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魔女と王国と声変わり  作者: 睦月はくろ
第二章 イースの里編
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三馬鹿がいく!【祭壇】探索!……え?私も馬鹿に含まれてるの?

 今から【祭壇】を探索するイカれたメンバーを紹介する!

 まず一人目、何年もの間この【祭壇】の研究をしているアゼ人の青年”カリス”!

 二人目、誰も知らない【祭壇】の中という未知にロマンを感じている”ナトちゃん”!

 そんな二人に強制的に(※ここ重要)連れてこられた私、マオ!以上三人!


 人類で初めて【祭壇】の中を探索するという栄光と未知への探求に、意気揚々と中へと踏み込んだ私たちはいま……


「ぎゃあぁぁぁぁぁっ!?」

「すごく大きいですねあの岩!」

「ふむ、中にはトラップが仕掛けれているのか……入り口は固く閉ざされていたというのに侵入者用のトラップがあるのは違和感があるナー。何のために……ますます興味深い、研究のし甲斐があるんだナー」

「んなこと言ってる場合!?」


 どこぞのトレジャーハンターよろしく、通路の縦と横の幅を埋め尽くす大きさの岩が私たちの方へと転がって来ていた。


「岩が転がるスピードの方が早いナー……」

「このままだとぺちゃんこです!」

「ぺちゃんこどころか挽き肉だわ!?」


 迫りくる岩から逃げるため、通路を全速力で駆ける私たち。このままだとスーパーに陳列されてるお肉になりかねない。この状況を何とかする方法を考えていると……


(ママ!あそこに扉があるわ!)


 先頭を走ってる私が先の通路を見ると、あと少しの距離に部屋へと続くドアが通路の横の壁にあるのを見つけた。あそこに逃げ込めば!教えてくれてありがとうペルリア!


「あそこに逃げ込めぇぇぇ!」


 私たちはギリギリで部屋へと逃げ込みなんとか挽き肉にならずにすんだ。まだ入って数分なのにどっと疲れた……


「ふむ、この部屋は……」


 逃げ込んだ部屋は六畳くらいの大きさの部屋で物とかが一切置かれていない部屋だった。なにこの部屋?なんのためにあるの?


