バニーバニー
『ウィザーズレギオンのくだり全カットってマジ?』と思われるかもしれませんが、作者に文章力がないだけです。すみません。
「いやー、おもしろかった!」
「赤のチームの裏どりはすごかったけど、最初に人数差をつくられたのが痛かったわね」
「そのせいで隠れてた一人に旗こわされちゃったしねー」
「青の方のチームがどこまで読んでいたか気になるな……」
試合を見終わった私たちはスタジアム近くのベンチに腰かけている。白熱した試合の結果は青色のチームが赤色のチームに勝利した。赤のチームは青のチームをあと一人にまで追い詰めたんだけど、最後の一人に旗を破壊されて負けてしまった。
いい勝負を見させてもらった私たちは試合の興奮冷めやらぬまま感想を言い合っていた。
「日も暮れてきたが次はどこに行くんだナー?」
「ふふ、この街で夜といえばの場所――カジノに行くわよ」
――――――――――――――
ドリムの西方面にある【不夜エリア】。その中心に位置する巨大なカジノは夜の暗さを忘れさせるかのように輝いている。まさに不夜城としか言いようがない。
カジノの中はもっと明るかった。天井には高そうなシャンデリアが吊るされているし、内装のいたるところに金色の装飾が施されていて眩しく感じる。二次元で描かれているカジノをそのまま持ってきたような内装だった。
店内ではポーカー、ブラックジャック、ルーレットなど色んなゲームがある。どこの場所からもゲームを楽しんでいる人たちの熱気を帯びた声や大量のコインのジャラジャラとした音も聞こえ、あまりの騒々しさに入った瞬間眉をひそめたほどだ。私たちがカレンに連れられ店内を歩いていると、大量にコインを持ち運んでいる人や頭を抱えあきらかに負けたような人たちともすれ違った。
「カジノって私たちの歳で入れるんだ……」
「マオがいた世界のカジノは知らないけど、コッチでは一応十六歳以上から遊ぶことができるわ。小さい子供も遊ぶことはできないけど、保護者の同伴があればカジノの中に入ることができるわね」
色々な説明を聞きながら歩いていると、換金所らしき場所につく。ここでガロンを専用のコインに変え遊戯に参加することができる。
専用の魔道具を操作するとコインが溢れんばかりに出てくる。私って一応公爵家のメイドとして働いているから給料もそれなりに多いんだけど、一般的な域を出ない。だから魔道具に入れたガロンも十万くらいなんだけど、それでもかなりの量が出てきて正直驚いた。
まぁ、カレンのコインの量の方が圧倒的に多いんだけどね!……何ガロンつぎ込んだんだろう。
「全員コインに変えたことだし各々好きなゲームのところへ……っていきたいところなんだけど」
「「「?」」」
「せっかくだし勝負しない?誰が一番稼いでくるか」
カレンが勝負の提案をしてくる。そういう場所だし目的とかあったほうがいいと思って、私たちは了承した。
「ちなみに罰ゲームとかあるの?」
「……考えてなかったけど、それもいいわね。そうしましょう」
やべ、いらんこと言ったかも。ま、まぁ勝てばいいから。
「一位が最下位に一つだけなんでも命令できるでいい?」
「あーしはいいよー」
「わたしはかまわない」
「ふふん、勝った時の命令考えておくから!」
思えば私ってこの世界に来てから色んなことがあった。それも命が危なかったときもあったけど、なんやかんや生きてるし、私の運はいいと思う……多分。
各々、一位を目指し自らの感覚で選んだゲームの元で賭けを楽しみ始める。果たして一位になるのは誰か……
◇◇◇
