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新しい婚約者1
文を片手に、ヴィルヘルム様のお部屋に伺う。
ヴィルヘルム様は次期司令官となるにあたって、軍司令部にお屋敷を用意されていた。
どちらにいらっしゃるのか分からなかったため、まずは兵長室に向かう。以前、私が手紙を挟み込んでおいた部屋だ。
ドアをノックしようとしたら、再び視線を感じた。ふり返れば暗黒色の髪と瞳を持つ王子がたたずんでいる。左目の下にひっかき傷が見つかったので、レイナード様だ。
「レイナード様?」
そうお名前をお呼びしたところで、廊下の向こうへとサッと走り去っていってしまった。何か御用があったのでしょうか?
私はヴィルヘルム様のお部屋をノックし、返事を待つ。声が聞こえなかったのでもう一度ノックしたところで、後ろから声がかかった。
「ミリア」
耳慣れた声によばれたので振り返る。
半身を返したところで抱きとめられた。すぐに察する。
きっと、ヴィルヘルム様の元にも通達が来ていたのだ。力強く抱きしめられたことで、それを知る。




