血の雨降る七夜目4
「ランドルフ様。あなた様は本来、継承権第二位の第二王子でいらっしゃりますよね?」
私の言葉に、ランドルフ様の額に脂汗がにじむ。
本来精悍なお顔には、心許なげな表情が浮かんでいた。
「キリムドお兄様がお亡くなりになった今、その表現は正しくない」
ランドルフ様は苦し紛れに切り返す。
「采配者のお力は、王から直々に祝福を受ける他には、采配者から奪う方法があるようです。ランドルフ様は采配者の祝福を受けておいででしょうか?」
「当然だろう?父上は病を患っておられる。念には念を入れて、祝福をくださった」
「王にお伺いしたところ、采配者の祝福はまだ行っていらっしゃらないとのこと。王はキリムド様のご遺体が見つかるまでは、希望を残しておられるようです」
「父上がお話になるわけがない」
「それは数日前までのお話です。今はもう、すっかりと壮健なご様子ですよ」
たしかに国王は最近まで寝台に臥せったきりで、うなされるようにして、すごしていらっしゃった。まともに話を出来る状態ではなかったのはたしかだ。
けれど、幻覚剤を元に精製した解毒剤を使い、今では憑き物が落ちたようにすっかりと元気を取り戻しておられる。
ランドルフ様のお耳には届いていらっしゃらなかったのだろう。
フロスティン国と内通しておられ、幻覚剤の密輸により自国を操ろうとなさっていたに違いないのだから。
「采配者のお力をお持ちなのは、なぜでしょうか?キリムド様から奪うしかありません。ランドルフ様、あなたは、キリムド様を?」
皆まで言う前に、首に手が伸びてきた。ぎりぎりっと指が食いこむ感覚を、他人事のように俯瞰する。痛くもかゆくもない。
ただ、ランドルフ様の血走った目つきを至近距離で眺める。
――――いけません、ランドルフ様。