もはやみんな察していると思うが、マオに賭けごとの経験はない。前の世界ではバイト三昧であったし、貧しかったことから金に対してはかなりけち臭く、ギャンブルを金をドブに捨てる行為とも思っていた。まぁそもそもギャンブルできる歳じゃなかったが。
つまり……
「なんでええええええええええええええぇっ!!!!」
――こうなることは必然だった。
床に崩れ落ちながら悲哀に満ちた叫びをあげるマオ。彼女の手にはあんなにあったはずのコインが一枚もない。初めはウキウキした気分でテーブルについたマオは順調にコインを減らし始めた。必死に頭を使って予想しても、それをあざ笑うかのように運は微笑まず、たとえゲームを替えても負けに負け続けた。
こうなってくるとマオも絶対に勝つという意地が生まれ、引くに引けない状態になってしまい、結果全てのコインをスってしまった。
というかマオは勘違いしてるが運のいい奴は何回も死にかけない。
「うわぁ……」
「さすがにこれは……」
「ま、ますたー?こういうときもあるって……」
あまりの惨状に他三人から可哀想なものを見る目を向けられる。だが、マオにそんなこと気にする心の余裕はなかった。
勝負の結果としては
一位 カレン(二倍くらい増えた)
二位 カリス(そこそこプラス)
三位 ローコ(少しマイナス)
四位 マオ(敗北者)
の順番である。ローコは普通にカジノを楽しんだ結果であり、カリスは数学やら統計学なんかを利用してコインを増やした。
だが、そんなカリスでさえカレンには勝てなかった。罰ゲームをアリにしたとき、カレンはマオにある”罰ゲーム”をさせたいと考えていた。そのためには自分が一位になり、マオを最下位にする必要がある。しかし、カジノにあるどんなゲームにも運の要素が絡む以上、必ず勝てるというわけではない。ならばどうするか? そう――イカサマをするしかない。
カレンが選んだゲームはルーレット。球が落ちる場所を予測するこのゲームにイカサマをする方法はないと思うだろうが、そのルーレットに使われる小さな鉄球。これがカレンの狙いだった。鉄は熱を加えれば膨張する。他のプレイヤーに気づかれないよう、魔法を使い、鉄球をピンポイントで加熱し、自分が賭けた場所へと鉄球を落ちるよう誘導した。無駄に洗練された無駄に高難易度の無駄な技術である。
このイカサマを使い、不審がられないよう時折負けながら、コインを大量に増やしたのだ。
ちなみにマオにもなにかしらイカサマを使い最下位にさせようと考えていたが、あまりの負けっぷりにほっといても最下位になるなと思いしなかった。あそこまで負けるとは思っていなかったが。
「私の勝ちね。それじゃあマオ、罰ゲームを受けてもらおうかしら」
「すでに罰ゲームを受けた気分なんだけど」
一体どんなことをやらされるんだ……。明らかに悪いこと考えてそうな顔してるし。
「そんなに身構えなくてもいいわ。――とぉーっても簡単なことだから」
◆◆◆
じつはこのカジノにはドレスなどの服をレンタルできる施設がある。カジノで遊ぶのだからフォーマルな恰好をしたいのにそういう服を持っていないという人や、衣服がかさばって荷物になってしまう観光客たちに配慮したからだ。
「まだなの?」
『う、うるさい!』
『もうちょいまってねー。いまいい感じにととのえてるから』
試着室へと連れ込まれた私はローコによってある服を着させられている。私への罰ゲームは”カレンが選んだ服を着る”というものだ。最初は『そんなことでいいの?』って思ったけどカレンが持ってきた服を見て、すぐにその考えが間違いだったと知る。私は恥ずかしさのあまり別のにしてと懇願したけど『罰ゲームだからダメ♪』と笑顔で言われた。生き生きとしやがってぇ……!
