我が君の秘密3
「屍になったら埋めてしまうだけだからね。お兄様は同じお父様から血を受けているのだし、せっかくなら力をもらっておこうかな」
ウィリエール様はベアラル様の亡骸に近づいていき傍にしゃがみ込んだ。
「お兄様、いただきます」
と言って恭しく顔を寄せていき、その唇に口づけを施す。
「ひぁあっ」
と思わず声をあげてしまったのは、見目麗しい王子様同士の口づけなんて見たことがなかったからだ。
ウィリエール様が一度口づけたならば、白い湯気のようなものがベアラル様の頭の先から立ち上っていく。ウィリエール様は唇を離した後でその湯気を吸いこんでいった。
「お兄様の魔法は甘くて花の香りがする」
と手を顔の前に持っていき、はらはらと仰ぐような真似をする。
私は逸る心臓を押さえながら、ウィリエール様を見つめた。指の先に白い炎が揺れたように見えれば、次の瞬間には傷一つない指先があらわれ出る。
「回復しておりますね?」
「そうだね、お兄様のお陰だ」
ウィリエール様の声には落胆の色があった。
ベアラル様の前にしゃがみ込んだまま、祈りの言葉を口にする。そして手を合わせて頭を垂れた。
「ラドルの仕業かと私は勝手な推測を立ててしまいましたが、違いますよね?」
私はそう尋ねた。ウィリエール様の仕草には慈しみがある。ラドルが手をくだしていたとすれば、こんな風に祈らないと思うのだ。




