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憧れの思い人と憎らしい婚約者5
あちっと声をあげる彼を私は呆然と見つめる。
「な、なぜ?」
とライオネル様は呟くけれど、私にも分からない。ただ、どこからともなく、声が聞こえた。
「暴力事件の正確な流れを証言して、ミリアの潔白を証明するんだ」
「誰が話しているんだ?」ライオネル様は言う。
炎が燃え盛り、じりじりとライオネル様の手を焼いていく。
「今から、裁判所に行って証言して。ミリアを元の職に戻すんだよ」
と言うのだ。この声には聞き覚えがあった。
けれど、どうして今その声が聴こえるのかどうかは、分からない。
脂汗を垂らしたライオネル様は、急いで部屋を出て隣接している裁判所へと駆けこんだようだった。私は何が何やら分からないままに、寝室を出て、家人からその話を聞く。




