停戦協定破棄3
キリムド様を宿すことは、そのまま采配者の加護を受けることとなる。
国王はキリムド様の魂を受け入れた者を次期国王にすると、明言したからだ。
血なまぐさい王宮のはかりごとの末に、候補者である王子はほとんど消え去っている。
「僕が受け入れるのはどう?」
ウィリエール様が口にすれば、宰相もリドムンド様もあっさりと賛成した。国力は急速に衰退しており、国外退避した者も多い。反対者はいない。
王位を得ることよりも、自身の安全を求めるようだ。
レイナード様もエルドナード様を失い、すっかりと魂が抜け落ちたようになっていらっしゃる。
キリムド様の魂はウィリエール様に宿すことにした。
軍部の司令官たるヴィルヘルム様と、軍神たる私の責務は、東方、西方からそれぞれの侵略から国を防衛することだ。
軍は絶対数で負けていた。これもまた、ウィリエール様の案で解決する。ヴィルヘルム様と共に、ウィリエール様に導かれるままに地下室に行く。
「死人を使えばいい。例えば、ライオネルはちょうどいいと思う」
自身の指先を齧り取り、血液で床に魔方陣を描いていく。床の下からぞろぞろと死者が這い出てくる。ライオネル様やラルズス様などの王子様たちから、近衛兵など、最近命を落とした者達ばかりだ。
ただし、亡くなった姿のままのため、損壊の激しい死に方をしていた者達はそのまま、身体の一部を失った状態だ。
ヴィルヘルム様は目を見開いて、驚きの表情を浮かべるけれど、さすがに取り乱すことはない。
「これで、人員は揃うと思う。僕の記憶にある死者はこうして霊界から連れてこれる」
ウィリエール様のお力添えをいただき、人員を増やしていく。




