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七つの天の徳

レンは、胸の内で苦しい綱引きを繰り広げながら、鮮やかな原野をさまよった。彼の一部は、病院のベッドで目を覚ますことを今なお予期していた。外傷性脳損傷と、山のような医療費の請求書つきで。もう一方の一部は、異質な木々の葉を揺らす風の、非現実的なまでの澄んだ爽やかさを無視できずにいた。


前方から、流れる水の柔らかなせせらぎが耳に届いた。彼は銀色の葉をつけたシダの茂みをかき分け、水晶のように澄んだ湖の、なめらかな小石が散らばる岸辺に足を踏み入れた。水面は、磨かれたガラスのように菫色と金色の空を映すほど静まり返っていた。


レンは水際まで歩み出て、見下ろした。


喉の奥で息が止まった。水面から見つめ返していたのは、見知らぬ男だった。いや、根本から大幅に強化された自分自身と言うべきか。濃く、淡く輝く青の、ふさふさと乱れた髪が額にかかっていた。かつては終わりのない不眠の夜と画面の光でくすみ、隈ができていた目は、今や鋭く鮮やかなサファイア色で、かすかな光とともに唸っているように見えた。身につけているのは、清潔でぴたりとしたタートルネックの黒いシャツ、洗練された青いズボン、そしてなぜか土の染みひとつ付いていない、真新しいクラシックな白い靴だった。


彼は手を上げ、指で頬と、新しい青い髪の柔らかな毛先にそっと触れた。体つきは明らかに若返っていた。また十八歳だ。引き締まり、重荷がなく、かつて背骨を粉々にすりつぶしていた慢性的な張りとはまったく無縁だった。それどころか、体はばかばかしいほど快適だった。試しに息を吸ってみて、肺が空気を求めてすらいないことに気づいた。意識して無理にやらない限り、胸は上下しない。


待て。俺、そもそも息してるのか? と彼は水面の姿に瞬きしながら思った。呼吸が……完全に任意みたいだ。いや、違う。文字通り任意なんだ! 内臓がもうないのか!? 俺は生きた蝋人形か!?


彼の視線が、腰に収まった滑らかな黒い鞘へ落ちた。


レンは手を下ろし、凹凸のある柄に指を巻きつけた。流れるような本能的な動きで、剣をなめらかな弧を描いて抜き放ち、顔の前に垂直に掲げた。


刃は彼の存在にすぐさま反応した。この世のものとは思えない淡い青のオーバーレイが、結晶質の鋼の上にちらちらと灯り、彼の両手を柔らかく穏やかな光で包んだ。彼は左手を上げ、両の手のひらで柄を握った。異次元の鋼は幅広く密度のある見た目をしているのに、ありえないほど重さがなかった。羽根より軽く、あまりにも完璧に釣り合いが取れていて、自分の骨格の延長のように感じられた。


「ふざけてるな」レンは声に出してつぶやいた。声は記憶にあるよりも澄んで、滑らかだった。「大作ファンタジーゲームから、そのままパクってきたみたいな代物だ」


彼は小石の上で足場を固め、顎に力を込めて、試しに一振りしてみることにした。


何も起こらなかった。


レンは瞬きをした。両の前腕に力を込め、光る青い刃をきれいな縦の斬撃で振り下ろそうとした。


腕は一ミリも動かなかった。


なんだ……?


彼は歯を食いしばり、肩の筋肉を総動員して全力を込めた。二の腕の筋肉が盛り上がり、血管が皮膚に浮き出たが、四肢は完全に、硬直したまま宙に固まっていた。剣が重すぎるわけではない。刃そのものは浮力があるかのように軽い。まるで、戦う意思が脳裏に形を成した、まさにその一ミリ秒に、目に見えない絶対的な物理法則が関節をロックしているかのようだった。


「クソッ! なんで振れないんだ!?」レンは唸り、奇妙な麻痺に抗って震えた。「このクソ剣を振ろうとした途端に、腕が完全に麻痺したみたいになる!」


彼はいらだちのため息をつき、姿勢の力を抜いた。すると、麻痺するような緊張は一瞬で消え失せた。腕はなめらかに体の脇へ落ち、再び自由に、思いどおりに動いた。


レンは、かすかに光るサファイア色の鋼を見下ろし、純粋な、乾ききった疲労感に包まれた。「冗談だろ? 転生してすごい武器を手に入れたと思ったら、文字通りただの飾り物の文鎮かよ?」


