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三國乱世録 〜戦国転生〜  作者: 月城 リョウ
第八章「義戦開始」

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第五節「新たな秩序」

関ヶ原での停戦から三日後、京で三者の会議が開かれた。


劉備、織田信長、孫権。


そして、それぞれの重臣たちが集まっていた。


---


諸葛亮が口を開いた。


「では、評議の詳細を詰めましょう」


竹中半兵衛が地図を広げる。


「京を中心に、三者で領地を分割します」


周瑜が地図を指した。


「劉備殿は北陸から越後。織田殿は東海から畿内。我らは瀬戸内から西国」


「それで異存はないか」


信長が問う。劉備と孫権が頷いた。


「では、軍事についてですが」


諸葛亮が続ける。


「三者の軍は、それぞれが独立して保持します。ただし、民を脅かす行為は禁じます」


「当然だ」


信長が答えた。


「京の統治は?」


孫権が問う。


「三者で交代制にします」


竹中半兵衛が答えた。


「一年ごとに、代表を交代します。初年は劉備殿、二年目は織田殿、三年目は孫権殿」


「民を守る権威は、劉備殿が持つ」


周瑜が付け加えた。


「しかし、実務は三者が協力して行う」


劉備は深く頷いた。


「分かりました。私は、民のために尽くします」


---


会議が終わり、それぞれの陣営に戻る途中、諸葛亮が劉備に言った。


「主公、これで良かったのですか」


「何が、孔明」


「主公なら、天下を取ることもできました」


劉備は首を横に振った。


「孔明、天下とは取るものではない。民から託されるものだ」


「...」


「信長殿も、孫権殿も、それぞれの想いがある。その想いを無視して、天下を取ることはできぬ」


劉備は空を見上げた。


「今は、三者で協力する。それが、民のためになる」


諸葛亮は深く頷いた。


「...承知しました、主公」


---


織田陣営では、秀吉と家康が信長に問うていた。


「殿、本当にこれで良かったのですか」


秀吉の声には、複雑な感情があった。


「藤吉郎、貴様は何が不満だ」


「いえ、不満ではありません。ただ...殿は天下を取れたはずです」


信長は窓の外を見た。


「劉備という男は、恐ろしいな」


「殿...」


「あの男の理想は悪くない。民が従う。それは事実だ」


信長は二人を見た。


「だが、今は貴様を敵に回すより、利用した方が利がある」


家康が前に出た。


「では、殿は劉備殿を...」


「利用する」


信長は冷徹に言い切った。


「劉備の理想が永く続くとは思わん。いずれ綻びが出る。その時まで、力を蓄える」


信長は刀を撫でた。


「今は協力する。だが、俺の覇道は変わらん。いずれ必要とあらば、劉備も斬る。それだけよ」


秀吉と家康は、背筋が凍るのを感じた。


信長は、何も変わっていなかった。


---


孫権陣営では、周瑜が孫権に問うていた。


「殿、劉備殿に民を守る権威を与えることに、異存はありませんか」


「ない」


孫権は即答した。


「劉備殿の在り方は、確かに人を動かす。それは、否定できぬ」


「では、殿は...」


「公瑾、劉備の"徳"は確かに人を動かす」


孫権は周瑜を見た。


「だが、それに飲み込まれてはならん。我らは我らの道を行く」


周瑜は微笑んだ。


「流石ですな、殿」


「劉備殿が民の心を掴む間に、俺たちは実務を固める。そして...」


孫権の目が鋭くなる。


「いずれ綻びが出た時、我らが天下を取る」


「では、我らは...」


「その時まで、力を蓄える」


孫権は立ち上がった。


「劉備殿を信じているわけではない。ただ、今は協力する価値があるだけだ」


---


劉備陣営では、関羽、張飛、趙雲が集まっていた。


「兄者、本当にこれで良かったのか」


張飛が問う。


「ああ」


劉備は頷いた。


「信長殿も、孫権殿も、それぞれの想いがある。その想いと、私の想いが結びついた」


関羽が静かに言った。


「主公、我らは貴方と共にあります」


趙雲も頷いた。


「主公の選択を、我らは支えます」


武田信玄と上杉謙信も加わってきた。


「劉備殿、今回の決断、見事でした」


信玄が笑った。


「貴殿は、戦わずして勝った」


謙信も刀を撫でた。


「儂も、貴殿の在り方を認めます」


真田幸村も前に出た。


「劉備殿、私はこれからも、貴方に仕えます」


劉備は仲間たちを見渡した。


「皆、ありがとう。私は...皆と共に、この地を守っていく」


---


その夜、劉備は一人、城の外に立っていた。


星空を見上げ、深く息を吸う。


「これで、良かったのだろうか...」


劉備は呟いた。


「主公」


諸葛亮が横に立った。


「孔明...」


「主公、貴方は正しい選択をされました」


「しかし、天下は...」


「天下は、まだ決まっていません」


諸葛亮は星空を見上げた。


「ですが、今日、一つの秩序ができました。それは、主公の想いが成したことです」


「孔明...」


「主公、これからも民を想い続けてください。それが、貴方の道です」


劉備は深く頷いた。


「ああ...私は、この道を進もう」


---


数日後、曹操が関東から京に使者を送ってきた。


『三者の評議、承知した。我もまた、民を想う。いずれ、再び相まみえよう』


劉備はその手紙を読み、微笑んだ。


「曹操殿も、変わられたのか...」


諸葛亮が横から言った。


「主公、曹操殿もまた、貴方の想いに触れたのでしょう」


「ならば、嬉しい」


劉備は手紙を畳んだ。


「いずれ、曹操殿とも、共に歩めるかもしれぬ」


---


関東では、曹操が荀彧と話していた。


「文若、劉備という男...恐ろしいな」


「主公?」


「あの男の想いは、人を変える」


曹操は窓の外を見た。


「俺も、少しだけ...変わったかもしれぬ」


荀彧の目に、涙が滲んだ。


「主公...」


「文若、貴様が言っていたことが、ようやく分かった」


曹操は荀彧を見た。


「仁を失えば、人は離れる。力だけでは、天下は治められぬ」


「主公...!」


「だが、それでも俺は覇道を行く」


曹操は立ち上がった。


「ただ、その覇道に、少しだけ仁を加える。それが、俺の新たな道だ」


荀彧は深く頭を下げた。


「ありがとうございます、主公」


---


京では、新たな秩序が動き始めていた。


劉備、織田、孫権の三者評議。


それぞれが、それぞれの想いを持ちながら、民のために協力する。


完全な平和ではない。だが、一つの形ができた。


そして、曹操もまた、その秩序に加わろうとしていた。


---


劉備は、京の街を歩いていた。


民たちが、笑顔で暮らしている。子供たちが、元気に走り回っている。


「これが...私の望んだ世界だ」


劉備は微笑んだ。


まだ、戦は終わっていない。いずれ、再び刃を交えることもあるだろう。


だが、今は、民が笑っている。


それだけで、劉備は満足だった。


「主公」


諸葛亮が横に並んだ。


「これからも、共に歩みましょう」


「ああ、孔明」


劉備は前を見据えた。


「皆と共に、この地を守っていこう」


---


日本全土に、新たな時代が訪れようとしていた。


劉備の想いが、この地を変え始めている。


織田の力、孫権の智謀、曹操の覇道。


そして、劉備の心。


四つの理念が、これからどう絡み合っていくのか。


その答えは、まだ誰にも分からない。


だが、確かなことが一つある。


民を想う者たちが、この地を守ろうとしている。


それが、新たな時代の始まりだった──。

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