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即位の十夜目1
満ちる月の下で、私は我が君主、ウィリエール様と共に王座についた。
王座の下から私の姿を見あげて、
「新たなる王が即位なさりました」
「ケセラスルン国に、軍神のご加護がありますように」
家臣やフロスティン国、シュルリアン公国の王族や為政者の声があがる。
私の君主が王位を得ためでたい日だ。
継承順位は十位だったはずの我が君主は、今や王位を得た。ウィリエール様は私の手を取る。
「ねぇ、ミリア。やっと僕と結婚してくれるよね?」
「はい、もちろんです」
ウィリエール様はその御手で私の頬を撫で、さらに私の膨らみつつある腹部にも優しく触れてきた。ウィリエール様の御手に炎の蛇がまとわりつくのを見て、ウィリエール様は笑う。
「なんて嫉妬深い子どもなんだろう」
冴えない近衛兵であったはずの私が、第十王子ウィリエール様と結ばれるなんて、少し前までは思いもしないことだった。
王座の下にはかつての思い人、ヴィルヘルム様もいらっしゃる。視線が合えば、恭しく頭をさげてくださった。