そのとき、彼の目が刃の中央を走るくっきりとした刻印をとらえた。


REN


眉をひそめ、彼は人差し指を伸ばして、刻まれた自分の名前の文字にそっと触れた。


ピシッ。


世界は砕けなかったが、彼の精神は砕けた。


途方もない、奔流のような情報が、異次元の稲妻のように彼の意識を貫いた。それは言葉でも機械的な声でもなかった。混じりけのない純粋な知識が、直接彼の魂へダウンロードされていくのだ。


まず、剣の正体が来た。SOSHV――七つの天徳の剣。通常の次元の境界の外で鍛えられた武器であり、この新たな現実に固有の法則にいっさい縛られない。この世界固有の呪文も、魔法の障壁も、標準的な概念上の法則も、それを縛ることも、測ることも、無効化することもできなかった。


次に、彼自身の肉体の現実が来た。この世界では、獣から高位の魔術師に至るまで、あらゆる生き物が環境中のマナ、魔力の経路、そして魔法陣によって動いている。レンにはそのどれもなかった。彼のマナ容量は、完全なゼロだった。その代わり、SOSHVとの根源的な結びつきが、彼の霊魂の内に、まったく独自の内なる機関を刻み込んでいた。それは「魂圧」と呼ばれる力に支配されていた。


彼自身の感情こそが、その存在のスロットルだった。


制御された均衡:内なる冷静さ、精神の規律、感情の安定を保てば、肉体のパラメータは、怪物じみた超人的な高水準へと何倍にも跳ね上がる。


不安と考えすぎ:自己不信、罪悪感、神経質なパニック、あるいはかつてのドアマット癖に陥った瞬間、エネルギーは激しく流出し、彼は弱り、鈍り、無防備になる。


圧倒された爆発:純粋な怒り、むき出しの絶望、あるいは深い決意といった、極端で抑えのきかない感情の急騰は、目盛りそのものを破裂させ、数えきれないほどの、破滅的な力の奔流を引き起こす。


三つ目は、彼の人生をめぐるぞっとするような現実だった。彼は不死だった。SOSHVは概念的に彼の魂に織り込まれており、彼の抽象的な真の姿を、生と死の概念の彼方に繋ぎ止めていた。彼は致命的な意味で殺されることはない。魂が断ち切られることも、消し去られることも決してない。だが、その設計に慈悲はなかった。もし魂圧が下がり、パラメータが弱まれば、彼の肉体は依然として貫かれ、引き裂かれ、砕かれ、焼かれうる。彼は耐えがたい痛みの一滴一滴をすべて感じ取り、その苦悶の間じゅう意識を保たされ続けるのだ。その間も、異次元の錨が彼の肉体を、暴力的に引きずり戻して元通りに繋ぎ合わせる。


そして最後に、剣が、彼の中に残っていたいらだちまじりの疑問に答えた。なぜ振れないのか?


その真実は、容赦ない明晰さで彼の思考に刻み込まれた。七つの天徳の剣を振るうには、使い手の魂が七つの美徳すべてと一致していなければならない。彼の魂が七つすべてを真に体現するまで、刃は戦闘において完全に振るえないままである、と。


知識の奔流が引いていった。


レンは小石の岸辺に立ち尽くし、風に青い髪をなびかせながら、青い刃を、大きく見開いた信じられないという目で見つめていた。


「つまり、整理するとだな」彼は、純粋な不信感をにじませてつぶやいた。「俺は実質不死身で、つまりこの悪夢から逃れるために死ぬことすらできないのに、痛みだけは全部感じる。魔法はゼロ。ステータスは、不安発作を起こしてるかどうかで決まる。で、この伝説の剣は、俺が文字通り生ける聖人にならない限り、振らせてくれないってわけだ」


