章の始めが取り調べから始まるとかある?
第三章スタートしました!作者が一番なんも考えついてない章です。
(なんで……どうして……)
窓すらない四方八方を冷たい石レンガの壁に囲まれた部屋に座らされたマオ。目の前に置かれた紅茶は湯気が立ち上り淹れたてということが見てとれるが、私はそれに手を出せないでいる。決して喉が渇いていないとかそういうことではない。むしろ今の私の喉は砂漠のように渇いていて、一刻も早く潤いを求めているところだ。
じゃあなんで目の前の飲み物に手を伸ばさないかって? それは……
「ふん、聞かせてもらおうか、イースの里でおまえの体を使っていた【魔女】に似たナニカについて」
私と向き合うように王様ことハウンド陛下がいるからね!! しかも、王様直々に尋問してくるし! こんな場違いなところからエスケープしたいと切実に思ってるんだけど、目の前にいる王様と私の隣に座ってるカレンが目を光らせてるし。なにより……
「…………」
この部屋唯一の出口である扉の前には王国騎士団団長が逃げ道を塞ぐように立っている。この状況でどう逃げろと?
ああ……ほんとに……
(どうしてこうなったッ!?)
私はここに至るまでの経緯を思い返す。まず、屋敷でいつも通り仕事をしていたらカレンに呼び出されたことが全ての始まりだった。その時は『多分イースの里でペルリアと入れ替わったことについて聞かれるんだろうなー』なんて思ってた。それについては覚悟してたことだし、ぶっちゃけ魔女たちともどこまで話した方がいいのか話し合いする時間もあった。
だけど、私の予想とは違い、馬車に乗せられたと思えば着いた場所は王城。なんで?と頭が追い付かないうちにカレンに連れられてこの部屋へと入った。王城にしてはソファと机しかなく、質素な部屋だなぁと思いながら座っていたら、一つしかない扉が開かれ王様とルートさんが入ってきた。
まさかの人物の登場に私は顔を白くして冷や汗を滝のように流しながら固まってしまった。いやだって仕方ないじゃん。まさか王様直々に出てくるとは思ってなかったんだもん。そして現在に至るというわけ……
「言っとくが、別におまえが【魔女】本人とは微塵も思ってないし、どうこうするつもりもない。おまえがイースの里を救った立役者に違いないしな」
「え、そうなんですか?」
「【魔女】にしては弱すぎるからな」
それは……うん。確かにそうだわ。事実だからなんも言えない……。まぁ、それはいいとしてこのまま魔女たちのことを話してもいいんだろうか?予想ではカレンだけか屋敷にいるみんなだけに話すつもりだったし、一度魔女たちに聞いてみるか。
(前に話し合ったとおり私が知ってる分については全部話していいんだよね?)
(それでいいですマオさま)
(もしマオを殺そうとしても、私がマオの体を使えば確実に逃がせるからね)
(あんまりあんたに使わせるのはよくないんだがな……)
(それしか方法がないからね……)
(そうね~……)
殺しに来るとは思いたくないけどね……でもこの国で【魔女】という存在はそれぐらいのものだ。だけど魔女たちが言うにはソティスがいれば安心らしい。でもソティスが私の体を使うのって問題があるらしいんだよねー。
ソティスの魔力は魔物を狂暴化させる力がある。もし私の体でソティスが魔法を使うことになっても、使われる魔力はソティス自身のものだから、魔物を狂暴化させる魔力をたれ流すことになるらしい。それにそもそもの話、私の体がソティスの魔力に耐えるようできてない。もしソティスが私の体を乗っ取る場合、二秒が限界って本人が言ってた。いや、二秒で私を逃がすことできんの?
まぁ、これももしもの話。私は覚悟を決めて話始める。
「――じつは」
~~~~~~~~~~
ということで私が知ってる【魔女】たちのことはゲロりました、はい。私が話してる間、なに考えてるか読めない表情で聞いてる王様が怖いこと怖いこと。ルートさんはいつも通り無口だし、カレンもこの時だけは何も口を挟まずに真剣に聞いていた。
一通り話し終えた後、王様は額に手を当ててため息をついてた。一方でカレンは深棲獣の時のことを見ているからか、信じられないとは思いつつも納得はできるというような顔をしてた。
まぁ、こんな爆弾情報を落とされたら、いろいろ気になることも出てくるようで、質問責めされた。
Q、なぜ魔女が異世界の人間であるマオのことを知ってて、この世界に呼んだ?
A、知らない
Q、どうしておまえの体を使うことができる?
A、知らない
Q、なぜおまえに好意をもってるんだ?
A、知らん! 私が聞きたい!
