004 栗きんとんと黄色いおせち
せっかくの正月なので今回は正月にまつわる話を一つ。
我が家では私の子供の頃から年末になるといくつかのおせち料理をつくっていたのですが、特に栗きんとんは別格です。
私が好きだったせいもあって、年を取った母が他のおせち料理を作らなくなってからも私が継続して作っていました。
何しろ物心ついた5歳か6歳の頃から作っている栗きんとんです。
もはや年末行事と化していました
そしていつの頃からか私の友人のY君が必ず年末に泊まりに来ていたので、彼が大晦日に帰る時に私は必ず自分で作った栗きんとんを渡していたのです。
しかしある時事件が起きました。
その年はたまたま私の使っていたフードプロセッサーが壊れてしまったのです。
私はそんな機械がない頃から自分でさつま芋を擦り潰してきんとんを作っていたので、まあ別に良いか?と思って久々に手動で芋を擦り潰して栗きんとんを作っておりました。
そしてその完成した栗きんとんをいつものようにY君に渡して帰らせたのですが、その翌日の元旦に彼から私に電話が来ました。
「なあ、君、今回の栗きんとん、何か別の作り方をしたのか?」
「え?何で?」
「いや、実はうちの姪っ子が今回の栗きんとんを食べた瞬間に「これは伊井君の作ったくりきんとんじゃない!」と言ったんだよ」
「え?そんな事が?
いや、確かに今回は機械が壊れたんで手動で芋を潰して、しかも正直面倒何でかなり手抜きして作ってはいたんだが・・・」
「ああ、それで君が作ったんじゃないと姪っ子が言ったのか?」
「ううむ、それにしても子供でしかも1年に一回しか食べないのに、いつもの栗きんとんと味が違うとわかるのは凄いな」
「ああ、俺も驚いた」
驚いた私は翌年にはきっちりとフードプロセッサーを買い、念入りに栗きんとんを作ったのでした。
それ以来彼から栗きんとんに関する苦情は聞いておりません。
しかしまた昨年の年末にも彼がやって来たのでいつもの通り栗きんとんを上げる事にしました。
そこで私は気になったので最近の様子を聞いてみました。
「どうだい、君の姪っ子たちは相変わらず私の栗きんとんを食べているのかい?」
「うん、まあ・・・」
と何だか頼りない返事です。
私は彼の姪っ子たちも大きくなったので、もはや栗きんとんなど食べなくなったのか思い、
「なんだ、じゃあ、今回はいつもよりも量を減らしておくよ」
「うん、それで良い」
と言って、いつもだったら2リットル分ほども栗きんとんを渡していたのですが、今回は半分の1リットルほどに減らしておきました。
すると、元旦になって彼から電話が来ました。
「やあ、昨日もらった栗きんとんの事なんだけどさ!」
「どうした、誰も食べなかったのかい?」
「いや、妹の家に持って行ったら、姪っ子たちに瞬殺で食べられてもう全部ない!
来年からはやっぱりいつも通りの量にしてくれ!」
やっぱり食べてんのかい!
どうやら来年も栗きんとんは大増産しなければならないようです。
今回は話が短いので正月らしい話をもう一つ。
先ほど書いたように我が家では母が昔から年末になるとおせち料理をある程度作っていたのですが、特に栗きんとんは別格でした。
それは私が物心ついた頃にはすでに年末になると手伝わされ、すでに数十年です。
母が70を超えた頃からは面倒になったのか、栗きんとんを作るのをやめて、私が一人で作っておりました。
しかしある時、私がうちの家族が好きな物を重箱に詰めているとある事に気づきました。
ひょっとしてうちの家族が好きなおせち料理って黄色い物ばっかり?
そう、うちの家族が好きな物は栗きんとんに伊達巻、錦卵、数の子と見事に黄色い物ばかりだったのです。
それならばいっその事、それで一段構成してみてはどうか?と考えて、一つの重箱にその4つだけを詰めてみました。
結果は大好評で家族全員がうまいうまいと食べまくりです。
それ以来、うちのおせちの重箱の一つは真っ黄色です。
この分では重箱三段全てが黄色くなる日も来るかも知れません。
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