ていうかこの施設のことカレンは知ってたし、まさか嵌められた? 勝負の途中にみんなの様子を見に行ったりしてたけど、ルーレットで引くほど当ててたし、イカサマしてたとしか思えないんだけど。
もしかして私にもなにかしてた? じゃないとあんなに負けるのはおかしい。うん、きっとそうに違いない!(大外れ)
そんなことを考えながらカレンが選んだ服を着ていく。ローコに手伝ってもらっているのはこの服の着方がわかんないからだ。こんな服着るのは初めてだからね……。試着室の外にはカレンとカリスがいるんだけど、カーテン一枚で隔てられているから外には衣擦れの音が丸聞こえで少し恥ずかしい。早く終わらせよ……
『よし、オッケー! いいじゃん!いいじゃん! かわいいよマスター!』
『うれしくない……』
『その姿、あーしの記憶装置に永久保存しとくね!』
『頭殴ればその記憶飛ぶかな』
まぁ、嘘だけど。殴ったとしても私の方が手を痛めるしね。見てくれは人間だけど中身は立派な機械みたいな感じだし。
『ふう……よし』
着替え終わった私は覚悟を決めて試着室のカーテンを勢いよく開ける。その音で着替え終わったことに気づいたのか二人の視線が私へと集まる。
マオが着ている服には本来胸元を覆うはずの布地がなく、少しずらせば胸の頂が見えそうなものになっている。そして他の女性と比べて少し細い足には、目の細かい黒の網タイツが履かれておりいつもより細く見える。なにより一番の特徴は頭につけられたウサギの耳を模したリボン。
――燕尾バニーガールとなったマオの姿がそこにあった。
「…………」
「……なんか言ってよ」
「エロいわね」
「なんでも言っていいわけじゃない!」
オブラートはどうした!……もしかしてこっちの世界にはない?
まぁ、声を荒げたけど自分から見てもこの格好はその……扇情的に見えるとは思う。不本意だけど。というか上の布地が心もとなくて気になる。
私が羞恥に耐えてると、私の体のある場所に視線を感じる。なんだろう、カレンの方から来てるように感じるんだけど……
「……どこ見てんの」
「おっぱい」
だからオブラートはどうした!? ていうかキャラ崩壊してないカレン? いやでも酔っぱらったら乳触って来るしこれも本音なのか?
「ふーむ、バニー服とはナー。そもそもバニー服を着た女性に接客やディーラーをさせようと初めに言ったのは誰なんだナー?なぜウサギというモチーフを選んだのか。思い返してみると知らないことばかりだナー」
「こっちはこっちでなんか考察してるし」
たしかにバニーガールが生まれた経緯とか知らないけどさ、そんな真剣に考えること?というか女のカレンが変な目で見てきて、男のカリスが見てこないって……普通逆じゃない?
(マオちゃ~ん、ちょ~と露出が多いかな~?あんまり男の前で肌色見せたらだめよ~)
(好きで来てるわけじゃないって!)
(ブハッ!!?)
(サラが鼻血だしたね)
(コミュ障には荷が重かったようね。童貞かしら?)
(誰が童貞だコラァ!!)
(うるさいですよサラさん。気が散ります。マオさまのことをじっくり見れないでしょう)
こっちはこっちで阿鼻叫喚だし!魔女たちはとりあえず出てこないで。というか恥ずかしいから見ないで!
(((((やだ)))))
こいつらこういう時だけ意見一致しやがってぇ……! はぁ……もう諦めた方が早い。
「もう着替えていい?」
「そうね、じゃあ次の服に着替えてもらおうかしら」
「――え?」
いまカレンなんて言った? 次の服?
「これで終わりじゃないの!?」
「なに言ってるのよ。私は”私が選んだ服をマオが着る”って言ったわよね。誰も一着だけとは言ってないわ」
「これは罠だ!詐欺だ!」
カレンに対し異議を申し立てているが、マオもイースの里で似たようなことをしている(詳細:特定条件下における効果的な拷問の仕方)。
「フフッ、――まだまだ夜は長いわよ」
誰か……誰か助けて―っ!! ぎにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!
――この時マオは一生ギャンブルしないと心に誓った……
マオたちがいるカジノの階層は遊戯を楽しむ人向けの階層で、上の階層に行くほど賭けを楽しむ人や一発逆転を狙う人向けにコインのレートが高くなっていきます。だから十万ガロンでコインがいっぱい出てきました。
ちなみにバニー服を着たマオはドラクエ11のマルティナをイメージしてもらうと分かりやすいと思います。
カレン「所詮マオは一回も勝つことのできなかった敗北者じゃけェ……!」
マオ「!……ハァ…ハァ…敗北者?――いやもう全くもっておっしゃる通りです……!」
絶対こんなこと言わねー……