とまぁ、こんな感じで色々聞かれた。……ほとんど知らないとしか言わなかったんだけど。だって、仕方ないじゃん、あいつら確実に私に情報出し渋ってるし。
「結局分からんことだらけだな」
「そうね……でも驚いたわね。間接的とはいえ【魔女】が私たちのことを助けたなんて」
「そうだな。オレたちが思ってる以上に【魔女】は人外の存在ではないのかもしれん」
んー……たしかにそうかも。カロン王国の伝わってる話だと【魔女】って話の通じない災害みたいな扱いをされてるんだよねー。でも話したりできる私からすれば人間っぽいところもあるというか、元人間だしね。魔女って分類的にはアゼ人や獣人みたいな亜人に含まれるらしいし。まぁ、たまーに話通じないって時あるけど。
「おまえを利用して復活を企んでいるというわけではないだろうな?」
(そんなことしなくてもいつでも封印を解けるから違うね。時間は少しかかるけど)
「いつでも封印解けるらしいです」
「……そうか」
「あれ? そういえばカロン王国では魔女は死んだことになってますよね。なんでハウンド陛下は魔女たちが封印されてるって知ってるんですか?」
イースの里で呼んだ本にはそんなことが書かれてたし、魔女たちが生まれたのも早くて200年前のことだ。普通の人間ならとっくに死んでる歳でもある。
「……おまえたちには話しておこう。魔女たちが封印されているのはここ王城の地下だ」
「なっ!?」
「はいぃ!?」
そうなの!?……あーいやでも、たしかにここなら一般の人が入ってくることはないし、もし魔女を復活させようとしてる人たちが侵入してきても騎士たちがいるからセキュリティもガチガチだしね。そう考えるとアリかも?
「まぁ、普通には入れないよう細工はしてある。……このことは他言無用だからな」
「分かってるわよ」
「にしてもこういうことに関してはあっけらかんと教えてくれるのに、私のことになると教えてくれないんだよねー……。”過去の旅行記”を見つけろの一点張りで」
「”過去の旅行記”か……そんな魔道具、聞いたこともないがな」
「嘘を言ってる可能性は?」
(それはないぜ。なんたってその魔道具はあたしが作ったんだからな)
急にサラから爆弾情報を言われたんだけど!ていうか自分で作ったなら今ドコにあるかわかんじゃないの?
(つってもよー、400年ぐらい前のことだしなー)
まぁ、それなら仕方ないか。400年以上まえだと誰かに渡したとしてもその人死んでるだろうしね。どこか倉庫みたいなところで保管してるなら話は別だったんだけど。
(壊れてる可能性はないの?)
(保存の魔法をかけてるから400年ぐらいならいけるいける)
400年ぐらいいけるって……、やっぱ魔女ってどいつもおかしいわ。にしてもほんとどこにあんの?サラが言うには、結構ヤバい機能もってるから、見つかってれば情報が出回らないことはないっていうくらいだし……とりあえず今聞いたことは王様たちに共有しとこ。
「とりあえずおまえと魔女の関係性についてはこの場にいる者たちの秘密とする。公爵家のやつらにもな。それ以外は特にない」
「王城に連れてこられたときは生きた心地しなかったけどよかった……。魔女に関わることだから処刑されそうとか思ってたし」
「おまえ自分の知名度を知らんのか」
「え?」
「あんたカロン王国内ではけっこう有名人よ?あの”切り込み隊”の一人を倒すのに一役買ったってね。王都でも”話しやすくて優しいメイド”って評判ね」
「おまえを処刑したとしたら王族への反発は凄まじいものになるだろうな。革命軍が動きやすい環境をつくることにもなりかねん」
へぇーそうなんだ。そういえばイースの里の人たちも私のこと知ってる人ばっかだったなー。王都だと買い物に行ったときに店の人と話したり、困りごととか解決したりしたっけ。サンライト公爵家の人間って知られてるから、なにかと手伝ってとか言われるんだよねー。便利屋かと思ったりしてたけど、まぁ……良く思われてるのは悪くないかな。
「これで話は終わりね。なら帰って仕事を……」
「あぁ、そこのメイドの魔女関連の話は終わりだ。だが、おまえにも一つ話がある」
屋敷に帰ろうと立ち上がったカレンを引きとめる王様。カレンにもなんかあんの?
「正確にはおまえらだがな」
「? 何よいったい」
「遠回しに言うのは効率が悪いから直入に言う――”休暇をとれ”」
「「――え?」」
ソティスなら二秒あれば王都の人間を七割くらい殺せます。これでも残り火が散らばったことで弱体化してるんだけどね……残り火をすべて取り込んで完全体になったソティスは作中最強です。
王都でのメイド組の評判
リリー→無表情だけど時折面白いメイドさん
マオ→本文どおり
ナト→パワフルで素直ないい子のメイド
ローコ→口調が特徴的なメイドさん
こんな感じです




