003 与論島旅行 3
ついに三日目は目的地の与論島へ到着です!
しかし元々が遅れて出ていた上に、さらに今回の航海自体も遅れたらしく、何と与論島に到着したのは夕方で、しかも夜直前でした!
船を降りた我々の前で、まさに夕日は海に沈む直前です。
本来だったら昼頃に到着して、少しは初の与論島を満喫できたはずですが、夜になっては満喫もへったくれもありません。
もちろん、店なども全て閉まっています。
宿の人が迎えに来てくれていたので、まずは宿泊予定の宿へと向かいます。
宿へ向かう途中で宿の人にも
「ありゃ~今日はまた随分船が遅れたみたいだね。
まあ、ゆっくりしていきな」
と言われましたが
「いえ、明日の昼には東京行きの船に乗って帰るので、そうゆっくりも出来ないです」
と答えたら驚かれてしまいました。
どうも宿屋の人も、まさか与論島に一泊しかしない、五泊六日の船旅行があったなどとは思わなかったようです。
しかしあまり実感はないものの、与論島に着いた事は事実です。
着いたのはギリギリ夕方でしたが、宿で荷物を降ろした後はすでに外は真っ暗です。
何しろ離島なので、外の明かりもあまりありません。
それでも私とK君はせめて夜の散歩でもして海でも見に行くか?という事にして外に出る事にしました。
そこで驚いたのはヤモリの大群です!
宿屋へ来る時にはいなかったはずのヤモリの大群が宿を一歩出た途端にそこここにいます!
驚いた事に数少ない自動販売機の電灯のある明るい部分にはビッシリとヤモリが張り付いています!
それこそヤモリが張り付きすぎて、何の自動販売機かわからないほどです!
そしてこれまた数少ない外灯を見上げると、その光っている部分にもビッシリとヤモリの影が映っています!
そのせいで外灯の明るさは半分以下になっており、まるでヤモリによる日食のようです。
私たちは驚いて話しました。
「これは凄い!与論島にこれほど夜にヤモリがいるとは思わなかった!
これは今日がたまたまなのかね?
それとも暑い時期はいつもこうなのかね?」
「わからんね・・・
しかしこれは確かに凄いな・・・」
「ああ、我々は別にヤモリなんぞどうって事はないが、これは女の子やヤモリが嫌いな人間が見たら叫んで大騒ぎだろうねぇ・・・」
「全くだよ」
そう我々は感心しながら海へ向かって歩いていると、今度は何やら私の背中に突然飛んできてゴツン!と当たった物があります。
私はK君に聞きました。
「ねえ、何かわからないけど、今私の背中にぶつかって来た物がいるんだけど?」
「どれどれ・・・あ~何だかカブトムシのメスと言うか、でっかいコガネムシみたいのが背中に付いているよ」
「なんじゃそりゃ?
そんな奴が私にぶつかって来たのか?
まったく地球で良かったよ。
ここが「999」の装甲惑星だったら、背中貫かれて瀕死の重傷になる所だったわ!」
などと私が軽くかましていると、その間にそいつは再び飛んでどこかへ行ってしまいました。
「あっ!何だ、見れなかったよ!」
「まあ、でっかいコガネムシみたいな奴だったけど、何しろ暗くてよくわからなかったな」
そんなこんなで与論島の夜の洗礼に驚きつつも我々は海に到着しました。
「うん、夜だから全然わからないね」
「うん、星がきれいに見えるだけだね」
取りあえず夜の海を見た我々は宿屋へと帰りました。
宿へ帰ると宿の主人に聞いてみました。
「ねえ、今外に行ったら凄いヤモリがいて自動販売機とか外灯にビッシリついているんだけど、与論島っていつもそうなの?」
「いや、いつもって訳じゃないな。
今日はたまたまだな。
もっとも油断をすると家の中にまで入って来るけどな」
「そうなんだ」
私がそう言っているそばからどこから入ったのか、ヤモリがチョロチョロと一匹廊下を歩いています。
「あ!」
「なるほど」
私とK君は宿の主人の言葉に納得して就寝するのでした。
翌日になって、宿で朝御飯を食べると、早くも船の時間が迫って来るので、港へ向かいます。
宿の主人も我々に
「まあ、今回はせわしなかったけど、懲りずにまた来なね」
と言うので我々も
「そうですね」
「機会があれば・・・」
と答えます。
まあ、確かにこれじゃ与論島に旅行に来たとは言い難いなあ・・・などと考えている内に港へ着きました。
そして我々が港の船着き場で待っていると帰りの船がやってきました。
いよいよ帰りの乗船です!
我々は帰りの切符を船の事務員に渡すと、その人はたまたま行きの事務員と同じ人で、しかも何故か我々の顔を覚えていたようです。
「よう、あんたら!もう帰るのかい?」
「ええ、そうですね」
そしてその事務員が我々を案内しますが、向かう先は行きと同じ大部屋です。
おや、おかしいなと思いながら私が
「荷物はどこに置けばいいんですかね?」
と聞くと、行きと同じように
「は、荷物?外!外!部屋の外の廊下だよ!」
と答えます。
え?一等室なのにまた荷物を部屋の外に置くのか?と私が思うと、事務員のおっさんがピタリと止まります。
どうやら我々の乗船券を見て驚いているようです。
「え?一等?」
「そうですが?」
私がそう答えると、その事務員のおっさんはまるで我々がどこかでその切符を不法な手段で入手したのかとでも言いたげな眼差しです!