 不思議に思って部屋を調べようと一歩、足を動かした瞬間……


 プチッ


「え?」

「! 危ない!」


 足もとで糸かなにかが切れたような音がしたかと思うと、部屋の四方八方から矢が飛んできた。


「”ドムエリアル”!」


 カリスが魔法を詠唱し、私たちを包むようにドーム状の水の防壁を張る。飛んできた矢は水の防壁によって動きを止められる。危なかった……


「全員怪我はないかナー?」


 カリスが水の防壁を解除すると、矢が地面へと音を立てて落ちる。


「はい!だいじょうぶですカリスさん!」

「安心したところにトラップとか……」


 この【祭壇】を作ったやつは絶対性格が悪い……もうやだ帰りたい……でも二人が逃がしてくれなさそうだし、今から一人行動は危険すぎる……。早く最奥まで行こう……




~~~~~




 それからは色々あった……カリスが明らかに怪しいボタンを押して落とし穴に落ちかけたりなど、トラップに引っかかり何回か死にかけた。芸人じゃないんだから、もう少し好奇心を抑えてほしい……。そんな感じで進んでいると私たちの目の前に現れたのは……


「……行き止まりだナー」


 壁であった。はぁ、行き止まりもあるのね……。もうほとんどダンジョンじゃん。唯一の違うところは魔物が出てこないところかな?


「とりあえず分岐地点まで戻るぞ」

「そうだね、ナトちゃんも戻……ナトちゃん?」


 私がナトちゃんの方を向くと、ナトちゃんは壁をコンコンとノックするように叩いている。どうしたのかと話しかけようとしたその時


「てぇぇぇぇぇいっ!!」


 右腕を悪鬼のものに変えたナトちゃんが行き止まりの壁を思いっきり殴ると、壁が崩れ、その先から通路が現れた。


「やっぱり!叩いたときの音がおかしいと思ったのです!みなさん!先に進めますよ!」

「ウンソダネ」


 手をぶんぶんと振りながらはしゃいでいるナトちゃんを見て、私は諦めのような目をしながらカタコトで返事をする。一応、【祭壇】ってイースの里の重要な建物だし壊したらダメな気が……ていうか絶対正規ルートじゃない……


「なんだろう……私の中で壁と一緒になにかが壊れた気がする。……大事な何かが」

「常識じゃないかナー?」

「言語化してほしいわけじゃないんだけど」


 はぁ……やっちゃったものを仕方ないと割り切って先へと進む。新しい道は見つかったわけだしね。


「それにしてもあの腕……混合魔法(デュアル)かナー?」

「あぁ、『魔物化』っていうらしいよ。ちなみに私は『声帯模写』ね。カリスはなにかあるの?」

「わたしはデュアルは持ってないが、四属性の基本魔法が使える」


 へぇ、カリスは四属性も使えるんだ。四属性も使えるのは結構すごいことで一般人なら基本的に一つの属性しか使えないことが多い。

 魔法において天才的なセンスを持つカレンも(ヒータ)(フラッシ)の二つとあとは簡単な(フィン)の魔法の三つしか使えない。それでも多いんだけど。だから全属性の魔法が使えるルートさんの異常が際立つんだけど。あとグラスも。


(今思えば舞踊の奴が(アウス)の魔法ばっか使ってたのも、そういう理由なのかな?)


「にしても『声帯模写』か……どこかで聞いたような……」


 歩きながら唸っているカリス。なんかおかしなこと言ったっけ?


「あ!思い出したんだナー!たしか切り込み隊の一人を倒した奴に、声を真似る魔法を使う奴がいたとか。まさか君が?」

「え?いまさら?」


 思わず呆気にとられてしまった。名前教えた時に気づいてるもんだと思ってたけど……


「いやー、噂では聞いたんだが、名前は憶えてなくてナー。この探索が終わった後、ぜひ切り込み隊を倒した話を教えて欲しいんだナー!いや、なんだったら今歩いている間でも!」


 その提案に私はカリスに見えないように顔をしかめる。絶対時間かかるやつじゃんこれ……好奇心の塊のアゼ人だし。私がどうやってその提案を断ろうか考えていると


「マオさん!カリスさん!なにか他と違う扉がありますよ!」


 先に進んでいたナトちゃんの声が聞こえてきた。ナイスナトちゃん!これでうやむやにしよーと。


 マオたちが曲がり角を曲がるとその扉は姿を現わした。その扉は【祭壇】の中で見つけた他の扉たちと違い、少し大きな両扉になっていた。そして扉の横の壁にはなにか板みたいなものが取り付けられていた。


「どうやらここがゴールのようだナー。だけどまだ【祭壇】のすべてを探索し終えてないから一旦戻って……」

「ちょっと待って」


 引き返そうとしたカリスを私は急いで止める。せっかくゴールまで来たんだよ!?これ以上の探索は勘弁してほしい……


「まずはこの扉について調べてからでもいいんじゃない?ほら、なにか分かるかもしれないし……」

「だが……」

「この扉明らかに施錠されてるし、もしかしたら入り口みたいに触ったら開くかも?」


 私はカリスを口八丁で言いくるめた。私は早く戻りたい、開くなら越したことはないしね。


「うーん、押しても引いても開きません……あ!また殴って壊せば!」

「ステイ、ナトちゃん。でも私が触れても開かないし……」

「となれば……」


 全員の視線が壁に取り付けられている板に注がれる。まぁ、明らか怪しいもんね。罠の可能性もあるから慎重にいこう。あとカリスの動きにも注意しないと。


