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疑惑の目

「さぁ、こちらにお座りください」

ハイツさんが布張りのソファーに手をかざして言う

「ありがとうございます」

お礼をいいそこに座る

この世界では柔らかな座り心地

少し周りを見渡すと

かなり質素なつくりだが応接室としての機能はある

そんな感想をもっているうちにハイツさんは

対面してテーブルを挟んだ向こうのソファーに座る

「ではタケシさん、これから本題に入りますがかなり込み入った話になりますが・・・いいですか?」

「はい」

「まずは今回の件、本当に感謝しています。ムスカ村は私たちギルドにとって下支えになっている村です。特産物こそありませんが安定した作物の供給と低レベルのモンスターのドロップアイテムをしてもらっています」

「作物はわかるんですが・・・ドロップアイテムは重要ですか?」

「はい、あれは特殊な技術によりアイテムに加工できますので数があることはいいことです・・・で、タケシさんはまるでこの世界のことを知らないと伺ってるのですが・・・」

これは・・・

そういうことか・・・

「そうなんです。前にいたところから出ることがなく世情にはうとくて・・・」

「二ホンでしたか?我々が調べたのですが・・・そのような地域が・・・」

やはり・・・

これは身元を疑われている・・・

「・・・」

説明に困り沈黙してしまう

「・・・何か説明しづらい理由がおありで?」

「・・・あの・・・」

本来このような場面は出鱈目をいってごまかすのが上策だろうが

正直うまい理由が見当たらない・・・

村の人やその他の人なら適当に流せそうだが・・・

ハイツさんはなにかこう・・・

人の本性を見透かすというか嘘を言っても見抜かれてしまいそうな雰囲気がある

言葉をさまよわせていると

「・・・あなたは正直な人ですね。こういう場面やましいことがあると人は口数が多くなり話をずらすか適当なことを言ってだまそうとする・・・しかしあなたは・・・」

そう言いながら微笑んでいた

「すいません、説明できないというか・・・そうですね・・・できないんです」

そう答えるしかなかった

「そうですか・・・本来ギルドの規則でいうと、あなたの素性がわからないので推薦がありますがこの話おことわりしようと思ってました・・・」

ハイツさんがそこで間をあける

「しかし、今回の出来事にトーマスさんから伺ったこと、そして今のやりとりでその件はなかったことにしようと思います」

ハイツさんが告げる

「え?」

正直ハイツさんが言う通りギルドの件はなくなる

それだけか、なにか犯罪に加担してないか問い詰められると思っていた

「い・が・いでしたか?」

「はい、てっきりギルドの件は・・・」

少しお茶目なハイツさんに普通に受け答えする

「まずは今のやり取りで分かりやすく話をずらしたり嘘をついたなら・・・信用できないと判断し断りました。しかし、あなたは本当のことを言ってくれました。実際あなたの素性がわからないのは気になりますが・・・今回はそこに重きを置いていないのでその点は今回は問いません」

その話をきいてほっとした

「あとは何度も言いますが今回の件での働きです。この地域でインファイトベアーが出てしまったのは不明ですが、本来冒険者の派遣を待ち対応する案件をあなたは解決してくれました。派遣を待っていれば損害はもっと大きい物でしたから・・・」

「それは本当に私一人では・・・」

「たしかに彼ら、ニックさんとイルくんが居てかもしれませんが、イル君という存在彼もまたあなたが見出したのですから・・・」

「いや・・・」

実際は俺はたいしたことはしていない

いることを提言はしたがそれからあそこにいれたのは

混じれもなく彼らは人柄が村の人たちに受け入れられたからだ・・・

「それともう一つ今まさに話題に上がりましたがイルくんたち山賊だった彼らを村に向かえるという世間でしない発想をあなたはトーマスさんに進言したと?」

「そう・・・ですね。進言というかなんというか・・・」

「トーマスさんから聞きました。あなたは村の状況を見て若い力が必要だと言ったと・・・そして、最後は見ず知らずの子供たちの責任を取ると・・・そういってあなたの人間性を買っていました。世間知らずかもしれないし変わりもんだが人情ってものがあると。」

「トーマスさんが・・・」

やばい、泣きそうになる・・・

「今なら少しですが、トーマスさんが言ったことがわかる気がします。」

そういってハイツさんが目を細めた

「ありがとうございます」

お礼が口からこぼれた

「でなんですが・・・信頼に足るとあなたのことを信用してお話したことがあります」

居住まいを正して話はじめる

それに俺も背をただした

「タケシさん・・・率直にこの町どう思われますか?」

「どうですか・・・」

聞かれたことに多少驚きながらも正直な感想を述べる

「外観的にはきれいな町かと・・・しかし、治安は・・・悪いのかと。経済的にもあまり潤ってるようには思えないです」

失礼かもしれないが感想を述べる

「そうですか・・・この短い期間でそこまでわかるんですか?いや、そこまでわかるほどこの町の闇は表に出てるということでしょう・・・」

そう答えてうつむく

そして

「タケシさんの言う通りこの町は経済的、さらに治安的にも悪化の一途をたどっています」

「そうですか・・・ギルドはこの状況を良しとして?」

「いいえ、出来れば改善に尽くしたいと思っています・・・ですが、町との間に大きな溝、いさかいが有りギルドとして力を尽くすことができません。そこでなんですが、タケシさん・・・何かこの状況を打破するいいお考えがないか知恵をかしていただけませんか?」

