停戦協定破棄2
ランドルフ様は幻覚剤の散布を行っていたようだ。
一方でルートラン様、キーリム様はランドルフ様とリドムンド様を引きずりおろそうとして、使い魔を使役しておられたようだ。
ベアラル様は巻き添えを受け、ラルズス様は使い魔の生贄となる。しまいには、ご本人がつけを支払えずに、犠牲となってしまった。
次から次へと王子達がお倒れになり、お妃様達は生家へと逃げ帰っていく。こうして王宮には人がいなくなっていくのだ。
私とヴィルヘルム様は軍の関係者として、キリムド様を受け入れる器を探していた。
一番の候補者はリドムンド様だ。ご健在である王子の中では最も王位継承順位が高いからだ。侵略に対応しうる王が必要だった。
現国王は隣国と戦う意思を持たず、降伏も辞さないとおっしゃる。キリムド様の死がランドルフ様の手によるものだと言う事実を受け入れられないようだ。
軍神の力を求めない傾向は、こうした国王の心根の優しさに起因しているようだった。
リドムンド様もまた、キリムド様の死に関しては懐疑的だ。
フロスティン国との停戦もランドルフ様の暴挙も、リドムンド様からすれば寝耳に水だという。事実をお伝えするにつれてリドムンド様お顔が曇っていき、
「申し訳ないが、辞退させていただくよ」
と最終的にはおっしゃるのだった。
「王位を手に入れられるとしてでも、辞退なさりますか?」
と私はなおも問えば、
「王位よりも、命が欲しい。フロスティン国は母の生家だ。親族が暮らしている上に、妹が宰務官に嫁いでいるんだ」
とおっしゃる。




