揺れる心4
ヴィルヘルム様から正式な婚姻の申し出があった。
ヴィルヘルム様は、私の身を案じてくださっているようだ。
王宮内であまりにも様々なことが起こりすぎているため、軍司令官に用意されるお屋敷に住まいを移してはどうか、という話も出ていた。
我が国ではシュルリアン公国との友好関係のために、会合を開くという話が出ている。軍の司令官となったヴィルヘルム様とそして、現第一王子と第二王子であられるランドルフ様とリドムンド様が出席なさるようだ。
ケセラスルン国は四方を諸国に囲まれており、近隣諸国との友好関係の維持が責務だ。今は東部にフロスティン国との緊張関係が気になる。一触即発の状態でいつ戦争が起こってもおかしくない状態なのだ。
ヴィルヘルム様が司令官についたことで、着実に地固めが行われていた。
私の元へは父から縁組を急ぐようにと、文が届く。軍神の巫女として最善の縁組だ、というのだ。
元々私の縁組に自由なんてあり得ない。それに慕ってやまないヴィルヘルム様との婚姻ならば、本来喜ばしいことのはずだ。
あの清らかな王子様の柔らかな笑みが、脳裏に焼きついている。
もし、あの手紙は本当にヴィルヘルム様の元に届いていたら、こんな事態にならなかったのだろうか?
それとも、手紙を出した時点で、この事態が起こると決まっていたのかもしれない。
あの手紙が導いたあの部屋は、本来誰の部屋なのだろう?




