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第十王子との人違い一夜により、へっぽこ近衛兵は十夜目で王妃になりました。  作者: KUMANOMORI


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記憶に残る香り1

 私は初めてウィリエール様と一夜を過ごしてしまった部屋に向かう。


 あの部屋は第三王宮にあった。


 ウィリエール様のお部屋の並びにあり、本来は空き部屋らしい。王子達の部屋には護衛の兵が立っているけれど、その部屋だけは護られていなかった。その部屋に足を踏み入れたとき、不意に嗅いだ覚えのある香りがする。


 そう、この部屋に初めて来たときに香った香りだ。そして、エルドナード様やレイナード様からも香っていたように思う。


 思えば、同僚の近衛兵も温室でスパイシーな香りがしていたと話していた。鼻の奥が痺れるような感覚は、特徴的だ。もう一度温室に行って調べようと思ったところで、誰かが部屋に入って来る気配があった。けれど姿は見えない。


 急に香りが強まったのを感じた。


 ウィリエール様は継承権第十位の王子様だ。ランドルフ様、リドムンド様、ルートラン様、キーリム様、ラルズス様、そしてエルドナード様、レイナード様、ベアラル様、そしてウィリエール様。九人のご兄弟であると認識している。


 けれどなぜ、ウィリエール様の継承権が十位なのだろう?


 その理屈であれば、もうお一人、誰かいらっしゃるはずなのだ。けれど、なぜか思い出そうとすると鼻の奥に痺れがやって来て思い出せない。


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