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血の雨降る七夜目5
言葉は発せられないけれど、念じる。
けれど、私の念は通じない。
ランドルフ様の親指と人差し指が私の喉笛を潰そうと動くのを感じ、覚悟を決める。私が命の危険を感じてはいけないのだ。
私の中に注ぎ込まれている力は、ほとんど自動的に発動してしまう。
私はランドルフ様の首が吹き飛ぶ瞬間に、目を伏せた。
ぼたぼたと背中に血飛沫を受ける気配があって、ずるずるとしゃがみ込んでしまう。
生暖かいものが背中をつたい、床に流れ落ちる。
ランドルフ様のお顔が目の前に転がるのをみた。
目が合ってしまい、その瞳を閉じなければ、と思うけれど、ガタガタと震える手は上手く動かない。
私が望んだ殺生は一つもないけれど、すべて起こるべくして起こったと思うしかない。
争いがあるからこそ、争いをおさめるために軍神が求められるのだから。
しばらく呆然と座り込んでいたら、扉が開く音がした。
「ミリアお嬢様。さて、お仕事をさせていただきますね」




