怖い人に助けられました
そして、おばさん用おつまみを大量に詰め込み、日本酒も買い足し、お尻が痛くなるほど飛行機に乗り、心配になるほどガタガタ言う飛行機に乗り換え、到着した、ヨーロッパの端の方の田舎の空港。
ほんの数日前も来たけど、キップはセバスチャンが用意してくれた。
今度は1人で切符を買いたいので、セバスチャンには離れるようにお願いした。
なので、ちょっと興奮気味。キョロキョロしてたら、ふらついた。
へたり込みそうになったけど、倒れなかった。誰かが腕をつかんでいる。
「動くな。椅子に横になれ、熱いタオル3つ、早く。」係の人に命令しているようだ。
ちょっと迫力のある声の男の人だ。ドイツ語?当たり前か、ここに日本人は1人だけだし。
『あの、』
「言う事を聞け、俺は医者だ。」なんか、逆らえない怖さがある。
大人しく横になると、首の後ろと、足首をタオルであっためてもらった。
なんか、楽になる。
「姫様!」
「あらあらあら・・・桃香ちゃん、具合悪くなったの?病院行く?」
おばさんのお迎えだ。セバスチャンも心配している。
「必要ないだろう。ちょっとした疲れと貧血だ。栄養のある物食べさせて、ゆっくり休ませれば大丈夫だ。」
「ありがとうございます。ちょっと、おばさん、空港の人に車いす借りてくるから、ここに居てね。」
『はい。』
いつの間にか、女の人達が群がっている。
よく見るとお医者さんは、20代半ば位、若くて、手足も長く、かっこよかった。
ちょっと青っぽくも見える黒髪を短く刈っている。
でも、すごく細い。黒いTシャツに黒っぽいジーンズという、ラフな格好だ。
「大丈夫ですか?何かお手伝いすることありますか?」
親切なお姉さん達・・・というわけじゃなさそう。
逆ナンパですか?こんな時に・・・目がお医者のお兄さんを見たまま、うっとりしてる。
「いや、大丈夫だ。」
「でも・・・」
「実は俺はバンパイアなのさ。俺に近づくとこの子みたいに倒れるぜ?」
茶目っけたっぷりに言うが、さっきと声のトーンが違わない?
「さ、解散!」
さっきはもっと、なんていうか、
「おい、何、人の顔見て失礼なこと考えてやがる。血ィ吸うぞ。」
うん。こんな感じの怖さだった。やっぱバンパイアかも。
「ふん。俺のキラースマイルを見破るとは・・・なかなか見所があるな。もう少しイイ女になったら会おう。血ィ吸ってやる。」
・・・おでこにチューされた。様に見えるかもしれないけど、舐められた。
味見?味見された!?なんかおでこが熱い。
それを、おばさんに見られた。なんか喜ばれた。でもあれ、絶対味見だと思う!




