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第十王子との人違い一夜により、へっぽこ近衛兵は十夜目で王妃になりました。  作者: KUMANOMORI


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北方の地へ3

 おじい様は、ウィリエール様と同じサファイアブルーの瞳をお持ちの、獅子だ。

 漆黒の毛並みを持ち、目だけが青々と輝いている。


「僕が生まれたのはあの国だよ。もちろん、王様になりたいわけじゃないけど、仕方ないんだ。そうしなければ、僕の望みは叶わないから」


「私が力を注ぎます。ウィリエール様がケセラスルン国でお暮しになることを、望むならば」

 私はそう言い添える。


「そなたは、また面妖な気配を持っているな」

 おじい様の視線が自分に注がれることに、少しばかり緊張が走った。


「軍神の巫女の家系に育っております。私が必ずお守りいたします」

 私は胸に手を当てる。


「私の主はウィリエール様お一人です」

 ミリア、ありがとう、とおっしゃるウィリエール様の瞳の色は赤い。おじい様が首をかしげ、控えている骸骨の兵士たちが剣を構える。


「お初にお目にかかります。ウィリエールのおじい様。私はウィリエールの兄、キリムドです」

「キリムド?」


「はい。私はウィリエールとは父を同じくしております。私は単なる人の子ですが、こうしてウィリエールの身体に宿らせてもらっております。こうして、交代で受け持てば問題はないでしょう」


 キリムド様がウィリエール様にとってかわったことで、おじい様にはご理解いただけたようだ。


 しばし、治世に関しての意見交換をなさったあとで、ウィリエール様のおじい様は了承してくださった。


 ウィリエール様がすべての治世を行う必要はない。

 元より、治世に見識豊かなキリムド様が行えばいい。有事の際にはウィリエール様のお力が発揮されるだろう。


「ウィリエールはこちらの国にとっても有望な後継者だ。人とは違い我らの世代交代は数世紀をまたぐのが通例だ。しかし、私もこうして年老いている。場合によってはウィリエールを呼び戻すつもりだ」

「数十年あれば、十分な準備ができます」


「ほう?」

 それどころか、もうとっくに、と口にするのは早計だ。


 おじい様と契約を交わし、ウィリエール様がケセラスルン国の王となることをお許しいただいた。


 この夜は、棺桶の城で夜を明かす。


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