それこそまるで「銀河鉄道999」の捏造切符を持っていた乗客かのような扱いです!
そこで私が説明をしました
「行きは大部屋の雑魚寝で、帰りは一等室で帰るつもりで切符を取ったんですよ」
私が説明すると、ようやく納得したのか
「そうか、じゃあこっちだ」
そう言っておっさんは船首の方へ歩き始めます。
全く失礼しちゃうぞ!と私が思いながら部屋の前に着くと、おっさんは
「こちらが1等室になります。
どうぞ、ごゆっくり」
と、口調まで変わる始末です。
しかし何はともあれ、せっかく取った一等室です。
まずは部屋に入りましょう。
私とK君はドアを開けて部屋に入ると驚きました!
予想はしていましたが、そこは確かに豪勢な部屋だったのです!
部屋の広さは20畳ほどもあり、そこには大きなベッドが二つあります。
しかもそのベッドの上には毛布が置いてあるのですが、一つは薔薇の花の形に、もう一つは帆立貝の形にわざわざ折り紙のように折ってあったのです!
「うわ!これは凄いね!
まさかこんな事までしてあるとは思わなかったよ!」
「うう、確かに凄い!
このベッドの幅なんて行きのマットの3倍くらいの幅があるよ!
しかも毛布をこんな形に折ってあるなんて凄い!」
「ああ、こんなのは初めて見るね!
まるでどこかの豪華客船の部屋みたいだよ!
行きはガレー船の船底か難民船だったのに、帰りはまるで御貴族様だな!」
感激した我々は他の場所も見て回ります。
「おお、凄い!
テーブルにちゃんと湯沸しポットと緑茶にコーヒーが用意されている上に、チョコレートと茶菓子まであるよ」
「本当だ!テレビも冷蔵庫もあるし、行きとでは天と地ほどの差があるわっ!
本当に同じ船の中かね!」
「な、帰りは等級一番上に上げて良かっただろう?」
「ああ、ここで三日近く暮らせるかと思うと嬉しすぎて泣けてくるよ!
何なら帰りは行きよりももっと遅れて5日くらいこの部屋に住んでも良いぞ!
食べる物はあるし、東京についてもこの部屋で引きこもっていても良い!」
「全くだよ!
そう言えばこの部屋にはトイレと風呂も付いているはずだから見てみよう」
「うむ、そうだった」
風呂のドアを開けると、そこにはちゃんと洗い場と浴槽があり、そんな当たり前の事で我々は感動しました!
もちろんトイレだってあります。
「凄い!我々だけの風呂がちゃんとあるぞ!」
「いや、油断するな!
風呂の栓はあるか?
湯はちゃんと出るか?」
「ある!ちゃんと風呂の栓もあるぞ!
ちゃんとお湯も溜められるぞ!」
「ええい!では早速風呂に湯を溜めるのじゃ!」
「おう!風呂に入れなかった行きの恨みを晴らすぞ!」
そして湯船に栓をして蛇口を捻ると、ちゃんとお湯も出てきたので、二人とも一安心です。
「よし!これで帰りはちゃんと風呂にも入れるぞ!」
「ううむ、全く1等室様様だな!
こんなに豪華だとは思わなかった!
本当に君の言う通り、帰りは等級を一番上に上げて良かったよ!
ありがとう!」
「おう!これで三日間風呂に入りまくるぞ!」
実際、我々はその三日の間に風呂に入りまくりました。
風呂に入ったまま外が眺められないのが残念ですが、行きに比べればまさに天国です!
部屋の中にはテレビもあったので、我々はゲーム機を持っていて、有名な電車で日本中を回って物件を買うゲームを持っていたので、ゆったりとしながらそのゲームで南の方でフェリーに乗ると、「今ここ!今まさにここ!」などと笑ってゲームもしておりました。
そして冷房の効いた広い部屋で豪華な椅子に座り、暖かいコーヒーを飲みつつ、置いてあったチョコレート食べながら、K君が窓の外を見て御決まりのセリフを言います。
「ふふふ・・・下民どもが暑い中、狭い甲板で喘いでおるわ!」
「いや、行きは我々もその下民だった訳ですが?」
「あははは!いや~しかし今回ほど船の等級で思い知った事は無かったよ!
行きと帰りで、おんなじ船なのに、まさかこんな難民船と御貴族様ほど差が出るとは思わなかった!」
「ああ、私もここまで差があるとは思わなかったけどね」
「ああ、今後は船旅の計画は君に任せて、私はもう文句は言わないよ」
「それは助かる」
そう言って我々は笑いました。
そして我々は三日間優雅な船旅を満喫し、無事に東京へ戻り、旅を終えたのでした。
「うん、今回の旅は今までになく、凄かった!」
「ああ、特に行きと帰りの船の落差が凄まじい・・・」
「ううむ、また来年この旅があったら行くかい?」
「ああ、これは面白い!
次はもっとじっくりと行きも帰りも楽しみたいからもう一度行きたいな」
そうして私とK君は再度の与論島旅行を夢見て旅行を終わったのでした。
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