235 白銀疾駆、五矢の渦
再び短め、安定しない(T_T)
より多くの神気を全身に巡らせると、体毛は白く輝き、鋼鉄以上の強度へと変わる。筋肉も隆起して、深く刺さった矢を押し返した。
サリオまでは二十メートル。なぜか、やけに遠く感じる。だが、やることは変わらない。俺は腰を落とす。
ヤツが弓を構えた瞬間、全力で走り出した。左右にステップを踏み、的を絞らせない。さらに緩急をつけて遠近感を狂わせる。
それでもサリオは表情を変えず、微動だにしない。すっと弓を引き絞り、矢を放った。
細い鋭矢ではない。権能を帯びた筆矢が襲う。とっさに大きく横へ踏み込み、すぐに進行方向を変える。矢は軌道を下へ変え、地面に突き刺さった。
直後、地面が赤く塗り替わる。熱風が上がり、全身を焦がす。堪らず踏みとどまろうとして、すぐに歯を食いしばる。そのまま炎の絨毯を突き進む。
――焦げた匂いが鼻を刺し、いやでも熱さを意識させる。
だが、一瞬でも止まれば鋭矢の餌食だ。距離が縮まるほど威力は増す。神気をまとったこの体でも、易々と貫かれる。
四本の腕で顔面を庇い、走り抜ける。隙間から弓を構えるサリオが見えた。足元の灼熱に耐えながら、身を沈めて的を小さくする。
ヒュン、と大気を裂き、再び筆矢が地面に立った。一面が水色に塗り替わり、今度は冷気が襲う。
焼けた肌を冷まして都合がいい――そう思った瞬間、氷に足を取られ、転倒しかけた。だが、手をついて体勢を立て直す。
足の爪を立て、氷面に突き立てる。押し潰すように踏み込み、加速する。ザクザクと氷を噛み砕きながら駆けた。
残り十メートル。サリオの顔がはっきり見える。この距離なら、放つことができる矢はあと二本。残りの神気を絞り出し、全身に循環させる。
白い奔流となった。想像を超えて加速する。これならサリオが撃てるのは一度きり――自然と口角が上がる。
猛然と突き進むと、ヤツは五本の矢をつがえて構えた。瞬時に視覚を強化し、見極める。鋭矢が三、筆矢が二。一気に勝負をかけてきた。
サリオはすぐには放たず、ぎりぎりまで引きつける。距離はすでに五メートル。刹那、ふっと矢を離した。
五本の矢が絡み合い、螺旋を描く。脳を強化して軌道を読む。時間がゆっくり流れ出し、矢の動きがはっきり見えた。
互いの位置を入れ替えながら迫る矢。筆矢が鋭矢に触れた瞬間、――『上書き』されたように、それは闇へ消えた。続いてもう一本も消える。
見えている三本と、消えた二本。思考に雑音が混ざり、判断が一拍遅れる。
俺は考えるのをやめた。とっさに四腕を前面に構え、致命傷だけを避ける。ザシュッ、と肉を裂く音が三つが届くと同時に三カ所に激痛が走った。
二本の筆矢は権能を失ってただの矢となり、体毛に弾かれて落ちた。鋭矢だけが、腕と両脚を深く穿つ。
見えていた三本に意識を奪われた。太腿に立った矢が速度を奪う。だが、残り二メートル。サリオの矢より、俺の拳のほうが早い。一撃で仕留める。
そう決めて痛みを無視し、全力で踏み込む。残り一メートルを切った。獰猛に笑い、拳を振りかぶる。
瞬間、サリオが顔を歪め――背後から、声が届いた。
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