美しくない
最近、とあるイベントに行ったのですが、席がなんと前から三列目でした。多分、今年の運を使い果たした気がする。
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その日は何でもない一日だった。和道国の首都から少し離れた街に私たち【ヒュドラ】は潜伏していた。ミーたちは国際的な指名手配されてる盗賊団だからね。しかし、コソコソするにはミーの顔は誰もが目を惹くほどイケメンすぎるから潜伏は得意ではなかったけどね☆
次はどこに盗みをかけようかとみんなで話し合っていた時、シャンが和道国に居たアゼ人を生け捕りにして帰ってきた。みんなは角を売りさばけば金になるとか大騒ぎだったが、ミーにとってはそんなことどうでもよかった。
なんだこの姿は……美しい……
一目見てそう思ってしまった。ミーは世界で一番ミーが美しいはずだと思っている。だが、本物のアゼ人……角という人間にとって異物が付いてるはずなのに、人としての魅力を損なわず、そこへ力強さを感じさせる角……その姿を見て、ミーでは勝てないと思ってしまった。
だが、そんなことあってはならない。ミーが世界で一番美しくなくてはいけない!☆そのためにはこんな亜人は世界にいてはいけない。だからミーはみんなにアゼ人の住む場所を襲おうと提案した……
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ミーゴとの戦闘が始まって幾度も魔法と拳の応酬が繰り広げられた。ライハさんは接近戦は愚策と考え、私たちと一緒に魔法を撃ってなんとかダメージを与えようとしている。だけど、どの魔法が当たっても【肉の鎧】に阻まれ、大したダメージを与えることができなかった。一方でミーゴは……
「フッ!ミーの愛を受け取るといいガール!☆」
「DVしそうな男からはノーセンキュー!」
ライハさんに一撃与えた後、私の方をずっと狙い始めた。いや、確かにこの中だと私が一番弱いから落とすなら私という理論は分かるんだけど、だとしても狙いすぎじゃない?リファに乗せてもらってなかったら普通に死んでる……
魔導銃でスローフラッシとスローヒータを撃つが、光の矢は当たるも肉の鎧に刺さるだけで肉体まで届かず、炎の矢は涼しげな表情で躱された。そこへライハさんの空気砲が何発も襲い掛かる。恐らくどこか肉の防御が薄い場所を探そうとしてるんだけど……。空気砲が全てミーゴの肉の鎧によって受け止められる。なんか均等にどこも硬そうなんだけど……
「不毛すぎる……なんか弱点は……」
物理も魔法も効かない……ツァールと戦った時を思い出す。ツァールの『アルクトゥールス』だって物理と魔法、両方の無効化は同時にできないという弱点があったから、試練はクリアできた。このデュアルにだって何か弱点があるはず……
『マオ一ついいか?』
肉の鎧をどうやって突破するか考えていた時、リファから声を掛けられる。
『今の攻防で少し気になることができてな』
「気になること?」
『あやつは今までの攻撃のほとんどをすべてあの肉で防いでいた。だが、さっきのマオの魔法をあやつは躱すことを選んだ』
「!」
……たしかにそうだわ。私のスローヒータだけあいつは攻撃を受けずに躱した。いや、そもそも私が最初にヒータを撃った時もあいつ躱してたはず。
しかも、そのあとだった、私が優先的に狙われだしたのは。そして【肉の鎧】……バイオ……。もしかして……
「ライハさん!”炎”の属性の魔法使えますか!」
「あん?まぁ、使えるぜ。私の【圧力】は風と炎の混合だしな。だが、カレンほどじゃないぜ?」
「使えるんならいいです。あいつ恐らくですけど”炎”の魔法に弱いんです」
この仮説ならあいつの行動に説明がつく。正しいかどうかは分からないけど、検証する価値はある。
「”スローヒータ”!」
「リファいくよ!」
『いいだろう』
ライハさんが放った炎の矢をミーゴは体をそらして回避する。そこへ私が撃った”ヒータ”の火球が何発も襲い掛かる。それを体を捻り、回転させるようにして躱そうとしたミーゴだったが
『”ムーヴフィン”!』
「!?」
リファが唱えた魔法によって風が吹きすさぶ。その風は火球をあおるように吹き、火球の軌道をずらし、ミーゴへと当たるよう誘導された。ミーゴはたまらず火球を腕の肉で受けてしまった。
「っ……」
腕の肉は火球によって引火したのか燃え始めた。辺りに肉の焼ける音と臭いが充満し、燃えた肉はでろでろに溶け始めた。
やっぱり!あいつのデュアルは炎に弱いんだ!それなら全然やりようがある!
ようやく見えた光明にマオたちは心躍らせる。一方でミーゴは引火した肉をこれ以上燃え広がらせないために魔法で水を生み出し、鎮火させた。
「ガール、燃やすならミーへの愛だけにしてくれないかな☆」
えぇ……腕燃やした相手にまだ口説き文句言えるなんて……ある意味すご……。けど冗談は顔だけにしてほしい。
炎に弱いことがバレたミーゴは早めに決着をつけるため攻撃方法を変えた。両手に縄のような肉を持ち、それを鞭のように振るい始めた。振るわれた肉の鞭は伸縮し、距離が空いている私たちに当たるよう計算されていた。
「チィっ!」
「あっぶな!」
鋭くもしなやかに動く肉の攻撃に私たちは避けることに専念するしかない。いや速い速い!目で追うのがやっとなんだけど!?さっきなんか耳元でヒュンッって音したし。リファ超頑張って!私の命かかってるから!
