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蓮の葉令嬢と呼ばれた私は、あなたに落とされたい。  作者: Kouei


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第12話 とめどない後悔 3(side:ジルヴェスト)

「いったい…どこへ行ってしまったんだ…」


 フュールが行方不明になって、すでに二か月が過ぎようとしていた。

 彼女がいなくなった場所から、南へ東へと探したが全く手がかりが掴めなかった。

 警邏隊にも捜索願いを出したが、彼女の行方は杳(よう)としてつかめなかった。


 基本に戻り、彼女の生まれ育った場所へ行ってみた。

 だが、彼女の生家であった男爵家は既に売却されていた。


 バントラー家は領地を持っていない。

 フュールの父親が官僚として勤めていたようだ。

 近隣住民にフュールが行きそうなところを尋ねても、返ってくる答えは知らぬ存ぜぬばかりだ。


 他に彼女が行きそうな場所や交流があった友人。

 僕は彼女の事を何も知らない…



 ああ…っ どうすればいいんだ…!



 手だてが見つけだせず途方に暮れ、最近は食事もろくに摂(と)れずにいた。


 何度目の朝だろう。

 君はきちんと過ごせているのだろうか…



 コンコン


「……はい」


 入って来たのは父上だった。

 寝台で横になっていた僕は身体を起こし、縁(ふち)に座った。


「また朝食を摂(と)らなかったな。最近ろくに食事をしていないだろう? ソレアが心配している」


「母上が…けど……彼女がまともに食事さえ摂れていないんじゃないかと思うと…それに……全く手がかりがなく、彼女を見つけられなくて…不安で……」



!!ゴン!!



「―――った!! な、何するんですか!?」


 父上が、いきなり頭の上から拳骨(げんこつ)を食らわした。


「おまえ、私に言っただろうがっ フュール嬢を迎える事を許して欲しいと。そう言って頭を下げただろう? それは彼女を幸せにするためではなかったのか!?」


「……っ!」


「彼女を絶対に見つけると、探し出すと豪語したのはどこのどいつだ! おまえの決心は数か月で折れるようなものだったのか! だったらさっさと諦めて、他の令嬢と結婚しろ! とにかく、ソレアに心配だけはかけるな、この根性なしが!!」


 バン!!


 父上は怒鳴るだけ怒鳴ったら、出て行ってしまった。


「な、なんだよ…っ クソ!!」


 悔しいけれど、父上の言う通りだった。

 泣き言をいうのは早すぎる。

 落ち込んでいる暇があったら、動け!


 それにしても……痛い…


 頭を撫でながら、父上の真意を思った。

 父上は僕のために叱咤したというより、母上に心配かけた事を怒りに来た気がする…

 


 チリンチリン


「お呼びでしょうか? ジルヴェスト様」


「朝食を摂(と)るから準備をしてくれ」


「かしこまりました」


 僕は着替えをし、食堂室へ向かった。

 テーブルには既に朝食が調っていた。

  

 席に着き、側にあった新聞を開く。

 見るともなしにページを捲(めく)っていくとある見出しが目に入った。



『70年の歴史を共に歩んだ遊園地(プレジャーランド)が今月末で閉園』



「…あの遊園地が…今月末に閉園…」

 

 フュールと一緒に行った場所。


 遠慮がちな彼女のしぐさ

 はにかむ笑顔

 涙ながらに紡いだ僕への想い…

 

 彼女と過ごした時間が、胸の中を去来する。


「君がいなくなり、君との想い出の場所もなくなるのか…」


 もう一度、二人で行きたかったな…

 あの日は雨が降って途中で……あ!



『また来ればいい』



 あの時、僕はそう言った。

 

「………そうだ…。もしかしたら彼女はここに来るかもしれない!」



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