我が君の投獄2
私が向かうと、書物に向けていた視線をこちらにあげた。
曇り一つない透明な瞳に、驚きの色が浮かぶ。
「ミリア、来てくれたんだ」
私はウィリエール様のお傍に近づいて頭をさげた。
「ウィリエール様、きっと何かの間違いですよね?幻覚剤を個人精製するなんて」
「どうしてそう思うの?」
「使い魔の力をお持ちのウィリエール様が、幻覚剤を必要とするわけがありません。指一本で命を奪うができますから」
飾りのない言葉を選んだのは、ウィリエール様を責めるためじゃない。信頼を伝えたかったからだ。
「そう、命を奪える。ラルズスお兄様も近衛兵も、ベアラルお兄様も、僕が手をくだすことができた」
ウィリエール様はとつとつと語る。
「でも、ウィリエール様はなさらないと思います」
私がそう言えば、ウィリエール様はくすくすと笑う。
「ミリアは僕への評価が甘いね。必要があればしてしまうよ」
力のない笑いが悲しい。ウィリエール様が気落ちしているのが分かった。鉄格子の向こう側に閉じ込められている状況は、不似合いだ。
「幻覚剤はどこで見つかったものですか?」
「僕の部屋」
「本当のことをお話しください、ウィリエール様。私は、あなたの味方です」
私は念を押す。
「温室だよ」
とウィリエール様は言いなおしてくださった。
「温室と言えば、ベアラル様が亡くなっていた場所ですよね。そして、私の同僚は所々記憶が怪しいと言っていました。幻覚剤の影響でしょうか?」