回避することに必死になっていたマオはもう片方の鞭が左足に絡みついてることに気が付かなかった。鞭を引っ張られ、リファの上から強制的に引きずりおろされると、ミーゴの近くへと地面を転がった。
「やっばっ!?」
『マオっ!』
地面へ倒れこんでいるマオへミーゴの拳が振り下ろされる。地面を砕くほどの一撃であるそれを喰らえばマオの体はひとたまりもないだろう。
「!」
私は振り下ろされる拳に対応しようとミーゴの方へと向き、顔が見えたのは必然だった。拳が当たるほどの距離にいることで遠目では分からなかった、あることに気が付いた。……ってそんなこと考えてる場合じゃない!どうしよ!?
そんなことを考えている間にも質量を伴った肉の拳が迫っていた。
「まずは一人!☆」
「チッ、”解放”!」
ライハさんマジ助かります!ミーゴの体が重力を何倍にも増やされたかのように地面に縫い付けられる。ミーゴが動けなくなった隙をつき私は距離を取る。
「助かりました」
「仕方なくだ!し・か・た・な・く!っていうかあの野郎、継続的に圧力をかけてんのに立ち上がろうとしてやがる……やっぱ【圧力】は効いてねぇな」
「それなんですけど、違うかもしれません」
「あん?どういうことだ?」
そう、さっき近づいたから分かるんだけど、あいつ口元から血が出てたんだよね。けど、まともにダメージを与えたのは”ヒータ”で腕を燃やした時だけのはずなのに口から流血するのはおかしいはず。
「多分、あいつ肉のせいで通りづらいのは確かなんですけど、過剰な威力の魔法は内部にある本体にもダメージは多少あるみたいです。ライハさんの【圧力】みたいな」
「てことはあれか、もっと威力出せば、あいつの肉をぶち抜けるってことか?」
脳筋なんだけどそれであってる。といってもそんな威力を出せるのはライハさんぐらいなんだけど。私はちまちま炎を撃っていくしかないか……
「はん!ならやることは決まったわ。私があいつの装甲をぶち抜いてやるぜ!」
ライハさんはミーゴを地面に押し潰していた【圧力】を解除させ、魔力を練り始めた。どでかい一発をやるつもりなんだろうけど、それを相手が見過ごすはずもない。
「なにかしようとしてるねガール☆やらせないよ☆」
またも肉の鞭が迫りくるのを岩の壁を生み出し阻む。私とリファで何とかして守れってこと!?あぁ、もう!やるしかない!
「リファ!」
グリフォンの体格からくり出される体当たりにミーゴの体はバランスを崩した。たとえ物理の通りが悪くてもその衝撃までは消すことはできない。体勢をくずしたことで出来た隙を私たちは見逃さず、私とリファは同時に魔法を発動する。
私が撃った魔法は”ロスヒータ”と呼ばれる魔法だ。この魔法は”炎”の中級魔法の一つでようは”ヒータ”を強化した魔法だ。火球を飛ばすのではなく辺りを爆発させるかのように炎を生み出す魔法だが、これにリファの魔法を加えるとさらに凶悪性が増す。
リファはグリフォンということもあり、”風”の魔法の精度が高い。魔法で生み出した風を自在に操るなんて造作もないことで、私の”ロスヒータ”で生み出された炎を風にのせる。風に乗せられた炎は竜巻のようになりミーゴを襲う。
それを肉を増量させ耐えようとしたミーゴだったが、生み出された炎の竜巻は生み出された肉を片っ端から燃やしていく。
「ぐうぅぅぅぅぅっ!?」
ミーゴの辛そうな声が聞こえてくる。それでもあいつは立っていた。そして、炎の竜巻を耐えきって見せた。敵ながらあっぱれとしか言いようがない。けど……
「これで終わりだ!”解放”!」
耐えきったミーゴへ全方位360度から圧力が加えられる。炎の竜巻によってミーゴの纏う肉の量は少なくなっており、ライハの【圧力】に耐えられるほどの肉は残っていなかった。ボールを形作るみたいにミーゴの体が押し潰されていく。全身の体が悲鳴を上げ、時折骨が折れる音が聞こえる。
「あ゛っ……がっ!……ごんなの……うづくじぐ……」
ミーゴが言葉を言い終えることはなかった。次の瞬間、ミーゴの全身から血が噴き出る。噴き出た血すらも【圧力】によってミーゴの中心へと押し潰された。それを確認したライハは【圧力】を解除すると、ミーゴ……いやミーゴだった肉の球体が地面へと落ちた……
和道国・・・獣王国の南、カロン王国では南西のところにある国。まぁ、名前の通り日本風な文化を持つ国です。イースの里にある和風な家や料理はこの国の文化を真似て作られています。




