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不穏な情勢4
かつての思い人はヴィルヘルム様であったはずだったけれど。
「無理強いはしないと言ったはずだ。ミリアの心がないならば、仕方がない。軍神の巫女と軍部の者が婚姻して来たのは、慣例にすぎない。思いを歪めてまで慣例に従う必要は感じない」
ヴィルヘルム様は柔らかな口調でそう言った。咎めることもなく、押しつけることもない。
かつて、近衛兵として職務についた際にも、色眼鏡で私を評価することもなかった。そんなヴィルヘルム様を慕っていたのだ。
「ありがとうございます」
私が頭をさげれば、ヴィルヘルム様は私の頭を撫でて、
「ハッキリと主張を持っているミリアが好きだ。それでいい」
と言ってくださる。
私は目頭が熱くなるのを感じながら、ヴィルヘルム様のお屋敷を後にした。