「これって……”キーパッド”?」

「「キーパッド?」」


 取り付けられていたのは電卓やパソコンなどでよく見かける、数字を打ち込むキーパッドだった。なんでこんなものが……この世界にあるわけないんだけど……。二人は初めて見るのか不思議に思ってるし、それは間違いない。


 マオは頭を悩ませているが、結局分からないという結論になり、とりあえずキーパッドに触れてみることにした。


 ”セキュリティコマンドは現在『LOCK』です。解除するにはパスワードを入力してください”


「!」

「!喋りました!」

「これは……」


 キーパッドに触れるとすこしノイズかかった男の音声が聞こえてきた。これって録音?こういうのって機械音声なんじゃないの?いやこの世界で録音できるだけでもすごいんだけどさ。でも【祭壇】が作られたのは約千年前、そのころはまだ魔道具とかもなかった。でも目の前のキーパッドは間違いなく魔道具の一種だし……


(もしかして……)


 マオはある仮説が思い浮かぶ。だけど、証拠もなにもないしとりあえずは心にとどめておくだけにした。


「パスワードがいるみたいだが……知ってる?」

「そんなわけ」

「知りません!」

「だろうナー……だが、パスワードがいると分かっただけ御の字だ。まだ見てない【祭壇】の中を探索すればパスワードが見つかるかもナー」


 まぁ、必要なものが分からないまま探すよりはいい……のかな?私たちがパスワードを求めて、来た道を引き返そうとしたとき……


 ”一定時間のあいだ操作が確認されませんでした。管理者用生体認証に切り替えますか?”


「ん?」

「管理者用?」


 キーパッドからまた録音された音声が聞こえる。管理者用……この【祭壇】を作ったアゼ人のこと?その人の肉体情報があってもこの扉が開くってことかな。


「管理者用生体認証ってなんですか!」


 ナトちゃんがキーパッドに向かって質問する。これってこっちの音声を認識してんの?そうじゃないと返事が返ってくるはずがな……


 ”【祭壇】に登録されている管理者の生体情報……指紋、網膜、顔などからセキュリティコマンドの解除を操作できるシステムです”


 返ってくるんかーい!てことはこっちの音声を認識してるってことになる……やっぱり約千年前にしてはオーバーテクノロジーすぎる。


「そのような方法で操作できるなんて……今でもありえないぞ……」


 カリスも私と同じことを思ったみたいで頭を悩ませている。まぁ、すでに情報の大洪水だからね。


 にしても生体認証か…………ん?生体認証?待てよ……【祭壇】って製作者以外中に入ったことがないって言われてるんだよね。だったらあの録音は……


 私はもしかしたら()()()()()()()かもしれないと思った。


「だが、そんな約千年前の人の生体情報なんてあるはずもないナー。ここはやっぱりパスワードを探しに……」

「待って、少し試したいことがあるから」

「「?」」


 不思議そうな二人の視線を受けながら私はキーパッドの話しかける。


「ねぇ、これって声での認証も出来る?」

 ”はい可能です”

「だったら……」


 私は咳払いをして喉の調子を整える……そして……


『開いて』


 『声帯模写』を発動させる。私が模写したのはあの録音された音声だ。あれが【祭壇】を作ったアゼ人の声なら、管理者に登録されている可能性が高い……!所々ノイズが入ってたけどあれぐらいならいけるはず!


 キーパッドは少しの間沈黙する。それをかたずをのんで見守る三人……。やがてキーパッドは識別が終わったのか終わったのか音声を吐き出す。


 ”――認証が完了しました。セキュリティコマンドを解除します。ようこそライアーさま”


「おぉ!」

「やりました!」


 その音声と共に扉の鍵が開く音がする。見たか!これが私の実力!


「どうよ!」

「すごいですマオさん!」

「いままで役に立ってなかった分ここで発揮したナー」


 おいカリス、そんなこと思ってたの!?たしかにナトちゃんは壁とかトラップの破壊をしてくれたし、魔法がいる場面ではカリスので十分で、私が魔導銃を使う場面なかったけどさ……。無理やり連れてきてそれはひどくね?


「にしても”ライアー”……か。もしや【祭壇】を作ったアゼ人の名前かナー?」

「多分そうなんじゃない?」


 管理者として登録されてるってことだしね。なんにせよ扉が開いたんだから早く行こうか。私としてはさっさと最奥に行って帰りたいし。


「では開けるぞ……!」

「はい!」


 私たちは期待をこめながら扉を開く。【祭壇】の最奥……一体なにがあるのか……


「これは……」


 扉を開けるとそこは学校の教室くらいの大きさの部屋になっていた。中は通路と同じような石材で作られており奥の壁にはもう一つの扉がある。そして――


「――女の……人?」


 死んでいるかのように目を瞑ったまま立っているメイドがそこにいた……






こいつらRTAみたいな攻略してんな……本編でマオも言ってた通り正規ルートではないです。


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