↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三國乱世録 〜戦国転生〜  作者: 月城 リョウ
第九章「融合の時代」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
42/46

第一節「三年後の世界」

三年が過ぎた。


三者評議は、表面上は順調に機能していた。


劉備が民を守る権威を持ち、織田信長が軍事を、孫権が交易を管理する。それぞれの領地で、民は比較的平穏に暮らしていた。


だが、水面下では、三者の緊張が高まっていた。


---


越後、劉備の本拠では、諸葛亮が報告をしていた。


「主公、織田殿の動きが活発化しています」


「何があった、孔明」


「尾張から美濃にかけて、兵を増強しているようです」


諸葛亮は地図を指した。


「恐らく、京を完全に支配するつもりでしょう」


劉備の表情が曇った。


「分かっていた...孔明」


「主公?」


「あの方が、簡単に人と手を結ぶ方でないことはな」


劉備は深く息を吐いた。


「それでも、信じたかったのだ」


関羽が前に出た。


「主公、織田と戦う準備をすべきです」


「いや、まだ早い」


劉備は首を横に振った。


「信長殿と話をする。まだ、戦う必要はない」


張飛が不満そうに言った。


「兄者、信長は最初から俺らを信用してねぇんだ。話し合いなんて無駄だぜ」


「翼徳、それでも私は信じる」


劉備は立ち上がった。


「人は変われる。信長殿も、きっと...」


諸葛亮は、劉備の横顔を見た。


この人は、どこまでも人を信じる。それが強さでもあり、弱さでもある。


---


尾張、織田の本拠では、信長が家臣たちを集めていた。


「藤吉郎、元康、半兵衛、光秀、利家」


五人が揃って膝をつく。


「三年間、劉備と孫権に付き合ってやった。だが、もう終わりだ」


信長の声は冷たかった。


「これより、我らは京を完全に支配する」


竹中半兵衛が地図を広げる。


「殿、劉備殿と孫権殿が黙っているとは思えません」


「構わん」


信長は断言した。


「劉備の理想など、所詮は綺麗事だ。力がなければ、何も守れぬ」


秀吉が口を開いた。


「殿、しかし劉備殿は民から支持されています」


「藤吉郎、貴様はまだ劉備に未練があるのか」


信長の目が、秀吉を射抜いた。


「い、いえ...」


「ならば黙っておれ」


信長は立ち上がった。


「全軍、京へ進軍する。劉備も孫権も、俺が倒す」


---


瀬戸内、孫権の本拠では、周瑜が報告していた。


「殿、織田が動き出しました」


「やはりか」


孫権は穏やかに頷いた。


「予想通りだな」


「殿、我らはどうしますか」


「劉備殿に使者を送る」


孫権は立ち上がった。


「織田を倒すには、劉備殿と手を組む必要がある」


「では、殿は劉備殿を...」


「信じているわけではない」


孫権は冷徹に言った。


「ただ、今は織田が共通の敵だ。それだけだ」


---


数日後、劉備の元に孫権からの使者が訪れた。


「劉備殿、織田が京を狙っています。我らと手を組んでください」


劉備は使者を見た。


「分かりました。孫権殿に伝えてください。共に、織田殿を止めると」


使者が去った後、諸葛亮が言った。


「主公、孫権殿も信用できません」


「分かっている、孔明」


劉備は窓の外を見た。


「だが、今は織田殿を止めることが優先だ」


「では、出陣の準備を」


「ああ」


劉備は剣を握った。


「信長殿...貴方と、再び戦わねばならぬのか」


---


京では、民たちが不安に怯えていた。


「織田が攻めてくるらしい」


「劉備様は?」


「劉備様も来るらしい」


「また、戦か...」


民たちの声が、京の街に響いていた。


---


その夜、秀吉と家康は二人で話していた。


「元康殿、このままで良いのでしょうか」


「分かりません、藤吉郎殿」


家康は空を見上げた。


「殿は劉備殿を倒そうとしています。しかし、私は...」


「私も同じです」


秀吉は拳を握った。


「劉備殿から学んだことを、忘れられません」


「では、我らは...」


「まだ、決められません」


秀吉は家康を見た。


「だが、いずれ決断する時が来るでしょう」


二人は、静かに頷き合った。


---


関東では、曹操が荀彧と話していた。


「文若、織田が動いたな」


「はい、主公」


「我らは、どうする」


荀彧は少し考えた。


「主公、今は静観すべきかと」


「静観?」


「はい。織田と劉備が戦えば、両者とも消耗します。その隙に、我らが動けば...」


曹操は不敵に笑った。


「流石だな、文若」


「しかし、主公」


荀彧は曹操を見た。


「もし劉備殿が敗れたら...」


「その時は、俺が織田を倒す」


曹操は断言した。


「劉備の理想を潰すのは、俺だ。織田には渡さん」


---


越後では、劉備軍が出陣の準備をしていた。


関羽、張飛、趙雲、武田信玄、上杉謙信、真田幸村。


全員が、劉備の元に集まっていた。


「主公、準備が整いました」


諸葛亮が報告する。


「分かった」


劉備は仲間たちを見渡した。


「皆、聞いてくれ」


「...」


「私は、信長殿と戦いたくない。できれば、話し合いで解決したい」


劉備の声が震えた。


「だが、信長殿が民を脅かすのなら...私は戦わねばならぬ」


関羽が前に出た。


「主公、我らは貴方と共にあります」


張飛も声を上げた。


「兄者の想いを、俺らが守る!」


趙雲も静かに言った。


「主公、我らを信じてください」


信玄が笑った。


「劉備殿、貴殿は一人ではない」


謙信も刀を撫でた。


「儂らが、貴殿を支える」


幸村も前に出た。


「劉備殿、私も命を懸けて戦います」


劉備の目に、涙が滲んだ。


「皆...ありがとう」


---


数日後、京の手前で三つの軍が再び対峙した。


東から織田軍。西から孫権軍。北から劉備軍。


三年前と同じ構図。


だが、今度は違った。


信長の目には、冷徹な覚悟があった。


孫権の目には、冷静な計算があった。


そして、劉備の目には、深い悲しみがあった。


---


織田本陣で、信長が号令を出した。


「全軍、前進!劉備も孫権も、ここで終わらせる!」


孫権本陣でも、周瑜が号令を出した。


「全軍、織田を叩け!」


劉備本陣では、諸葛亮が劉備を見た。


「主公、号令を」


劉備は深く息を吸った。


「全軍...前進」


---


京の手前で、再び三つ巴の戦いが始まろうとしていた。


三年前の停戦は、脆くも崩れ去った。


今度こそ、決着がつく。


劉備の理想、信長の力、孫権の智謀。


三つの理念が、最後の激突を迎えようとしていた──。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。