新しい婚約者2
「話を聞いたか?」
「はい」
その一往復で通じ合う。
視線をあげれば熱心な視線が突き刺さるので、頬が熱されてひりひりと痛くなった。
「ライオネル様の喪が明けてもいない。喜んでいいものか、分からないが。もしこれが何かの縁であるなら、これ以上に嬉しいことはない」
率直な物言いに、私は口を閉ざしてしまった。嬉しいかと問われれば、嬉しい。ライオネル様との婚約が決まる前であれば、もっと喜ばしかっただろう。もっと言えば、ウィリエール様と枕を共にしてしまう前ならば、もっと素直に喜べたと思うのだ。
「私も、ヴィルヘルム様との婚約は嬉しいです」
たどたどしく言葉を紡ぐ。戸惑いがそのまま口に出ていた。ヴィルヘルム様は苦笑する。
「急なことだ。強制はしないし、婚姻を急ぎもしない。ただ俺はこの婚約を嬉しく思うとだけは、伝えておきたかった」
ヴィルヘルム様はとつとつと言葉を選ぶようにして伝えてくださるので、言葉に重みを感じた。
誠実な方だと思う。だからこそ、私はこの方を慕っていた。
「ミリアの心次第だ」
そう締めくくり、ヴィルヘルム様は身体を離す。このまま、腕に抱かれているのも心地いい。数週間前には望んでいたことのはずだ。
けれど今は――――
心が半分に引き裂かれているような思いだった。
「急ぐことじゃない。今はまだ、普段通りにしてくれ」
とヴィルヘルム様はおっしゃったので、私は持ち場に戻ることにする。




