8/34
憧れの思い人と憎らしい婚約者1
王宮の回廊で、ヴィルヘルム様に鉢合わせて、私は肝を冷やした。
「解任するらしいな」
と問われて、
「はい、色々と粗相をしてしまいまして」
と私は答える。
「残念だ。ミリアは筋が良かった。それに、皆の士気をあげてくれていたと思う」
「私にはほかに能がありません。ライオネル様の元に参ります」
と簡潔に告げた。
「良縁であるなら、いいが」
とおっしゃるので、私は胸が痛くなる。
きっと、ヴィルヘルム様にとっては、私の婚姻はこれまでの同僚の退任と同等のものなのだろう。
「軍部との縁を結ぶのも、私の役割なのでしょう」
これ以上会話を続けていても、辛い。私は、「それでは、失礼いたします」と言って去ろうとする。
けれど、
「ミリアのご両親がお許しくださるなら、俺のところに来てもらいたかったが」
と予想外のことをヴィルヘルム様がおっしゃるので、
「来てもらいたい、とは?」
と私が尋ねる。
ヴィルヘルム様は照れくさそうに、頬を指でこすった。
「縁組だ」
「え、縁組ですか?」
何をおしゃるの?




