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継承権第九位王子の死1
部屋を出ると、にわかに慌ただしい。近衛兵たちが点呼しているのを聞きつけ、私は声をかけた。
「どうしたの?」
「ベアラル様が明け方から行方不明なんだ」
「ベアラル様が?」
ベアラル様はウィリエール様の一つ上のお兄様だ。継承権第九位にあたる。
カールしたブロンドヘアが特徴的な方だ。
花を育てるのを好み、ウィリエール様とは仲がよろしかったように思う。
今私が声をかけたのは、ベアラル様付きの近衛兵だった。
「ああ、どこを探してもいらっしゃらない」
「それは困ったわ。この頃のベアラル様は温室に良くいらっしゃったように思う。見に行ってみたらどう?」
「そうなのか?さすが探索屋ミリアだな!」
と私の二つ名を口にして、その兵は去って行く。
武力にも芸事にも期待を向けられていない私は、そうしたリサーチ能力で何とか兵に残っていたのだ。
世間一般の婦女子よりは武力に冴えがあるとはいえ、男の兵たちと比べれば、私は味噌っかすみたいなものだった。
周りをよく見ながらサポートにあたるのが、私に役割だと思っている。




