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第35話 白い悪鬼、天礼寺しか引き取らない……って、断るのか?

ふと思い出した。

すごくいい漁場があるのに、

私はずっと誰にも話していなかった。


「閻魔様、わざと良い場所を隠していたわけではありません。

ただ、私は穏やかに暮らしたかっただけです」


「何が閻魔様だ?俺は袁君礼だ。

俺を皮肉るとは、いい度胸だな!」


「え?あ、本名があるんですか?」


「まあいい......。聞こえなかったのか?

俺はもう役所から事情を聞いている。


お前に聞く。

昨夜、阿楽と同じ部屋で寝たのか?」


私は慌てて頷いた。




「者ども!

細切れにして、海に投げ込んで魚の餌にしろ!」




私は目を覆った。

ここを思い出すたび、蒼天よと叫びたくなる。


「私を細切れにして、

海に投げて魚の餌にするって、それは脅しでしょう?」


「リョウダツ、あの時は驚かせて悪かった。

あれも脅しというわけじゃなくて、

その……誤解、かな?


だって、もし梓談がああやって見知らぬ人の家に入っていたら、

君だってよくないことを考えるだろう?」


私は忠楽の言葉に、どうしても反論できなかった。

彼女は私の手をぎゅっと握りしめる。


私たちは内門まで来ていた。

周囲では、役人たちの笑い声と話し声が聞こえ始めていた。


「分かった、誤解だったんですね!」


「それで、聞いたんだ。

父上が

『よくも私の娘に近づいたな。

俺が俗欲を取り除いた上で、天礼寺に放り込んでやる。

毎日、飯を食って寝る以外は経文を書いて懺悔しろ。

高僧が認めるまで外には出さん!』

って言っていたって。

あの時、私のほうから会いに行ったのだと説明したし、

使用人の長竹も父に代わってあなたへ謝っていた。


それでも、まだ心の中では引っかかってるの?」


「実は、私は別に嫌な気持ちにはなっていません!」


でも、

その後に起きたことを思い返すと、今でも思う。

あの時、もっと強く拒むべきだった。

今の暮らし、雑事が多すぎる……。


「旦那様、それはいけません!

俗欲を取り除くなど、

大罪人に科される刑罰です!」


「えっと……俗欲を取り除くって、

どういうことですか?」


「男でも女でもない姿になるのです!」


「その天礼寺に入れば、食事は出るんですか?

寝る場所もありますか?」


「ええ。字は読めますか?

読めない者は、まずそこから教わります。

ですが、

あなたがそんな重い罰を受ける必要はありません!」


穏やかな顔をした長竹が、お茶を一杯取りに行くのが見えた。

説明を終えると、彼はすぐに顔を背けた。


無料で食事が出て、家の中で眠れて、

しかも文字を覚える機会まであるのか?


「旦那様、どうかお考え直しを!」


「長竹、俺は本気で腹を立てている。

阿楽はまだ十六だ。だが俺も反省している。

琴の趣味のことで言い争いになって、

本当に家出してしまったのだからな!」


目の前では、威厳に満ちた男が豪奢な彫刻の施された木椅子に腰かけ、

茶を飲み始めていた。


「その後、

阿楽が戻ってきたと思ったら、

今度はそいつを袁家に住まわせたいと言い出した。」


「旦那様、

いっそ金を少し持たせて、

長竹が北へ連れて行くというのは!」


まずい。変な場所に放り出されたら、

私、本当に終わるかもしれない!


「わ……私は食事と寝る場所を出しただけです!

悪いことはしていません!」


「はあ?若造、お前は何を言っている?」


「うぅ、私は善人です……北へ捨てないでください。」


長竹はすぐ私のそばへ来て、にこにこと手を振った。


「あなたが善人なのは確かですよ。

どうして捨てるなんて話になるんです?

北にはいろいろ機会がありますし、

こちらもいくらか金をお渡しします。

着いてからの暮らしの足しになるでしょう!」


「金?私はそんなもの、いりません。」


金なんて聞いたことがない。

どうせ適当な物を渡して追い払うつもりなのだろう。


「この野郎、まだ図に乗るのか?

何両ほしいって言うんだ?」


「違います!」


「では、何が望みなのです?

旦那様、この方は忠楽様に手を出してはいないようですし、

実際に何を望んでいるのか、聞いてみてもよろしいのでは?」


長竹はそう言って私に問い返し、

厳しい顔の男にもう一杯茶を注いだ。


ここで機を逃したら、もう二度とチャンスはない。

私はとっさに、あの老婆からもらった赤い布袋を思い出した。


「どうか、お許しいただきたいことが……」


皆が真剣な目で私を見つめてくる。





「私はいつ俗欲を取り除けますか?

そうすれば、天礼寺に入れるのでしょうか?」




目の前の男は茶を噴き出し、

長竹は悲鳴を上げた。


「なんてことだ、安魂散を盛りすぎたのか?

それとも怯えすぎて頭が混乱してしまったのか?」

気づけば、もう七万字まで書いていました。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


皆さまの応援が、書き続ける力になっています。

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