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第十王子との人違い一夜により、へっぽこ近衛兵は十夜目で王妃になりました。  作者: KUMANOMORI


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我が君の秘密3

「屍になったら埋めてしまうだけだからね。お兄様は同じお父様から血を受けているのだし、せっかくなら力をもらっておこうかな」

 ウィリエール様はベアラル様の亡骸に近づいていき傍にしゃがみ込んだ。


「お兄様、いただきます」

 と言って恭しく顔を寄せていき、その唇に口づけを施す。


「ひぁあっ」

 と思わず声をあげてしまったのは、見目麗しい王子様同士の口づけなんて見たことがなかったからだ。


 ウィリエール様が一度口づけたならば、白い湯気のようなものがベアラル様の頭の先から立ち上っていく。ウィリエール様は唇を離した後でその湯気を吸いこんでいった。


「お兄様の魔法は甘くて花の香りがする」

 と手を顔の前に持っていき、はらはらと仰ぐような真似をする。


 私は逸る心臓を押さえながら、ウィリエール様を見つめた。指の先に白い炎が揺れたように見えれば、次の瞬間には傷一つない指先があらわれ出る。


「回復しておりますね?」

「そうだね、お兄様のお陰だ」

 ウィリエール様の声には落胆の色があった。


 ベアラル様の前にしゃがみ込んだまま、祈りの言葉を口にする。そして手を合わせて頭を垂れた。

「ラドルの仕業かと私は勝手な推測を立ててしまいましたが、違いますよね?」


 私はそう尋ねた。ウィリエール様の仕草には慈しみがある。ラドルが手をくだしていたとすれば、こんな風に祈らないと思うのだ。


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