結実の九夜目2
「ランドルフの身体は中々に強情で制御できなかった。さすがに、あれは惨いとは思うけれど。あんな風にはしないよ」
懺悔のようにおっしゃる。
そして、私の前髪をかきあげて額に口づけを落としてくる。
「何度も申しあげております。私の主は、ウィリエール様なのです」
ぼっと音をたてて現れ出た炎の蛇が、キリムド様の腕に向かって巻きついていった。
「な、なぜっ?」
慌てて手を振るうキリムド様に向かって私はラドルを呼び出して、火消しを要請する。ラドルがペロリと舌で舐めとれば、キリムド様の腕の炎は消え去った。
「お身体をウィリエール様にお返しください。あなたと夜を共にするつもりはありません。キリムド様」
驚いた表情のままこちらを見つめるキリムド様に、私は簡単に説明する。
「もし、あの時のように強引に事に及ぼうとなさるならば。そのお身体もろとも滅んでいただくことになります」
キリムド様は停戦協定に自ら望むほど、勇敢な方だ。そして、失敗を恐れない探求心が旺盛でいらっしゃるようだった。
私を引っ張り抱きとめると、石の寝台の上に運んでいく。
「いけません、キリムド様」
忠告はした。
けれど、寝台の上に寝かされ唇をふさがれる。ルビーレッドの瞳を私は見つめていた。