「知恵ですか・・・なぜ俺、いや・・・私なんですか?」

ここまでの話で俺に頭脳的なことを聞く流れではなかった

そのように感じつい聞いてしまう

「全然、俺でいいですよ。そんなに改まらなくても大丈夫ですよ。なぜ・・・ですか・・・」

たっぷりの間のあとに

「タケシさんのムスカ村での進言。それが大きな理由です。若い力を必要としているとはいえ山賊である彼らを村に迎えようという考え方、なによりその彼らを迎えるについても熱い思いで説得をおこなったというその心、それが大きな要因です」

「あ、なんかありがとうございます」

今日はやけに褒められる・・・

こんなに褒められたらなにかこの後起こるんじゃないかとすこし怖くなる

そんな思いをよそに

「褒められてうれしいのですが・・・あの時は彼らの人間性を知っていてそして、対個人の割合が大きかったですですが、町規模のことになると・・・俺の考えが及ぶものではないと思うんです」

本当は期待に答えたい

しかし、言った通り人対人なら少しは理解できて解決につながることもある

だが、町規模になると人対人では計り知れないものが動いてしまう

それこそ経済や治安なんてものが絡むとどこから切り崩すのかもわからない

「そうですか・・・多くは望みません何か糸口になるような・・・いえ、無理を言ってしまってすいません。今のは忘れてください」

ハイツさんが言葉尻を下げた

無力だな

そう感じた

すべてを助けるのはできないそうは思う

だが何もできないで終わることがこんなにも無力だとは

「すいません」

「いいえ、謝らないでください。あなたが悪いことではまったくないので」

「・・・」

だまって頷くことしかできなかった

「では今日は足を運んでいただいてありがとうございました。」

そうハイツさんが頭を下げる

「いいえ、力になれず・・・ところで」

帰りの挨拶にいこうしようとしたときふっと気になったので

「なぜギルドと町に溝が?」

さっきの話の流れで聞けなかったことを聞いた

「・・・そうですね、話すと長いのですが、かなり短くいうと町の権力者とギルドの考え方が合わなかったというところです」

「考え方ですか?」

「はい、町の権力者はこの町の商業をその手にして独占的に商売をしようと・・・しかしわれわれは平等な商売をしたいと思っています。それこそ地域の差で値段の上下はあれどどの町でも同じような価格帯で取引したいと思ってます」

「なるほど・・・」

「我々がこの土地に来るのが遅れたのも有りますが・・・すでにこの町での商売体系が出来上がっておりかなり偏った取引をしていました。そこに我々ギルドが来たことにより取引が不当なものだとなって体系が崩れました。そこで町が折れて真っ当な商売をしてくれればよかったのですが・・・」

言いづらそうにしながらも

「ギルドを敵だと言いふらし町の意向に沿わないものは町からの退去、もしくはチンピラを送りケガをさせるなど暴挙を起こしました。我々ギルドが動き出そうにも周到に周りを抱き込んでいるのか被害者しかそのことについて話す者がおらず、本格的に介入することができませんでした」

「被害者がいるのに動けないと?」

「はい、捕えることができたのはチンピラでしたし、ひどい者は死体として見つかりました・・・なので先ほど町がといいましたが・・・町が本当に絡んでいるか決定的な証拠がなかったのです」

「証拠がないと動けないものですか?」

「はい、ギルドは信用が大切です。これは何度も言ってますが信頼を崩すことはできません。なので決定的な証拠のもと動かないともしもの時、ギルドとしての信用問題になってしまうのです。お恥ずかしい話です」

「いいえ」

う~ん、どこの世界も同じか・・・

権威があるものはしっかりとした理由というか

明確な事やしっかりした説明ができることがないと動ないと・・・

だが、そこで、すこしピンときた

「あのハイツさん、もしかしたらですがなにか力になれるかもしれません」

「本当ですが!?」

「ただ・・・すこし時間をもらえませんか?」

「はい!」

「ただあまり期待しないでください。もしかしたらギルドの力としてはなれないかもしれないので・・・」

この場合本当にギルドの期待には応えることができないかもしれないからだ

「・・・はい、わかりました。ですが何かあったら私にも話をきかせてください」

「わかりました」

ハイツさんに返事をして思う

この計画がうまくいくとは今のところわからない

しかし、この現状を野放しにするわけにはいかない

そう思った、だから動く

それだけだ

これからまた新しい体験をしていくのだろう

でもやらなければならない・・・

さぁ!やるか!!


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