通用するのか――。データを取らせていただきます」


 そう告げ、デミウルゴスはモノクルをつまみ、紅の瞳をこちらに向けた。やつの瞳には十字の線が浮かび、絶えず動いている。


「好きにすればいい。どうせ、役に立つことのないものだ。……いや、そのデータごと破壊してやるよ」


 俺は腰を落とし、拳を突き出した。その瞬間、背中から新たに四本の腕が生える。阿修羅を彷彿とさせる姿に、やつは目を見開いた。


「なるほど、さきほどの攻撃は様子見だったのですね。いいでしょう。私も本気を出しましょう」


 デミウルゴスはにやりと笑い、両手を広げた。すると突然、両腕の生地が弾け、無数の鉄の触手が突き出る。


 その形は様々で、針のように鋭く尖ったものもあれば、十字を象ったものもあった。他にも、金槌や鋸など、見覚えのあるものも混ざっている。


 蛇のように蠢く無数の触手。それは意志を持つかのように、様々な角度から俺に襲いかかった。


 六つの拳を握りしめ、じっと見つめる。すると、視界に違和感を覚えた。そっと額に手を当て、その正体に気づく。


(なるほど、ここにも目があったのか)


 いまだに自分の姿が分からない。だが、今はそんなことを確かめている余裕はない。俺は大きく踏み出し、迫りくる針のような触手を掻い潜る。


 そのまま走り出すと、三つの目を駆使して、鉄の触手の動きを観察した。やはり、どれもが自らの意志で動いているようだ。その動きは千差万別だが、統率されてはいない。


 ならば、対処は簡単だ。俺は右側から迫る鉄の触手の群れをぎりぎりまで引き付け、大きく上半身を仰け反る。


 鼻先ぎりぎりを通り過ぎる触手。一拍の間のあと、左側から鋸の触手が、顔を目がけて振り下ろされた。


 その軌道を見極め、鋸を掴み、目の前を通り過ぎる触手を蹴り上げる。すると、触手はぐにゃりと曲がり、他の触手と衝突した。


 それだけで、無数の触手の動きは鈍る。俺は口角を上げ、上半身を元に戻すと、掴んでいた鋸の触手を手刀で切り裂いた。


 切断面から青い液体と油が滴り落ちる。一瞬、顔をしかめるが、切り離した鋸を掴み、デミウルゴスに向かって走り出した。


 無数の触手が一直線に伸びてくる。だが、我先にと競い合い、互いの動きを邪魔する。その姿に苦笑いを浮かべ、やつの懐に飛び込むと、手に持った鋸を振り上げた。


 紫電を纏った無数の鉄牙が、デミウルゴスの右腕ごと周囲の触手を切り飛ばす。俺は鋸の触手を投げ捨て、六つの拳をやつの胴体に叩き込んだ。


 だが、デミウルゴスの腹部を突き破って現れた鉄の義手が、こちらの攻撃をすべて防いだ。俺は舌打ちをして、大きく後ろへ飛ぶ。


「なるほど、ここまでの力とは。自動制御で相手を攻撃し続ける機械の触手でも、まるで歯が立たないとは……。一本一本に脳を備え付けたのが、逆に仇になりましたね」


 デミウルゴスは地面を蛇のように蠢く自分の右腕を見ながら呟き、残った左腕を見つめる。すると、それはぼとりと地面に落ちた。


 両腕を失ったデミウルゴスは、醜く顔を歪める。その瞬間、肩口から新たな腕が生えた。それは銀色に輝く巨腕だった。ただ、指先のすべてに穴が開いている。


「やはり、貴方を倒すには、自ら操縦するしかないようですね!」


 両腕を上げ、拳を構えるデミウルゴス。やつは叫び、疾走する。その巨体からは想像もできない俊敏な動き。瞬く間に俺の眼前へ迫ると、拳を振り上げた。


 殴り合いなら望むところだ。俺は獰猛に笑い、六腕を構えて迎え撃つ。銀と紺碧の打撃が閃いた。


 デミウルゴスは巨腕とは別に、腹部に生えた義手も使い、変幻自在の打撃を繰り出す。だが、俺にはバロンとランダの技量が、体の芯まで染みついている。


 最小限の動きですべてを回避した――そのはずだった。だが、避けたはずの手刀は、俺の体を通り過ぎた直後、脇腹を切り裂いた。


 思わず苦悶の表情を浮かべ、よろめく。その隙を見逃さず、デミウルゴスは攻勢を強めた。


 放つ手刀は鋭さを増し、腹部の義手はさらに数を増やし、乱撃を叩き込む。


 次第に体勢を崩され、防御に回る。六腕を前面に押し出し、やつの猛攻を凌ぐ。だが、じりじりと押し込まれ、六本の腕はズタズタに切り裂かれていく。


