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第28話 社会における会話の問題や、対人不安による恐怖を扱う部活

兒墨は蘭夫人が近づいてくるのを見ると、

翳っていた目がまた少し明るくなった。


「蘭夫……?」


「今夜はちゃんと翠花殿で夕食を取りなさい。

怡安老太太イアン ロウタイタイは最近姿を見せなくて、

とても心配しているのよ!


それと、

いつまでも 秀玥貴妃シュウ ゲツキヒのところへ通ってばかりいてはだめ。

あの方はもう貴妃に昇進されたのだから、

以前とはお立場が違うの!」


「蘭夫人は今夜、翠花殿に戻るのですか?

兒墨は今夜、会えますか?」


「陛下が私にご相談したいことがあるの。

時間ができたら翠花殿に戻るわ!」


「兒墨も今夜は帰りません!」


僕は、兒墨がうつむいたまま声を荒らげ、

すぐに自分の口を押さえるのを見た。

蘭夫人はただ静かに彼を見つめていた。


「兒墨は最近、部活を作ろうとしていて、

ちょうど部員も集まったんです。

これから部の方針を話し合うところです!」


「兒墨、社団を作りたいの?」


「そうです!蘭夫人。

僕は部長として、

これから幹部を選ぶんです!」


兒墨はにこっと笑って中央へ歩き、

みんなの視線が自分に集まったところで、

そっと星御の手を取った。


「僕たちの部活はとても特別なんです。






社会における会話の問題や、

対人不安による恐怖を扱う部活なんですよ!






星御先輩にもきっと何か悩みごとがあるはずです。

ですから、どうか僕たちの部の依頼人になってください!」


「え? それって、何部なの?」


星御は目を丸くし、

皆も戸惑ったように兒墨を見つめた。

僕も黙ったまま、その答えを待った。




「会話と対人不安部です!」




吾が見ると、穏やかな星御先輩は、

それを聞いた途端に分かりやすく動きを止め、

黙り込んだ。


ただ優雅な微笑みを浮かべたまま、兒墨を見つめている。

一方の兒墨は、そっと手を離し、

礼儀正しく星御を見ていた。


吾には、

気まずい空気がその場全体に広がっていくのが感じられた。


その時、奥の診療室から一人の医師が慌ただしく駆け出してきて、

賴太医のそばで何かを耳打ちした。


「朗報です。

楠祝が目を覚ましました!」


賴太医がほっとしたようにそう告げると、

星御はすぐに椅子から立ち上がり、

入口に「立入禁止」と書かれた木札が下がっているのも構わず、

素早く診療室の中へ駆け込んでいった。


「たっぷり楽しみなさいね、兒墨。

私はこれで失礼して、天寿宴の準備に向かうわ。


あまり遅くまで居残らず、

早めに翠花殿へ戻って休むのですよ!」


蘭夫人は素早く口元を押さえたものの、

ついさっき、

優雅な表情を保ちながらも必死に笑いをこらえていたのを、

吾はちゃんと見ていた。


蘭夫人は、無表情の兒墨をしばらく見つめたあと、

賴太医のほうへ歩み寄ってもう一度礼をし、

侍女たちとともに安寿院を出ていった。


兒墨は蘭夫人の後ろ姿をしばらく見つめてから、

くるりと振り返り、にこやかに皆を見た。


「皆さん、

僕が新しく作った部活『会話と対人不安部』に入りませんか?


この部活は、

あの社会科の課題のために一時的に作ったものなんです!」


部の名前からして、もう意味が分からない!

皆が黙り込むのを見て、

僕はそろそろこの妙な空気をどうにかするべきだと思った……。


「もう一度言ってくれるか、

その部活は何をするんだ?」


僕が断ろうとした時、

梓談が興味ありげな目をしているのを見て、

兒墨の口元が徐々に上がっていく。


「この部活は、社会における会話の問題や、

恐怖に悩む人を扱う部なんです。


でも短期的な目標は……

あの社会科の課題を終わらせることですよ!」


兒墨は、皆が聞き取れなかったと思ったのか、

わざと少しゆっくり話した。


「じゃあ、私入る!

佑晴と碧落も同じ班なんだから、

課題やらないといけないでしょ?」


「梓談、

いきなりそんな部活に入るのはよくないんじゃない?」


僕は佑晴の困ったような表情を見た。



前は少し反応が遅かったのに、今はちゃんと踏みとどまれている。

実に素晴らしい!




「だって……六皇子に聞いてないじゃない!」


「梓談、僕は実は……」


佑晴は、まさか僕の困った表情に気づいて、

断るのを手伝おうとしてくれているのか?


僕は感心した……。


「もしかしたら、

六皇子も部長をやりたいかもしれないよ?


私、副部長になって支えるし!


人数は足りてるの?

あとで黛泉と鄭桐齊テイ トウセイにも聞いてみようか?


あっ、

ほ……放課後に打ち合わせとかあるの?

部長と副部長なら、

居残って予定を合わせる必要があるよね?」


「え?

先に言っておくけど……あの二人、

まだ冷戦中だから無理かもしれないよ!」


碧落がそう言って兒墨をちらりと見た。

兒墨はふっと微笑む。


僕は……

事態がもう完全に制御不能だと判断した。

ここまで分かりやすく匂わせているのに、相手はまだ困惑してばかり。

これが青春というものなのだろうか。

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