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第十王子との人違い一夜により、へっぽこ近衛兵は十夜目で王妃になりました。  作者: KUMANOMORI


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121/121

即位の十夜目2

 王宮の様々な人の思惑が、私達をここまで導いてきてしまったようだ。

 私は下腹部を撫でる。


 王座の肘当てに這いのぼって来た紫地に黒の文様の毒蜘蛛が言う。


「隙を見せれば、また取り憑いてみせるよ。ウィリエールでもいい、誰でもいいんだよ」

 第一王子は中々悪運が強いようだ。


 キリムド様は中々にしぶとく、ウィリエール様の身体が滅んだ瞬間に、毒蜘蛛に取り憑いたようだった。


「危なかった、まさかウィリエールの身体が滅ぶなんて思わなかったよ」

 とおっしゃるキリムド様は、意外にも鷹揚だ。


 ウィリエール様はお兄様が毒蜘蛛になったことを喜んでいる。当初の予定とは変わってしまったけれど、治世に協力はしてくださるようだった。


 ウィリエール様は、

「蜘蛛の使い魔はいないからね。仲間が増えてラドルも喜ぶと思うよ」

 とおっしゃるけれど、宰相達はまだ理解が追いつかないようだ。



 ウィリエール様は麗やかな春の日を思わせる穏やかな表情をなさる。


「ミリア、大好き」

「私もお慕いしております」


「ミリアを護るよ。害する者は許さない」


 時折差し込む狂気の光により、生者どころか死者をも支配する脅威の王だ。


 私の君主は、この国の主になった。

 私は膨らみかけた下腹部を撫でる。


 この子は一体誰の子なのか?

 もし、あの望まぬ一夜の子どもだとすれば、命が危ういだろう。


 正当なウィリエール様の後継者であるならば、ノーストスの次期国王になるのかもしれない。


 戦いの火種がある場所にこそ、軍神は必要だ。今後もきっと何か起こるに違いない。


 けれど今はひとまず、我が主の即位を素直に喜ぼうと思うのだ。


  Fin.


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