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第十王子との人違い一夜により、へっぽこ近衛兵は十夜目で王妃になりました。  作者: KUMANOMORI


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死の痕跡2

 次はラルズス様の近辺を探ってみる。

 王子が好んで出かけていた図書館に向かえば、司書が沈痛な面持ちで話しかけてきた。


 ラルズス様が通っていらっしゃらなくなったことが、ひたすらに悲しいのだと言う。ラルズス様がよく座っていたという読書机を聞き、調べてみる。


 机の脚の部分に赤黒い痕が転々と残っているのを見つけた。血の塊?爪の先でこそいでみて、懐のビンの中に収める。


 血液の持ち主を調べる方法はあるのだろうか?


 思いついたのは、ウィリエール様だ。ビンの中に残った血の塊をウィリエール様の元へ持っていく。


 君主にお願いすることではないと思う。けれど、他に方法を思いつかない私は、ウィリエール様にお願いするしかない。


「ウィリエール様、この血液の塊の持ち主が知りたいのですが」

「僕が食べればすぐに分かるよ」


 朗らかに言って鉄格子を消して、ビンを手にした。ビンを逆さにして口を大きく開けて、血の塊をごくりと飲み込んでしまう。


「ラルズスお兄様だね。辛みと苦味がある」


 想像通りの回答が来て、一安心する。図書館に血痕が残っていたとなれば、ラルズス様は怪我をしていたのか。あるいは、亡くなったのは図書館だったのかもしれない、と推測できる。


「図書館で血痕が見つかったのです。ラルズス様はそこで怪我をされたのかもしれません」


「なるほどね。使い魔の契約にも血液が必要なんだよ。魔力を持たない普通の人は、血液を魔力の代わりに差し出すんだ。だから、ラルズスお兄様は使い魔に関係しているかもしれないね」


「ラルズス様が使い魔と契約なさったのでしょうか?そして、ランドルフ様やリドムンド様を狙っていた?ラルズス様の雰囲気からは考えにくいですが」


「犠牲になったっていう可能性もあるよ」


 犠牲に。

 つまり生贄として捧げられた可能性だ。


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