 歯を食いしばり、ただやつの攻撃を受け続ける。もはや限界は近い。すでに四本の腕は骨を砕かれ、使い物にならない。


 どうすればいいか分からず、奥歯を噛みしめた。そのとき、目の前にバチリと火花が散り、リューハとの死闘を思い出す。


 リューハは紫電を纏い、音速を超える動きを可能にしていた。もしかしたら、今の俺なら、やつと同じ動きができるかもしれない。


 俺は覚悟を決め、傷ついた四本の腕を消し、二本の腕だけを残す。そして、一気に神気を体中へ巡らせた。


 刹那、体中に電気を帯び、世界がゆっくりと流れ始める。目の前で手刀を突き出すデミウルゴス。その動きを、はっきりと捉えた。


 俺は襲いかかる手刀を半身で躱す。次の瞬間、やつの指先の穴から小さな触手が現れ、俺へと伸びる。見えない攻撃の正体が分かり、ため息をついた。


 まさか、こんな単純な攻撃に引っかかり、窮地に追い込まれていたとは――。緩やかに迫る触手を掴み、思い切り引っ張った。


 デミウルゴスは目を見開き、体勢を崩す。だが、その動きすら緩慢だった。やつが倒れ込みながら、こちらへ近づいてくる。


 俺は触手を離し、両手を構えて腰を落とす。それでもまだ、デミウルゴスは来ない。あまりにも遅すぎる。


 我慢できなくなり、自ら一歩踏み出すと、雷を纏った拳を突き出した。だが、やつは殴られても、すぐには表情を変えなかった。


 ならばと、雄叫びを上げながら、力任せに拳を叩き込み続ける。ようやくデミウルゴスの顔が歪んだが、その動きさえゆっくりだった。


 そこで、ようやく気づく。自分の感覚が異常なまでに研ぎ澄まされ、肉体も尋常ではないほど強化されていることに。


(……これが、リューハが見ていた景色か)


 彼の顔を思い出し、口角を上げる。そして、さらに腕の回転を上げ、猛烈な連打を叩き込んだ。


 直後、時間が徐々に速さを取り戻していく。ふと拳を止め、デミウルゴスの姿を見ると、巨腕も腹部の義手もすべて(・・・)破壊され、吹き飛んでいた。


 やつは地面を何度も跳ねて転がり、ようやく止まる。おそらく、百発以上は殴ったはずだ。けれど、やつは両手(・・)をついて起き上がった。


「こ、これはすごいですね。一体、何をしたのですか? 気づいたら、全身を殴られていました。だが、これだけのデータが揃えば、すぐに肉体を改造して、対応できます」


 やつが口角を吊り上げると、俺は肩をすくめる。デミウルゴスはまだ、自分の変化に気づいていないらしい。だから、俺は教えてやった。


「喜べ、デミウルゴス。俺がお前の体を元に戻してやったぞ。教えてやる。俺は破壊だけじゃない。破壊と再生(・・)の神だ」


 その瞬間、やつは両手を見て、顔を青ざめさせた。デミウルゴスの腕は生身に戻り、腹部から覗く肌も鉄ではなかった。


 俺が片方の拳をもう一方の手で包み、指を鳴らしながら近づくと、デミウルゴスは初めて恐怖で顔を歪めた。


 その表情に満足し、獰猛に笑う。そして一気に駆け寄り、渾身の連撃を叩き込んだ。生身の体に戻ったやつに、なすすべはなかった。


 デミウルゴスは無残に殴られ続け、気づくと体は徐々に崩壊し、黒い粒子となっていく。それでも俺は拳を止めることなく、殴り続けた。


 やがて、やつの体は霧散し、地面には、ひび割れたモノクルだけが落ちていた。


 俺はモノクルを拾い上げ、じっと見つめる。そこには、うっすらと自分の顔が映っていた。その顔は俺でありながら、どこか人であったころのバロンとランダの面影があった。


 モノクルを握り締め、苦笑いを浮かべる。


 そして、真の力を解放した疲れに抗えず、地面に座り込んだ。これでミザリーに怒られずに済むと安堵の息を吐き、妹やサラ、フォルテの無事を祈った。

忙しい中、読んでくださり感謝です(//Д//)

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― 新着の感想 ―
 ガリュウ殿下とデミウルゴスの死闘ーー  迫力が凄かったです。  腕を6本に目が三つの闘神ガリュウ殿下のファンになりました。  デミウルゴスが黒い粒子になり、ひび割れたモノクルが残るところ、  …
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