彼はうつろな笑いを漏らした。「信じられねえ。神の武器をもらったと思ったら、ペアレンタルコントロールつきかよ」


鋭いカチリという音とともに、レンは刃を鞘に戻した。


彼は首の後ろをさすり、お馴染みの自己嫌悪が湧き上がってくるのを感じた。よくやったな、レン。ここに来てまだ十分だってのに、もう無能なガキみたいにぐちぐち泣き言かよ。地球で会社勤めすらまともにこなせなかったくせに、今度は七つの天の美徳を極めようってか? 森のウサギに食われるのがオチだ。


「黙れ」レンは息の下で唸り、自分の内なる独白を力ずくで断ち切った。「ただ……黙。れ。」


始まる前から自分の心に足を引っ張らせるつもりはなかった。まだ剣が振れないなら、それでいい。だが、あの知識は一つのことを水晶のように明確にしていた。彼の魂圧は、感情の状態と完全に結びついている。冷静でいれば、ステータスは跳ね上がる。


「それが本当かどうか、確かめてみようじゃないか」


レンは鮮やかな青い目を閉じた。肩を無理やり落とした。皮肉屋で苦々しい頭の中の解説者を押さえつけ、ユミのことも、母のことも、自分のみじめな地球での人生のことも、残らず浮かぶ思考を能動的に窒息させた。異郷の甘く澄んだ空気を吸い込み、心を、乾ききった絶対的な静寂の状態へと追い込んだ。


深遠で不気味な静けさが、彼の霊魂の上に降りた。


突然、体が空気のように軽くなった。


レンは目を開けた。腕と胴のまわりに浮かんでいたのは、顕微鏡でも見えない原子レベルの青い微粒子だった。あまりに小さく、かすかで、普通の目にはまったく見えない。それでいて、ばかげたほどの濃密さで輝いていた。筋肉の繊維の一本一本が、恐ろしいほど限りないエネルギーの感覚とともに唸りを上げていた。


おお、と彼は自分の手を見下ろしながら思った。よし。冷静は力だ。本当にうまくいった。じゃあ、とりあえず……軽くジョギングを試してみるか。ほんの穏やかな、気軽なウォームアップだ。


レンは腰をわずかに落とし、湖岸で基本的な短距離走の構えを取った。


全力で走ろうとはしなかった。ただ、後ろ足で軽く地面を蹴り、草原を約六メートルほど穏やかに駆けるつもりだった。


白いスニーカーの靴底が大地に圧力をかけた瞬間、音速の壁が砕け散った。


世界は、眩しい一瞬のぼやけの中に消えた。


ドオォン!


耳をつんざく、終末的な衝撃音が大気を引き裂いた。レンは千分の一秒にも満たない間に、音速の壁を幾度も突き破った。空気は彼のまわりで激しく圧縮され、あまりに強烈な大気摩擦の軌跡を作り出し、彼の進路の下の草を蒸発させた。


脳が自分が動いたことを認識するより先に、風景が暴力的に切り替わった。


レンの靴は、まったく別の地形の上を滑った。白いスニーカーが見知らぬ土壌に約十五メートルの溝を削り取り、ようやく突然のぎくしゃくした停止に至った。


空気はオゾンと焦げた大地の匂いがした。レンは完全に凍りつき、心臓が立て続けに三拍飛んだ。ゆっくりと、恐ろしく、彼は頭を回して後ろを振り返った。


小さな湖は消えていた。さっきまで立っていた山脈は、遥か地平線の彼方にある小さな染みにすぎなかった。


風景を横切って刻まれていたのは、まったく別の大陸の台地とおぼしき場所にわたって何マイルも続く、巨大な煙を上げる、掘り返された大地と砕け散った岩盤の溝だった。丘を真っ二つに裂き、森を貫いて峡谷を丸ごと吹き飛ばした、破滅的な衝撃波。そのすべてが、彼が踏み出した、たった一度の「軽い一歩」から始まっていた。


レンの顎は完全に外れた。サファイア色の瞳は、針の先ほどに収縮した。


なんなんだよクソッ!? と彼の心は、絶対的で正気を失った恐怖の中で金切り声を上げた。俺は今、何をやらかしたんだクソがッ!? ただジョギングしたかっただけなのに! ぴょんと跳ねただけで、大陸ひとつ丸ごと吹っ飛ばしちまったのか!?

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