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魔女と王国と声変わり  作者: 睦月はくろ
第二章 イースの里編
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作戦

 ライハさんの部屋に訪れた日から一日が経ち、イースの里に来てから六日目の今日。昨日はほんと大変だった……でも一日中ライハさんにしごかれたおかげで必要なことは身につけた。後は今日、発揮するだけ。必ず試練を攻略する。


「昨日は試練に挑まなかったが、なにかしてたのかナー?」

「まぁ、ちょっとね」

「でも今日のマオさんはなんかいつもと違います!なんかこう……グワーッ!って感じで!」

「ぐわーっ?」


 審判の間の入り口のまえに最初に【祭壇】に入った三人……私とカリスあとナトちゃん、そしてローコ。カリスは私が誘った。今日で攻略するつもりだし、審判の間の奥……カリスとしては真っ先に調べたいだろうしね。ナトちゃんはいつも試練に挑むときは入り口までついて来てくれる。まぁ……暇なんだと思う。


「今回こそほんとに勝てるでしょうか……」

「いや、今日()勝つんだよローコ。そのための準備もしてきた」


 不安そうなローコに私はそう断言する。というかこれで勝てなかったら恥ずかしすぎるし。


「しかし、私とツァールでは性能が……」

「そんなものひっくり返せるよ。とりあえず作戦考えてきたから聞いて」


 私は全員に立てた作戦を話す。正直、初見殺しみたいな作戦なんだけどね。けどこの作戦ならあのツァールの盾を破壊することができると思う。話終わった後のみんなの表情は千差万別だった。


「それでマオさん、昨日あんなことしてたんですね!」

「たしかに行けるかもしれないが……」

「私は容認したくありません。マスターの身に何かあったら……」


 たしかにこの作戦は私にも多少の危険が伴うけど……


「だいじょうぶ。いざとなったらローコが助けてくれるでしょ?」

「しかし……」

「ローコ」


 それでも食い下がろうとするローコにマオは真剣な顔で向き合う。そのあまりの気迫に泣き言が出そうになったローコの言葉が止まる。


「私はどんなにローコがツァールより性能が下でも、ローコと契約できてよかったと思ってるよ。」

「え……」

「――私はローコのこと信じてるから」


 言いたいことは言い終わったしそろそろ試練へと向かう。審判の間へと入り、あの訓練場に行くまでの長い階段を降りていくけど、そのあいだ私とローコの会話は何もなかった。ローコがずっと考え込んでるからね。でも試練が始まったら切り替えて欲しいかな。この作戦の肝はローコなんだし。




◇◇◇




 イースの里には魔物や悪意ある者たちから守るための結界が張られている。この結界は王都のものとは少し違う、特殊なものであった。


 革命軍のリーダーを務めるボクことナイラ・ホープ、そしてその側近を務めるオド・ヴェディオはイースの里へと入るため里の近くにまでやって来ていた。

 いまボクたちがいるのはイースの里の近くだ。【ヒュドラ】たちと合流したボクとオドは襲撃を今か今かと待ちわびている。今日イースの里を襲撃する予定なんだけど、それには問題があった。


「イースの里って何か変なんだよね。向かおうとしてもたどり着けないって感じで」

「方向感覚が狂うというよりはいつの間にか違う場所に来ている感覚ですね……」


 そうイースの里に近づくことができない。多分、結界なんだろうけど突破の仕方が思いつかないんだよね。王都みたいな守ること特化の結界だったらよかったのに。

 

「けど、方法は考えてるんだよね”ミーゴ”くん」

「フッ……もちろんさ☆」


 ボクは近くにいる男……ミーゴくんに問いかける。すこしぽっちゃりとした体形のかなり濃い顔をしたおじさんであるミーゴくんは、変なポーズをしながら決め顔をしている。なんだろうあのポーズ?かっこいいと思ってやってるのかな?まぁ、こんななりでも一応【ヒュドラ】の三人の頭領のうちの一人なんだけどね。


「あのバートとかいうガイが言うには、イースの里の結界は『無意識にイースの里から避けるよう思考を誘導する結界』であるらしい☆」


 思考を誘導……面白いね。初めて見るタイプの結界だ。流石は知識を蓄え続ける亜人ことアゼ人。ますます興味が湧くね。


「”シモン”がそのガイと一緒に魔物たちで検証していたがほぼほぼ間違いないらしいね☆」

「その二人はどこにいるんですか?」

「二人は反対方向の入り口で待機中さ☆なんでも意気投合したらしくてね☆」


 へぇ、あのバートくんと意気投合するなんてどんな変人なんだろう?


「それで侵入する方法はどういう方法なのかな?」

「それは、シャンに一任していてね……内から結界の核を壊してくれる手はずさ☆結界さえなくなればイースの里に入ることなど容易いしね☆」

「え?シャンさんって今イースの里の内にいるんですか?」

「今向かってるところさ☆彼なら結界を通り抜けることができるし、なにせ彼がいないとイースの里も見つけられなかったしね☆」

「どういうことだい?」


 シャンくんの混合魔法(デュアル)は結界を通り抜けることができるようなものじゃないはずなんだけど?


「あぁ、実は――」




◆◆◆




 マオたちもイースの里に入るときに通った場所である門……そこに近づく帽子をかぶった一人の青年。


「止まってください。イースの里へと入るのは身分の証明がいります」


 門番のアゼ人に止められた青年は帽子を取ると、アゼ人特有の立派な角があらわれ、帽子で見えずらかった自分の顔を門番へと見せる。


「あ!シンさん!【調査員】の任お疲れ様です。今回は記録したことを報告しにいらしたんですか?」

「そ、ソそソ……ソウ」

「?」


 門番は帰ってきた調査員であるシンの様子に違和感を覚えるが、外見はどこからどう見ても間違いなく本人であるため気のせいだと思うことにした。


「こ、コレ……しょ、ショ、証明書……」


 門番がシンから提出された証明書を受け取るとじっくりと精査する。そしてその証明書が間違いなく本物であると確認ができた。


「はい!確認できました!中へとお入りください!」


 門が開かれ、【調査員】の青年……シンが里の中へと入る。それがイースの里ができて以来、最悪な出来事の引き金となることを知らずに……





実は第二章の二話で出てきたオーガはこいつらの検証に使われていました。狂暴化してて意思がないオーガなら結界を素通りできるのでは?と考えたバートが結界に向けて放ちました。まぁ、結局突破できなくて暴走したあとマオたち御一行に処理されましたが。

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