血の雨降る七夜目3
「注ぎ込み、子種を植え付ける方が手っ取り早いかもしれないな。メアリの生家がピーチクパーチクとわめきたてる前に、後継者を得ておくのがいい」
元より思いを遂げることは考えていなかった。けれど、結実してしまったものがあるならば、それを無視できない。
意思で懸命に抑制する。
今にもはい出てきそうな気配をなんとかおさめるのだ。
ランドルフ様が私の衣服を脱がしきったとき、彼の顔には驚愕が広がった。私の身体に浮かぶ文様をひとしきり眺めている。
「まさか、お前」
「おやめになるのですか?」
ランドルフ様に戸惑いの表情が浮かんだ。ちっと舌打ちをして、私の身体にシャツをかぶせた。
「ご自身の価値はお分かりのはずですのに、なぜおやめになるのです?」
なけなしの皮肉には、
「命が欲しいからだよ」
素直な言葉が返ってくる。
「お命を賭けてみたらよろしいではありませんか」
「その賭けは負けるに決まっている」
私を膝からおろし、ランドルフ様は両手をあげた。
「そうでしょうか?」
「軍神の巫女ならともかく、軍神と寝るつもりはない」
「残念です。もしここで賭けていただけたならば、そのご遺体からキリムド様を引き離したところですが」
「キリムドお兄様?」
ランドルフ様のお顔がさあっと青ざめるのを見た。ランドルフ様はかつて停戦協定を結ぶ際に、後方に控えていらしたようだ。
停戦がなされなかった場合の後詰めの軍を率いていたらしい。
結果後詰めの軍は不要となり、キリムド様が功を立てた。ご本人はご無事ではすまなかったようだけれど。




